緊急輸血あるいは患者と同じABO血液型の赤血球液が不足した場合、患者と輸血する赤血球液のABO血液型で輸血可能な組合せはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
ABO血液型における赤血球輸血では、患者血漿中の抗体が供血赤血球表面の抗原と反応しないことが最も重要である。AB型の患者は抗A抗体も抗B抗体も持たないため、A型、B型、O型の赤血球を輸血可能である(ユニバーサルレシピエント)。また、O型の赤血球はA抗原もB抗原も持たないため、どの血液型(A, B, AB, O)の患者にも輸血可能である(ユニバーサルドナー)。このため、緊急時や血液型不明時にはO型赤血球が選択される。
選択肢ごとの解説
- 1. A型患者はB抗原に対する抗B抗体を持つため、B型の赤血球を輸血すると溶血反応を起こし、重篤な副作用を招く危険性があります。正しくは:A型の患者にはA型またはO型の赤血球製剤を輸血する。選びやすい理由:ABO型の互換性に関する基本的な知識が不確かな場合、間違いやすい選択肢です。混同注意:血漿製剤の輸血における互換性(O型患者にAB型血漿など)とは異なるため、赤血球輸血と血漿輸血の原則を混同しやすいです。
- 2. B型患者はA抗原に対する抗A抗体を持つため、A型の赤血球を輸血すると溶血反応を起こし、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。正しくは:B型の患者にはB型またはO型の赤血球製剤を輸血する。選びやすい理由:ABO型の互換性に関する基本的な知識が不確かな場合、間違いやすい選択肢です。混同注意:赤血球輸血の原則において、患者の抗体とドナーの抗原が反応しないことが重要であるという点を、血漿輸血の原則と混同しやすいです。
- 3. O型患者はA抗原とB抗原の両方に対する抗A抗体および抗B抗体を持つため、AB型の赤血球を輸血すると強い溶血反応を起こし、極めて危険です。O型患者は赤血球輸血においては「ユニバーサルレシピエント」ではありません。正しくは:O型の患者にはO型の赤血球製剤のみを輸血する。選びやすい理由:「ユニバーサル」という言葉の概念をABO型間で誤解している場合や、血漿のユニバーサルドナーがAB型であることから、O型の患者にAB型が輸血可能と勘違いする可能性があります。混同注意:O型は赤血球の「ユニバーサルドナー」ですが、レシピエントとしてはO型のみを受け入れます。一方、AB型は赤血球の「ユニバーサルレシピエント」ですが、ドナーとしてはAB型のみに適しています。これらの概念を混同しやすいです。
- 4. 正解。AB型患者は赤血球表面にA抗原とB抗原の両方を持つため、血漿中に抗A抗体も抗B抗体も持っていません。したがって、B抗原のみを持つB型の赤血球を輸血しても、患者の血漿中の抗体との反応は起こりません。AB型は赤血球輸血における「ユニバーサルレシピエント」であり、A型、B型、O型、AB型いずれの赤血球製剤も受け入れることができます。
- 5. 正解。O型の赤血球はA抗原もB抗原も持たないため、どのような血液型(A型、B型、AB型、O型)の患者の血漿中にある抗A抗体や抗B抗体とも反応しません。そのため、血液型が不明な患者や、緊急時に血液型判定を行う時間がない場合に安全に輸血できる「緊急輸血用血液」として用いられます。O型は赤血球輸血における「ユニバーサルドナー」です。
国試ポイント
ABO血液型における赤血球輸血の適合原則(ユニバーサルドナー・レシピエントの概念)と、緊急時輸血におけるO型赤血球製剤の重要性を問う問題です。血漿輸血との違いを明確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
赤血球輸血と血漿輸血における適合原則の混同。特にO型は赤血球のユニバーサルドナー、AB型は血漿のユニバーサルドナーである点を誤解しやすい。また、患者の血液型と、輸血する血液型の組み合わせの暗記だけでなく、その理由(抗原と抗体の反応)を理解していないと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、Rh血液型との組み合わせや、血漿輸血における適合原則、あるいは新生児溶血性疾患との関連など、より複雑な状況での判断を問われる可能性があります。
関連知識
ABO血液型抗原と抗体の発現。Rh血液型。交差適合試験の目的。緊急輸血プロトコル。輸血副作用の種類と原因。