喀痰のPapanicolaou染色標本(別冊No. 8)を別に示す。この細胞で判定するのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
画像には肺胞マクロファージが多数認められます。喀痰中に肺胞マクロファージが多数存在することは、気管支から肺胞に至る深部の分泌物が適切に採取されていることを示唆しており、検査材料の質を評価する重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 感染症の存在を評価するには、好中球やリンパ球、微生物(細菌、真菌、ウイルス感染による細胞変性など)の有無や種類、病原体の特徴的な形態などを総合的に判断する必要があります。肺胞マクロファージは感染症特異的な所見ではありません。正しくは:感染症の存在を評価するには、病原体やそれに伴う炎症細胞(好中球、リンパ球など)の増多を確認する。選びやすい理由:喀痰は気道感染症の診断にも用いられるため、感染症の有無を評価すると考えがち。混同注意:喀痰検査全般の目的と、今回の画像所見が示す意味との混同。
- 2. 腫瘍の組織学的分類は、細胞の異型性、配置、核の形態、細胞質の特徴などを詳細に観察し、腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌などの分類を行います。本画像は主に正常な肺胞マクロファージであるため、腫瘍細胞の明確な異型性は見られず、組織学的分類には至りません。正しくは:腫瘍の組織学的分類を行うには、腫瘍細胞の形態学的特徴(核の大小不同、クロマチン増量、核小体明瞭化、N/C比亢進、細胞間結合の異常など)を評価する。選びやすい理由:細胞診は腫瘍診断に非常に有用であるため、腫瘍に関する評価だと考えがち。混同注意:細胞診の腫瘍診断における役割と、今回の画像が示す具体的な所見との混同。
- 3. 病変の進行度は、腫瘍細胞の量、浸潤の程度、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などを総合的に評価するものであり、単一の喀痰細胞像のみで判断することは困難です。本画像から進行度を評価できる所見はありません。正しくは:病変の進行度を評価するには、画像診断(CTなど)や病理組織診断、臨床所見などを総合的に判断する。選びやすい理由:細胞診は病変の存在を明らかにするため、その進行度も評価できると誤解しやすい。混同注意:病変の有無の診断と、病変の進行度評価の区別。
- 4. 正解。画像には多数の肺胞マクロファージが認められます。肺胞マクロファージは肺胞に存在する細胞であり、喀痰中にこれらが多数含まれていることは、上気道由来の唾液などが少なく、下気道(肺胞)からの検体が適切に採取されていることを示します。そのため、本細胞像は検査材料の適切な採取の評価に最も適しています。選びやすい理由:肺胞マクロファージは炎症時にも増加するため、感染症などの疾患を疑う方向に思考が向かいやすい。しかし、本問では「主に評価される項目」であるため、材料の適切さが重要となる。混同注意:肺胞マクロファージが示す病態と、検体採取の適切性という質評価の混同。
- 5. 炭粉沈着の重症度を評価するには、肺胞マクロファージの細胞質内に貪食された炭粉粒子の量や、炭粉を貪食したマクロファージの割合などを詳細に観察する必要があります。本画像では細胞質内に炭粉のような暗色の顆粒が認められますが、これだけで炭粉沈着の「重症度」を評価することは困難であり、材料の適切性の指標としての側面が強いです。正しくは:炭粉沈着の重症度を評価するには、炭粉を貪食したマクロファージの数や炭粉粒子の量、分布などを詳細に観察する。選びやすい理由:肺胞マクロファージに炭粉が認められるため、炭粉沈着の重症度を評価すると考えがち。混同注意:炭粉の存在と、その重症度評価の区別、および炭粉貪食マクロファージが材料の適切性の指標であることとの混同。
国試ポイント
喀痰細胞診における検査材料の適否の判断基準、特に肺胞マクロファージの役割を理解しているか。
混同注意
肺胞マクロファージの存在と感染症の存在を混同しやすい。肺胞マクロファージは健康な状態でも存在し、深部検体採取の指標となるが、感染症を示唆するわけではない。
次に同じ論点が出たら
喀痰細胞診の画像が出題された場合、まず扁平上皮細胞や白血球、肺胞マクロファージの割合や存在に着目し、検体の質を評価する。
関連知識
喀痰検体は、上気道の唾液や鼻汁が混入しやすい。そのため、深部気道からの適切な検体であるかを確認することが重要であり、肺胞マクロファージや炭粉を貪食した細胞の有無がその指標となる。