血清の非働化により失活する補体成分はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
血清の非働化(56℃、30分間の加熱)は、抗体などの熱安定な成分は保持しつつ、熱に不安定な補体成分や一部のウイルスを失活させることを目的とした処理です。補体成分の中で特にC1複合体(C1q, C1r, C1s)は熱に非常に不安定であり、この処理によって機能が失われます。そのため、補体活性を測定する際に非働化血清を使用すると、古典経路の初期段階が阻害されます。他の選択肢のC3, C4, C6, D因子などは、この程度の加熱では完全に失活せず、比較的熱安定な成分として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。C1複合体(C1q, C1r, C1s)は熱に非常に不安定な性質を持つため、血清を56℃で30分間加熱する非働化処理によってその活性が失われます。これは古典経路の開始に必須な成分です。
- 2. C3は補体経路の中心的な成分ですが、一般的な血清の非働化処理(56℃、30分間)ではその活性は完全には失活しません。C3は比較的熱安定性があります。正しくは:C3は非働化処理では完全に失活しない、比較的熱安定な補体成分である。選びやすい理由:補体成分の中で最も量が多く、多様な機能を持つため、補体全般の代表として誤って選択されやすいかもしれません。混同注意:補体反応中に消費されることと、熱によって失活することとは異なります。
- 3. C4も比較的熱安定な補体成分であり、非働化処理によってその活性が完全に失われることはありません。正しくは:C4は非働化処理では完全に失活しない、比較的熱安定な補体成分である。選びやすい理由:C1の次に古典経路で活性化されるため、C1と関連付けて誤解される可能性があります。混同注意:C4は古典経路においてC1によって切断・活性化されますが、それ自体が熱に不安定というわけではありません。
- 4. C6は膜傷害複合体(MAC)の構成成分であり、非働化処理によって失活する補体成分ではありません。比較的熱安定性があります。正しくは:C6は非働化処理では完全に失活しない、比較的熱安定な補体成分である。選びやすい理由:補体経路の下流に位置する成分であるため、全体として影響を受けやすいと誤解されるかもしれません。混同注意:C6はMAC形成に必須ですが、熱不安定性とは直接関係ありません。
- 5. D因子(Factor D)は代替経路の開始に関与するセリンプロテアーゼですが、非働化処理による影響を受けにくい、比較的熱安定な成分です。正しくは:D因子は非働化処理では完全に失活しない、比較的熱安定な補体成分である。選びやすい理由:代替経路の初期段階に関わる因子であるため、補体活性全体への影響から誤って選択される可能性があります。混同注意:他の補体因子と同様に、熱に対する安定性に関する知識と混同しやすいです。
国試ポイント
補体の非働化処理とその目的、および熱安定性・熱不安定性を示す代表的な補体成分を理解しているかを問う問題です。特に、C1が非働化によって失活する最も重要な補体成分であることを知っているかがポイントとなります。臨床検査技師国家試験では、補体に関する基礎知識や、検査操作における血清処理の意義が頻繁に出題されます。
混同注意
補体成分が「消費される」ことと「熱によって失活する」ことを混同しやすいです。補体反応が進むとC3などが消費されますが、これは活性化の結果であり、熱によって変性する失活とはメカニズムが異なります。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、非働化処理によって活性が維持される補体成分や、非働化処理の臨床検査における具体的な応用例(例:梅毒血清反応のRPR試験やFTA-ABS試験における補体除去の必要性)が問われる可能性があります。また、各補体成分の欠損症や関連疾患(例:C1インヒビター欠損による遺伝性血管性浮腫)についても理解しておくべきです。
関連知識
補体経路(古典経路、代替経路、レクチン経路)の活性化メカニズムと主要な構成成分。各補体成分の機能と生理的役割(オプソニン作用、アナフィラトキシン、走化性因子、膜傷害複合体形成など)。血清非働化の目的と意義(免疫学的検査において補体による非特異反応を避けるためなど)。非働化処理によって失活するその他の熱不安定な物質(例: 一部のウイルス)。