ヒトの粘膜の消毒に用いるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ヒトの粘膜は皮膚に比べてデリケートであり、刺激の少ない消毒薬を選ぶ必要があります。逆性石鹸は陽イオン界面活性剤の一種で、比較的刺激性が低く、皮膚や粘膜の消毒に適しているため、本設問の正答となります。その他の選択肢は、粘膜に対して刺激が強すぎるか、毒性が高すぎるため不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。逆性石鹸(例えばベンザルコニウム塩化物など)は、比較的刺激性が低く、皮膚や粘膜の消毒に広く用いられる陽イオン界面活性剤です。そのため、ヒトの粘膜への適用が可能です。
- 2. クレゾール石鹸液は非常に強力な殺菌力を持ちますが、同時に強い刺激性と毒性があるため、生体の粘膜には使用できません。主に医療器具や排泄物の消毒に用いられます。正しくは:主に医療器具や排泄物の消毒、環境消毒に用いられます。選びやすい理由:殺菌力が非常に高い強力な消毒薬であるため、消毒全般に使えると誤解されやすいです。混同注意:他の刺激性の低い生体用消毒薬と、使用部位(生体か非生体か)を混同しやすいです。
- 3. グルタルアルデヒドは、特に熱に弱い医療器具(内視鏡など)の強力な消毒・滅菌に用いられる高水準消毒薬です。しかし、強い刺激性、毒性、アレルギー性を持つため、ヒトの粘膜には絶対に使用できません。正しくは:主に医療器具(特に内視鏡)の消毒・滅菌に用いられます。選びやすい理由:その強力な殺菌・滅菌作用から、あらゆる消毒に有効だと誤解されやすいです。混同注意:高水準消毒薬としての有効性と、生体への安全性とを混同しやすいです。
- 4. 消毒用エタノールは皮膚の消毒(注射部位など)には広く使われますが、粘膜に対しては刺激が強く、乾燥を招くことがあるため、一般的な粘膜の消毒には第一選択とはなりません。逆性石鹸の方が粘膜への刺激が少ないため適しています。正しくは:主に皮膚の消毒や医療器具の消毒に用いられます。選びやすい理由:日常的に最も馴染み深く、広く使われている消毒薬であるため、あらゆる部位に使えると判断しがちです。混同注意:皮膚の消毒と粘膜の消毒の適用範囲の違いを混同しやすいです。
- 5. 次亜塩素酸ナトリウムは強力な酸化作用を持ち、環境表面や器具の消毒、漂白などに用いられますが、粘膜に対しては非常に強い刺激性や腐食性があるため、ヒトの粘膜には使用できません。正しくは:主に環境表面の消毒、器具の消毒、水質浄化などに用いられます。選びやすい理由:殺菌力が非常に高く、広範囲の微生物に有効であるため、生体にも使用できると誤解されやすいです。混同注意:その強力な殺菌効果と、生体への安全性や適用部位を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、主要な消毒薬の種類ごとの特性(殺菌スペクトル、作用機序、刺激性、毒性など)と、それに基づいた適切な適用部位(生体粘膜、皮膚、医療器具、環境表面、排泄物など)を正確に理解しているかを問うています。特に、生体適用が可能なものと不可能なもの、さらに生体の中でも皮膚と粘膜で使い分けが必要な点を区別できるかが重要です。
混同注意
各種消毒薬の名称と、その特性、特に使用目的(殺菌、消毒、滅菌)と使用対象(生体、器具、環境)の組み合わせを混同しやすいです。例えば、「強力な殺菌力」と「生体への安全性」は必ずしも一致しない点を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず問われている『消毒部位(例:粘膜、皮膚、器具、環境)』と『消毒薬の特性(刺激性、毒性、殺菌力、作用スペクトル)』を照らし合わせます。特に生体への適用が問われた場合は、刺激性や毒性が低いものから優先的に検討し、非生体への適用が問われた場合は、対象物の材質や微生物の種類に応じた殺菌力を考慮して判断します。
関連知識
・消毒薬の分類(高水準消毒薬、中水準消毒薬、低水準消毒薬)とその代表例 ・消毒薬の作用機序(タンパク質変性、細胞膜障害、核酸合成阻害など) ・各消毒薬の濃度と作用時間 ・消毒薬使用時の注意点(有機物による影響、金属腐食性、ゴム・プラスチックへの影響など) ・病院内での消毒薬の使い分けのガイドライン(例:手指衛生、注射部位、創傷、器具など)