耐性菌と薬剤耐性の組合せで典型的でないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ESBL産生菌は広域スペクトラムβ-ラクタム系抗生物質(例: 第3世代セファロスポリン)には耐性を示しますが、カルバペネム系抗生物質(メロペネムなど)には一般的に感受性を示すため、ESBL産生菌がメロペネム耐性であるという組み合わせは不適切です。カルバペネム耐性は、主にカルバペネマーゼ産生菌(MBL、KPCなど)の特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. BLNAR(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性菌)は、β-ラクタマーゼを産生しないものの、ペニシリン結合タンパク質(PBP)の変異によりアンピシリンに耐性を示す菌の総称であり、これは典型的な組み合わせです。選びやすい理由:「非産生」という言葉から耐性がないと誤解したり、略語の意味を正確に覚えていない場合に混乱する可能性があります。混同注意:β-ラクタマーゼ産生によって耐性を示す菌(例: BLPAR)と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。ESBL(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌は、主に広域スペクトラムβ-ラクタム系抗生物質(例: 第3世代セファロスポリン)に耐性を示しますが、カルバペネム系抗生物質(メロペネム、イミペネムなど)には感受性を示すのが一般的です。メロペネムに耐性を示すのは、MBL(メタロβ-ラクタマーゼ)やKPC(クレブシエラ・ニューモニエ・カルバペネマーゼ)などのカルバペネマーゼ産生菌であることが多く、ESBL産生菌では通常ありません。正しくは:「ESBL産生菌が第3世代セファロスポリンに耐性を示すこと」や「カルバペネマーゼ産生菌がメロペネムに耐性を示すこと」であれば、典型的な組み合わせです。選びやすい理由:ESBLが強力な耐性因子であるため、あらゆるβ-ラクタム系薬に耐性を示すと誤解しやすいです。特に「多剤耐性」というイメージから、カルバペネムにも効かないと考えてしまうことがあります。混同注意:ESBLとカルバペネマーゼ(MBL、KPCなど)の耐性スペクトラムを混同しやすいです。
- 3. MDRP(多剤耐性緑膿菌)は、カルバペネム系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系の3系統の抗生物質のうち、少なくとも1剤に耐性を示す緑膿菌と定義されることが多く、アミカシン(アミノグリコシド系)に対する耐性はMDRPの典型的な性質の一つです。選びやすい理由:「多剤耐性」という言葉から、特定の薬剤との組み合わせが誤っているのではないかと考えやすいですが、アミカシンはその定義に含まれる薬剤です。混同注意:MDRPが耐性を示す薬剤系統を正確に把握していないと、誤りと判断してしまう可能性があります。
- 4. MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、メチシリンを含むほとんどのβ-ラクタム系抗生物質(ペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系の一部など)に耐性を示します。セファゾリンは第1世代セファロスポリンであり、MRSAがこれに耐性を示すのは非常に典型的な組み合わせです。選びやすい理由:メチシリンとセファゾリンが異なる薬剤名であるため、MRSAの耐性範囲を誤解する可能性があります。混同注意:MRSAの耐性機序(PBP2'の産生)が、どのβ-ラクタム系薬剤に影響するかを理解していないと間違えやすいです。
- 5. VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は、その名称が示す通り、バンコマイシンに対して耐性を持つ腸球菌であり、これは最も典型的な組み合わせです。選びやすい理由:薬剤名がそのまま略語に含まれているため、誤りとは考えにくい選択肢です。混同注意:バンコマイシン耐性のメカニズム(D-Ala-D-Lac置換など)や、腸球菌以外の菌種との関連で混乱する可能性は低いでしょう。
国試ポイント
この問題は、主要な薬剤耐性菌の略語と、それぞれがどのような薬剤に対して耐性を示すかという基礎知識を問うています。特にESBL産生菌の耐性スペクトラム(カルバペネムには感受性を示すこと)を正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
ESBL産生菌とカルバペネマーゼ産生菌(MBL、KPCなど)の耐性スペクトラムの違いが混同されやすい点です。また、各耐性菌が耐性を示す抗生物質の具体的な種類や系統を曖昧に覚えていると間違いやすくなります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、学生は主要な耐性菌ごとに『どの薬剤には効かず、どの薬剤には効くのか(あるいは感受性を示すのか)』という関係性を、具体的な薬剤名を挙げて正確に記憶しているかを確認する必要があります。特に例外的な関係性(例:ESBL産生菌にカルバペネムが効くこと)に注目しましょう。
関連知識
薬剤耐性メカニズム(β-ラクタマーゼ産生、PBP変異、薬剤排出ポンプなど)、抗生物質の分類と作用機序、代表的な薬剤耐性菌の定義と臨床的意義(MRSA, VRE, PRSP, ESBL, KPC, MBL, MDRPなど)。