対象集団の有病率の影響を受けるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
陽性適中率は、検査で陽性となった人が実際に疾患を有している確率を示す指標です。この値は、感度、特異度、そして対象集団の有病率という3つの要素によって決定されます。特に有病率が低い集団では、検査の感度や特異度が高くても陽性適中率は低くなる傾向があります。これは、疾患のない人が誤って陽性となる(偽陽性)割合が、真の陽性者の割合を上回る可能性があるためです。感度、特異度、偽陽性率、陽性尤度比は、検査自体の性能を示す指標であり、対象集団の有病率には直接影響されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 感度は真の陽性者を正しく陽性と判定する確率であり、疾患のある人の中での検査陽性の割合です。これは対象集団の有病率に直接影響されず、検査自体の性能を示します。正しくは:有病率とは無関係に、疾患がある人をどれだけ見つけられるかの指標です。選びやすい理由:検査の性能を示す重要な指標であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:陽性適中率と混同されやすいですが、感度は疾患がある集団における検査の性能、陽性適中率は検査陽性であった集団における疾患の有無を示します。
- 2. 特異度は真の陰性者を正しく陰性と判定する確率であり、疾患のない人の中での検査陰性の割合です。これも対象集団の有病率に直接影響されず、検査自体の性能を示します。正しくは:有病率とは無関係に、疾患がない人をどれだけ除外できるかの指標です。選びやすい理由:感度と同様に、検査の性能を示す重要な指標であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:陰性適中率と混同されやすいですが、特異度は疾患がない集団における検査の性能、陰性適中率は検査陰性であった集団における疾患の有無を示します。
- 3. 偽陽性率は、疾患がない人の中で誤って陽性と判定される確率です。これは(1 - 特異度)で計算され、特異度と同様に検査自体の性能を示すため、有病率には直接影響されません。正しくは:偽陽性率は特異度と密接に関連しており、有病率によって変動するわけではありません。選びやすい理由:「率」という言葉から、何かの割合が変動するような印象を受けるかもしれませんが、これは検査自体の誤判定の確率です。混同注意:陽性適中率の逆のように感じるかもしれませんが、全く異なる概念です。偽陽性率は疾患がない集団における誤判定の割合です。
- 4. 陽性尤度比は、疾患のある人が検査陽性となる確率(感度)を、疾患のない人が検査陽性となる確率(偽陽性率)で割ったものであり、検査の性能を示す指標です。これは有病率とは独立した値です。正しくは:陽性尤度比は、感度と特異度から計算されるため、有病率には影響されません。選びやすい理由:尤度比という言葉が、事後確率と関係するように見えるかもしれませんが、あくまで事前確率(有病率)と独立した検査自体の情報量を示します。混同注意:陽性適中率と関連はありますが、陽性尤度比は事後確率を算出するための「道具」であり、事後確率そのものではありません。
- 5. 正解。陽性適中率は、検査で陽性と判定された人の中で、実際に疾患を持っている人の割合です。これはベイズの定理によって算出され、検査前の疾患の確率である「有病率(事前確率)」に大きく依存します。有病率が高ければ陽性適中率も高くなり、有病率が低ければ陽性適中率も低くなります。
国試ポイント
感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、尤度比など、診断検査の評価指標に関する計算式や各指標が有病率の影響を受けるか否かを問う問題が頻出します。特に、有病率が影響を与える「適中率」と、影響を受けない「感度・特異度」の区別が重要です。
混同注意
感度と陽性適中率、特異度と陰性適中率が非常に混同されやすいです。感度と特異度は「疾患の有無」が確定している集団の中での検査結果の割合であるのに対し、適中率は「検査結果」が確定している集団の中での疾患の有無の割合です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、「有病率(事前確率)によって値が変動するか」という視点で各指標を判断します。特に、「〜適中率」(predictive value)は有病率に依存し、「感度」「特異度」「尤度比」は検査自体の性能を示すため有病率に依存しない、という基本原則を思い出せるかが鍵となります。
関連知識
診断検査の評価指標(感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、陽性尤度比、陰性尤度比、ROC曲線、AUC)、ベイズの定理の概念、スクリーニング検査と確定診断検査における各指標の重要性の違い。