蛋白合成阻害作用を有する抗菌薬はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
テトラサイクリン系抗菌薬は、細菌のリボソーム30Sサブユニットに特異的に結合し、アミノアシルtRNAがリボソームのA部位に結合するのを妨げることで、タンパク質合成を阻害します。これにより、細菌の増殖を抑制する静菌作用を発揮します。
選択肢ごとの解説
- 1. キノロン系抗菌薬は、細菌のDNAジャイレース(トポイソメラーゼII)やトポイソメラーゼIVを阻害することで、DNAの複製や転写を妨げ、核酸合成を阻害します。正しくは:DNA複製阻害作用を有します。選びやすい理由:幅広いスペクトルを持つ強力な抗菌薬として知られているため、一般的な阻害作用を持つと誤解される可能性があります。混同注意:他の核酸合成阻害薬(リファンピシンなど)や、細胞壁合成阻害薬と混同されることがあります。
- 2. サルファ剤は、細菌が葉酸を合成するために必要な酵素(ジヒドロプテロイン酸シンターゼ)の働きを阻害し、葉酸の生合成を妨げます。正しくは:葉酸合成阻害作用を有します。選びやすい理由:比較的古い抗菌薬であり、作用機序の詳細を覚えていないと、一般的な阻害作用を持つと誤解される可能性があります。混同注意:葉酸代謝拮抗薬であるトリメトプリム(葉酸合成の異なる段階を阻害)と併用されることが多いため、作用機序を混同しやすいです。
- 3. カルバペネム系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成に必要なペニシリン結合タンパク質(PBP)に結合し、ペプチドグリカンの架橋形成を阻害することで細胞壁を脆弱化させます。正しくは:細胞壁合成阻害作用を有します。選びやすい理由:広範囲スペクトルを持ち、重症感染症に用いられる強力な抗菌薬であるため、何でも阻害するようなイメージから誤って選ばれることがあります。混同注意:ペニシリン系やセフェム系といった他のβ-ラクタム系抗菌薬とは同じ細胞壁合成阻害ですが、タンパク質合成阻害薬とは作用機序が異なります。
- 4. ホスホマイシン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成の初期段階を阻害します。具体的には、ペプチドグリカン前駆体であるN-アセチルムラミン酸の合成を触媒する酵素を不可逆的に阻害します。正しくは:細胞壁合成阻害作用を有します。選びやすい理由:他の細胞壁合成阻害薬とは異なるユニークな作用点を持つため、その特異性から正解だと誤解する可能性があります。混同注意:バンコマイシン(細胞壁合成の後期を阻害)など、他の細胞壁合成阻害薬と作用機序の細部を混同しやすいです。
- 5. 正解。テトラサイクリン系抗菌薬は、細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合し、アミノアシルtRNAがリボソームのA部位に結合するのを妨げることで、タンパク質合成を阻害します。混同注意:同じタンパク質合成阻害薬であるマクロライド系(50Sサブユニット阻害)やアミノグリコシド系(30Sサブユニットに結合するが、mRNAの読み取りを誤らせる)と作用機序の細部を混同することがありますが、大分類としては共通しています。
国試ポイント
抗菌薬の作用機序は、国家試験で頻繁に出題される重要な論点です。特に、細胞壁合成阻害、タンパク質合成阻害、核酸合成阻害、葉酸合成阻害といった主要な分類と、それぞれの代表的な薬剤名を正確に紐付けて覚えることが求められます。作用機序を理解することは、薬剤耐性のメカニズムや、副作用、併用禁忌などを学ぶ上でも基礎となります。
混同注意
同じタンパク質合成阻害薬であるマクロライド系(50Sサブユニット阻害)やアミノグリコシド系(30Sサブユニットに結合するが、mRNAの読み取りを誤らせることでタンパク質合成を阻害し、殺菌的に作用する)とは作用機序の細部が異なりますが、本問では「タンパク質合成阻害」という大分類が問われているため、この大分類での混同は少ないでしょう。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題された場合、それぞれの作用機序に属する具体的な薬剤名(例:ペニシリンG、セファゾリン、アミカシン、エリスロマイシン、シプロフロキサシンなど)を問う問題や、特定の作用機序を持つ薬剤が複数提示され、その中から一つを選ぶ、あるいは正誤を判断する問題が出題される可能性があります。また、特定感染症に対する第一選択薬として、その作用機序を間接的に問う形式も考えられます。
関連知識
主要な抗菌薬の作用機序分類には、1. 細胞壁合成阻害(ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系、バンコマイシン、ホスホマイシン)、2. タンパク質合成阻害(アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、マクロライド系、クリンダマイシン、クロラムフェニコール)、3. 核酸合成阻害(キノロン系、リファンピシン)、4. 葉酸合成阻害(サルファ剤、トリメトプリム)、5. 細胞膜機能阻害(ポリミキシン系)などがあります。