試験管内補体寒冷活性化現象〈コールドアクチベーション〉でみられる検査結果の組合せで正しいのはどれか。
| 血清補体価 | 血漿補体価 | C3蛋白量 | |
|---|---|---|---|
| ① | 基準範囲内 | 基準範囲内 | 低値 |
| ② | 基準範囲内 | 低値 | 基準範囲内 |
| ③ | 低値 | 基準範囲内 | 基準範囲内 |
| ④ | 低値 | 基準範囲内 | 低値 |
| ⑤ | 低値 | 低値 | 低値 |
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
コールドアクチベーションは、試験管内で検体を冷蔵保存することにより補体が活性化され消費される現象です。この現象が起こると、冷蔵保存された血清中の補体(血清補体価)は活性化され消費されるため低値を示します。一方、血液凝固を防ぐために抗凝固剤が添加された血漿中では、補体は活性化されにくいため、血漿補体価は基準範囲内を保ちます。また、C3蛋白量自体は、血漿中における補体成分の総量を示すため、補体活性化の影響を受けにくく、基準範囲内を保つことが多いです。したがって、血清補体価が低値、血漿補体価が基準範囲内、C3蛋白量が基準範囲内の組み合わせである③が正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. コールドアクチベーションでは、冷蔵保存された血清中の補体が活性化され消費されるため、血清補体価は低値を示すのが一般的です。そのため、「血清補体価 基準範囲内」という記述は誤りです。正しくは:血清補体価:低値選びやすい理由:補体活性化が軽度である場合や、補体産生能が高い場合には、一時的に基準範囲内を保つ可能性も考えられますが、コールドアクチベーションの定義からは外れます。混同注意:生体内で補体活性化が起こっていない状態、あるいは血漿検体の状態と混同している可能性があります。
- 2. コールドアクチベーションでは、試験管内で補体が活性化されるのは主に血清中であり、抗凝固剤が添加された血漿中では補体活性化が抑制されるため、血漿補体価は通常基準範囲内を保ちます。「血漿補体価 低値」という記述は誤りです。正しくは:血漿補体価:基準範囲内選びやすい理由:試験管内で補体活性化が起こるという現象全体に注目しすぎると、血清と血漿の違いを見落とし、両方とも低値になると思い込む可能性があります。混同注意:血清検体における補体活性化による消費、あるいはin vivoで広範な補体活性化が起こっている病態と混同している可能性があります。
- 3. 正解。コールドアクチベーションにより、冷蔵保存された血清中の補体は活性化され消費されるため、血清補体価は低値となります。血漿中では抗凝固剤の影響で補体活性化が抑制されるため、血漿補体価は基準範囲内を保ちます。C3蛋白量は補体成分の総量であり、補体活性化がin vitroの現象であるため、基本的に基準範囲内を保ちます。したがって、この組合せが正しいです。選びやすい理由:この選択肢は、コールドアクチベーションのメカニズムと血清・血漿の検体特性を正確に理解していれば、迷わず選択できるはずです。特に誘惑的な点はありませんが、他の選択肢との比較で誤りを見抜く必要があります。混同注意:特になし。正しい理解を問う選択肢です。
- 4. コールドアクチベーションでは、血漿中では補体活性化が抑制されるため、血漿補体価は通常基準範囲内を保ちます。「血漿補体価 基準範囲内」という点は正しいですが、C3蛋白量は補体活性化の影響を受けにくく、通常は基準範囲内を保ちます。「C3蛋白量 低値」という記述は誤りです。正しくは:C3蛋白量:基準範囲内選びやすい理由:補体活性化による補体の「消費」という言葉から、補体成分であるC3も消費され低値になると思い込む可能性があります。しかし、コールドアクチベーションは試験管内の現象であり、C3蛋白の産生が低下しているわけではありません。混同注意:生体内での持続的な補体活性化や、C3の産生低下を伴う病態(例:遺伝性C3欠損症)と混同している可能性があります。
- 5. コールドアクチベーションでは、血漿補体価は基準範囲内を保ち、C3蛋白量も通常は基準範囲内を保ちます。「血漿補体価 低値」および「C3蛋白量 低値」という記述は誤りです。全ての項目が低値となるのは、主に生体内での広範な補体活性化による消費が持続している場合や、補体産生不全の病態で見られます。正しくは:血漿補体価:基準範囲内、C3蛋白量:基準範囲内選びやすい理由:試験管内で補体が消費されるという現象から、あらゆる補体関連の検査値が低下すると誤解する可能性があります。特に、生体内の重症な補体関連疾患の検査結果と混同しやすいです。混同注意:重症な補体活性化疾患(例:SLE、溶血性尿毒症症候群など)や、補体産生不全の状態と混同している可能性があります。
国試ポイント
試験管内での補体活性化現象(コールドアクチベーション)が検査結果に与える影響について理解しているか、特に血清と血漿の違い、および補体価と補体成分量の違いを正確に把握しているかが問われます。
混同注意
コールドアクチベーションとin vivoでの補体活性化、血清補体価と血漿補体価、補体価と補体成分量(C3蛋白量など)の区別が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず「in vitroの現象かin vivoの現象か」を確認し、次に「血清検体か血漿検体か」の違いを明確にすること。そして、「補体活性の指標(補体価)か、補体成分の量(C3蛋白量など)か」を区別して判断します。
関連知識
補体系は、免疫応答の重要な一部であり、抗原抗体複合体や微生物表面などの刺激によって活性化されます。補体は活性化されると、炎症反応の誘導、オプソニン化、細胞溶解などの機能を発揮します。補体活性化の経路には、古典経路、副経路、レクチン経路があり、それぞれ異なるメカニズムで活性化されます。試験管内での補体活性化は、検体の保存条件や採血管の種類によっても影響を受けることがあります。特に血清補体価(CH50やAP50など)は、補体活性の総和を評価するものであり、検体の取り扱いによって容易に変動する可能性があります。