染色法と対象となる微生物の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
KOH法は皮膚や爪などの検体から真菌(特に皮膚糸状菌)を迅速に検出するのに有効であり、グロコット染色(GMS染色)はニューモシスチス・イロベチーの嚢子を特異的に染め出すために重要な特殊染色法です。これらは、それぞれの微生物の検出において標準的かつ効果的な手法として確立されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 墨汁法は主にクリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)の莢膜を検出するために用いられます。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)は莢膜を持たないため、この染色法の主要な対象ではありません。正しくは:墨汁法 - クリプトコックス・ネオフォルマンス選びやすい理由:両方とも真菌であるため、関連があるように感じられるかもしれません。カンジダも一般的な真菌感染症の原因菌です。混同注意:墨汁法が真菌の検査法であることは正しいですが、その特定の検出対象(莢膜を持つ真菌)とカンジダが混同されやすいです。
- 2. 正解。KOH(水酸化カリウム)法は、皮膚や爪などの角質組織を分解し、白癬菌(皮膚糸状菌)であるトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)などの真菌成分(菌糸、胞子)を顕微鏡で観察するために広く用いられる迅速診断法です。
- 3. 正解。グロコット染色(Grocott's methenamine silver stain; GMS染色)は、ニューモシスチス・イロベチー(Pneumocystis jirovecii)の嚢子壁を特異的に黒く染め出すのに非常に有効な特殊染色法であり、ニューモシスチス肺炎の診断に不可欠です。
- 4. ギメネス染色(Giménez stain)は、主にリケッチアやクラミジアなど、細胞内寄生性の小型細菌の検出に用いられます。マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)は細胞壁を持たず非常に小さいため、通常、この染色法では検出が困難です。正しくは:ギメネス染色 - リケッチア属菌 または クラミジア属菌選びやすい理由:両方とも小型の細菌であり、特殊な染色が必要なグループに属するという共通点から、関連があるように思えるかもしれません。混同注意:ギメネス染色の対象微生物(リケッチア、クラミジア)とマイコプラズマが混同されやすいです。マイコプラズマはグラム染色でも染まりにくいことで知られています。
- 5. チール・ネルゼン染色(Ziehl-Neelsen stain)は、抗酸性染色法であり、主にマイコバクテリウム属菌(結核菌など)の検出に用いられます。レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)はグラム陰性桿菌であり、抗酸性菌ではないため、この染色法の対象とはなりません。正しくは:チール・ネルゼン染色 - マイコバクテリウム・ツベルクローシス(結核菌)選びやすい理由:レジオネラも特殊な染色が必要な細菌であるため、特殊染色の一つであるチール・ネルゼン染色が関連すると思うかもしれません。混同注意:チール・ネルゼン染色(抗酸性染色)の対象であるマイコバクテリウム属菌と、グラム染色で染まりにくいレジオネラ菌が混同されやすいです。レジオネラは一般的にグラム染色では染まりにくく、蛍光抗体法(DFA)や培養で検出されることが多いです。
国試ポイント
微生物学の国家試験では、主要な染色法とその代表的な対象微生物の組み合わせが頻繁に出題されます。特に、特徴的な病原体やその検出に特異的な染色法(例:抗酸菌に対するチール・ネルゼン染色、莢膜に対する墨汁法、真菌に対するグロコット染色やKOH法)は重要です。各染色法の原理と、その染色が有効な微生物の細胞構造(例:細胞壁の成分、莢膜、抗酸性)を理解しておくことが求められます。
混同注意
グラム染色以外の特殊染色法(墨汁法、KOH法、グロコット染色、ギメネス染色、チール・ネルゼン染色など)とその適用対象が混同されやすい傾向があります。特に、特定の細胞構造(莢膜、細胞壁の特殊成分、抗酸性)を染め出す染色法と、その特徴を持つ微生物のペアを正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題される際は、今回誤りであった選択肢が正しい組み合わせで出題される可能性や、他のあまり知られていない特殊染色法(例: ワイゲルト染色、PAS染色、Warthin-Starry染色など)と微生物の組み合わせが問われる可能性があります。また、単に染色法と微生物だけでなく、その「染色によって検出される微生物の構造や特徴」まで問われることも想定されます。
関連知識
微生物の診断における染色法は多岐にわたります。例えば、グラム染色は一般細菌の分類に、墨汁法はクリプトコックスの莢膜に、KOH法は皮膚糸状菌の迅速検出に、グロコット染色はニューモシスチスや他の真菌に、ギメネス染色はリケッチアやクラミジアに、チール・ネルゼン染色(抗酸性染色)はマイコバクテリウム属菌にそれぞれ用いられます。レジオネラ菌の検出には、蛍光抗体法(DFA法)や培養、抗原検査が一般的です。