市中肺炎が疑われた患者の喀痰のGram染色標本(別冊No. 15)を別に示す。分離菌はヒツジ血液寒天培地に発育しなかった。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Haemophilus influenzaeは、V因子(NAD)とX因子(ヘミン)を要求するため、これらの因子を含まないヒツジ血液寒天培地では単独で発育できません。市中肺炎の原因菌として重要であり、グラム染色では小型のグラム陰性球桿菌として観察されます。設問の「ヒツジ血液寒天培地に発育しなかった」という情報が、この菌を強く示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. Acinetobacter baumanniiはグラム陰性球桿菌であり、ヒツジ血液寒天培地に発育可能です。画像所見や培養結果と一致しません。正しくは:Acinetobacter baumanniiは通常、通常の培地で発育します。選びやすい理由:グラム陰性菌である点で迷う可能性があります。混同注意:他のグラム陰性桿菌と混同しやすいです。
- 2. 正解。Haemophilus influenzaeはグラム陰性球桿菌であり、市中肺炎の主要な原因菌の一つです。また、V因子(NAD)とX因子(ヘミン)を要求するため、通常ヒツジ血液寒天培地単独では発育しません(ただし、S. aureusなどの溶血菌が存在すると衛星現象として発育することもありますが、ここでは「発育しなかった」と明記されているため、単独培養では発育しないと判断されます)。画像が示されていないため推測ですが、おそらくグラム陰性の小型桿菌や球桿菌が描かれていると推測されます。混同注意:グラム染色所見だけで他のグラム陰性桿菌と区別が難しい場合があります。培養条件が重要です。
- 3. Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌であり、ヒツジ血液寒天培地に良好に発育します。培養結果と一致しません。正しくは:Klebsiella pneumoniaeは通常の培地で容易に発育します。選びやすい理由:グラム陰性桿菌による肺炎の原因菌であるため選択肢として魅力的ですが、培養結果が異なります。混同注意:肺炎の原因菌である他のグラム陰性桿菌と混同しやすいです。
- 4. Moraxella catarrhalisはグラム陰性双球菌であり、ヒツジ血液寒天培地に発育可能です。画像所見や培養結果と一致しません。正しくは:Moraxella catarrhalisは通常の培地で発育します。選びやすい理由:肺炎の原因菌の一つであり、グラム陰性菌であるため迷う可能性があります。混同注意:Neisseria属菌や他のグラム陰性球菌と混同しやすいです。
- 5. Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌であり、ヒツジ血液寒天培地に良好に発育します。培養結果と一致しません。正しくは:Pseudomonas aeruginosaは通常の培地で容易に発育します。選びやすい理由:日和見感染などで肺炎の原因となるグラム陰性桿菌であるため選択肢として魅力的ですが、培養結果が異なります。混同注意:他のグラム陰性桿菌と混同しやすいです。
国試ポイント
グラム染色所見と細菌の培養特性(特に栄養要求性)を結びつけて、主要な細菌感染症の原因菌を特定できるかどうかが問われています。市中肺炎の主要原因菌に関する知識も必要です。
混同注意
グラム陰性桿菌は形態が似ていることが多いため、培養条件(特に栄養要求性)が鑑別の重要なポイントとなります。他のグラム陰性桿菌は多くが通常の培地で発育するため、そこを混同すると誤答につながります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、まず「グラム染色所見」から細菌のおおまかな分類(グラム陽性/陰性、球菌/桿菌など)を判断し、次に「培養特性(どの培地で発育したか/しなかったか、特殊な条件が必要か)」から栄養要求性を考慮して菌種を絞り込む。特に、選択肢の各菌の基本的な培養特性を正確に記憶しておく。
関連知識
細菌の栄養要求性、グラム染色所見の解釈、市中肺炎の主要な原因菌と薬剤感受性、衛星現象。