中和抗体はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
中和抗体はウイルスの感染性(細胞への吸着・侵入)を阻止する抗体であり、通常、ウイルス表面に存在する抗原に対する抗体が機能します。HBs抗体はB型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗原)に結合し、肝細胞へのウイルス吸着を阻害します。IgG-HA抗体はインフルエンザウイルスの血球凝集素(HA)に結合し、ウイルスが標的細胞に吸着するのを妨げ、感染を中和します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。HBs抗体はB型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗原)に結合し、ウイルスの肝細胞への吸着・侵入を阻害することで中和活性を発揮します。選びやすい理由:B型肝炎ワクチン接種によって誘導される主要な防御抗体であり、臨床的にも広く認知されているため選びやすいです。混同注意:HBe抗体など、B型肝炎の他の抗体。HBe抗体はウイルス増殖抑制には関わるが直接的な中和抗体ではない。
- 2. HCV抗体はC型肝炎ウイルスに対する抗体ですが、感染の有無を示すマーカーであり、ウイルスを完全に中和して感染防御する機能は限定的です。多くのHCV感染患者ではHCV抗体が存在してもウイルス血症が持続します。正しくは:HCV抗体はC型肝炎ウイルスの感染マーカーであり、中和抗体として感染防御に寄与する機能は限定的である。選びやすい理由:ウイルスに対する抗体であるため、漠然と感染防御能があると誤解しやすい。混同注意:HBs抗体のように、感染防御に直接寄与する中和抗体。
- 3. 正解。IgG-HA抗体はインフルエンザウイルスの血球凝集素(HA)に結合し、ウイルスが宿主細胞の受容体(シアル酸)に結合するのを阻害することで、ウイルス感染を中和します。ワクチン接種で誘導される主要な中和抗体です。選びやすい理由:インフルエンザワクチンの効果と関連付けて考えやすいため。混同注意:インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに対する抗体(NA抗体)。NA抗体はウイルスの放出を阻害するが、直接的な中和抗体とは異なる。
- 4. HIV-1/2抗体はヒト免疫不全ウイルス1型/2型に対する抗体であり、感染の診断マーカーとして用いられます。しかし、これらの抗体は感染の進行を完全に阻止する中和能を持たないため、ウイルス血症が持続します。そのため、感染防御に有効な中和抗体とは言えません。正しくは:HIV-1/2抗体はHIV感染の診断マーカーであるが、感染防御に有効な中和抗体ではない。選びやすい理由:HIV感染時に体内で抗体が産生されるため、防御機能があると誤解しやすい。混同注意:中和抗体としての機能と、感染診断マーカーとしての機能を混同しやすい。
- 5. IgG-HBc抗体はB型肝炎ウイルスのコア抗原(HBc抗原)に対する抗体です。HBc抗原はウイルス粒子内部に存在するため、IgG-HBc抗体が産生されても、ウイルスが細胞に吸着・侵入するのを直接阻害する中和活性は持ちません。主にB型肝炎ウイルス感染既往のマーカーとして用いられます。正しくは:IgG-HBc抗体はB型肝炎ウイルス感染既往のマーカーであり、ウイルス内部のコア抗原に対する抗体であるため中和活性は持たない。選びやすい理由:B型肝炎ウイルスに対する抗体であるため、HBs抗体と同様に中和抗体であると誤解しやすい。混同注意:HBs抗体(表面抗原に対する抗体)とIgG-HBc抗体(コア抗原に対する抗体)の役割の違い。
国試ポイント
中和抗体とはウイルスの感染性を直接阻害する抗体であり、主にウイルス表面抗原に対するものであることを理解する。
混同注意
抗体陽性が必ずしも中和能を意味しない点。HCV抗体やHIV抗体のように、感染のマーカーであっても中和抗体としての役割は限定的、または感染防御には不十分な場合がある。
次に同じ論点が出たら
ウイルスに対する抗体で中和抗体として機能するものは、ウイルスの細胞への吸着・侵入に関わる表面抗原に対する抗体であるかを判断する。
関連知識
中和抗体は、ウイルス感染の予防(ワクチンによる免疫)や治療(免疫グロブリン製剤)に重要です。例えば、破傷風毒素に対する抗体やジフテリア毒素に対する抗体も、毒素の中和に働くため「中和抗体」の概念で捉えられます。