妊婦が初感染すると胎児奇形のリスクが高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
妊娠初期(特に妊娠12週まで)に妊婦が風疹ウイルスに初感染すると、胎児にウイルスが感染し、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome, CRS)として心奇形、難聴、白内障などの重篤な先天性異常を引き起こすリスクが極めて高いです。これは臨床検査技師として非常に重要な知識です。
選択肢ごとの解説
- 1. B型肝炎ウイルス(HBV)は、主に分娩時に母子垂直感染を起こすことが知られていますが、胎児の先天性奇形を直接引き起こすリスクは低いとされています。感染した胎児は、出生後に慢性肝炎やキャリア化に至る可能性があります。正しくは:B型肝炎ウイルスは胎児奇形のリスクは低く、主な問題は垂直感染による出生後の肝炎発症やキャリア化です。選びやすい理由:母子垂直感染を起こす点で、胎児への影響が大きいウイルスとして選んでしまう可能性があります。混同注意:サイトメガロウイルスや風疹ウイルスなど、胎児奇形を引き起こすウイルスと混同するかもしれません。
- 2. アデノウイルスは、呼吸器感染症や結膜炎、胃腸炎などを引き起こす一般的なウイルスですが、妊娠初期の感染によって胎児奇形のリスクが高まるという明確な科学的証拠はありません。正しくは:アデノウイルスは胎児奇形のリスクは低く、一般的に重篤な先天性異常の原因とはなりません。選びやすい理由:一般的なウイルス感染症であり、妊娠中の感染自体が不安視されるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:TORCH症候群の病原体ではないため、それらのウイルスと混同することはないはずですが、単に「ウイルス感染症」として危険視する可能性はあります。
- 3. インフルエンザウイルスは、妊婦が感染すると重症化するリスクが高く、早産や低出生体重児のリスクに関連するとされていますが、胎児の先天性奇形を直接引き起こすリスクは低いと考えられています。ただし、高熱が続くことによる胎児への間接的な影響は考慮されることがあります。正しくは:インフルエンザウイルスは胎児奇形のリスクは低く、主な問題は妊婦自身の重症化や早産のリスクです。選びやすい理由:妊婦が感染すると重症化しやすいという情報から、胎児にも直接的な大きな影響があると誤解する可能性があります。混同注意:風疹ウイルスのような明確な催奇形性を持つウイルスとは異なります。
- 4. 正解。風疹ウイルスは、特に妊娠初期(妊娠12週頃まで)に妊婦が初めて感染すると、ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、先天性風疹症候群(CRS)として知られる心疾患、難聴、白内障といった重篤な先天性奇形や発達障害を引き起こすリスクが非常に高いため、正答となります。
- 5. 麻疹ウイルスは、妊婦が感染すると重症化しやすく、流産や早産のリスクを高めることがありますが、風疹ウイルスのように特定の胎児奇形を引き起こす明確な催奇形性はないとされています。正しくは:麻疹ウイルスは胎児奇形のリスクは低く、主な問題は妊婦自身の重症化、流産や早産のリスクです。選びやすい理由:麻疹も感染症としては重篤であり、風疹と名称が似ているため、同様に胎児奇形を引き起こすと思い込む可能性があります。混同注意:風疹と麻疹は発疹を伴う感染症としてよく混同されますが、胎児奇形(催奇形性)に関しては風疹が特筆すべきです。
国試ポイント
妊婦が感染した場合の胎児への影響、特に催奇形性を持つウイルスについて問う問題です。TORCH症候群に含まれる病原体とその特徴を正確に理解しているかを確認しています。
混同注意
麻疹ウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスなど、他の母子感染を起こすウイルスと混同しやすいですが、**明確な催奇形性**の有無が区別の重要なポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他のTORCH症候群の病原体(例:サイトメガロウイルス、トキソプラズマ)が問われる可能性や、各病原体による具体的な胎児の症状(例:サイトメガロウイルス感染による小頭症、脳内石灰化など)がより詳細に問われる可能性があります。それぞれの病原体について、催奇形性の有無、引き起こす主な異常、感染時期による影響の違いを把握しておくことが重要です。
関連知識
TORCH症候群の病原体(トキソプラズマ、その他(梅毒、B型肝炎、パルボB19など)、風疹、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)とその主な胎児への影響を把握しておく必要があります。各ウイルスの感染経路、症状、予防法(ワクチンなど)も関連知識として重要です。また、妊娠時期と胎児への影響の関連性(特に妊娠初期の催奇形性)も理解が求められます。