折り返し現象がみられたパルスドプラ波形の調整法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
折り返し現象(エイリアシング)は、ナイキスト限界を超える高速な血流をパルスドプラ法で測定する際に発生します。この現象により、波形が正常な表示範囲を超えて反対側に表示されてしまうため、ゼロシフト機能(ベースラインシフト)を用いてドプラ波形の基準線(ベースライン)を移動させ、波形全体を表示範囲内に収めることで、正確な流速情報を視覚的に判読できるよう調整します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。折り返し現象により、ナイキスト限界を超えた流速信号が逆方向に表示されるため、ゼロシフト機能(ベースラインシフト)を使用してドプラ波形の基準線(ベースライン)を移動させ、波形全体を表示範囲内に収めることで、波形の判読性を改善します。
- 2. ドプラゲインを上げると、信号は強調されますが、折り返し現象自体を解決する効果はなく、むしろノイズが増加して波形が見えにくくなる可能性があります。正しくは:ドプラゲインは、信号が弱く表示が不十分な場合に、適切に調整して信号を明瞭にするために用いますが、過度に上げるとノイズが増えます。折り返し現象の調整には直接関係ありません。選びやすい理由:波形が見えにくいと感じたときに、とりあえずゲインを上げれば良くなると誤解するかもしれません。混同注意:信号が弱すぎて波形が不明瞭なケースと混同する可能性があります。
- 3. パワードプラ法は血流の有無や広がりを視覚化するのに優れていますが、流速方向や正確な流速情報自体は得られません。そのため、流速の折り返し現象を調整する方法としては不適切です。正しくは:パルスドプラ法で流速情報を得ているので、パワードプラ法に切り替えることは問題解決になりません。パワードプラ法は流速方向や速度ではなく、血流の存在そのものを評価する際に有効です。選びやすい理由:ドプラ法の一種なので、何らかの解決策になるのではないかと考えるかもしれません。混同注意:パルスドプラ法で流速情報(波形)を得る目的と、パワードプラ法で血流の広がり(色信号の強度)を得る目的が混同される可能性があります。
- 4. 折り返し現象は、ナイキスト限界(PRFの1/2)を超える高い流速信号をサンプリングできないために発生します。PRFを下げるとナイキスト限界も下がるため、折り返し現象はさらに悪化します。正しくは:折り返し現象を改善するためには、パルス繰り返し周波数(PRF)を上げるか、ゼロシフトを行う、またはCWドプラ法を使用する、プローブの周波数を下げるなどの方法があります。選びやすい理由:周波数を調整するという点で、何らかの関連があると思い込むかもしれませんが、方向が逆です。混同注意:流速が低い場合のパルス繰り返し周波数の調整と混同する可能性があります。高い流速ではPRFを上げるのが基本です。
- 5. サンプルボリュームの幅は、血流をサンプリングする領域の広さを示します。これを大きくしても、折り返し現象の発生原因であるナイキスト限界には影響がなく、問題解決にはなりません。むしろ、広範囲の血流を拾うことで、不必要な信号も多く拾う可能性があります。正しくは:サンプルボリュームの幅は、血流を測定したい特定の部位に合わせて適切に設定します。折り返し現象の調整とは直接関係ありません。選びやすい理由:超音波診断装置の設定項目であるため、何らかの調整で解決できると考えるかもしれません。混同注意:信号がうまく捕捉できない時に、サンプルボリュームの大きさを調整するケースと混同する可能性があります。
国試ポイント
パルスドプラ法における折り返し現象の基本的な理解と、その調整方法(特にゼロシフト、PRF変更)が問われます。各ドプラ法の原理と特徴、そして設定項目が流速波形に与える影響を正確に把握しているかが重要です。
混同注意
折り返し現象の原因(ナイキスト限界)と、その対策として混同されやすい他の調整法(ゲイン調整、サンプルボリューム変更、CWドプラ法との使い分け、PRFを下げること)が挙げられます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、折り返し現象の根本的な原因(ナイキスト限界)や、ゼロシフト以外の具体的な対策(PRFを上げる、プローブの周波数を下げる、CWドプラ法を使用するなど)が問われる可能性があります。
関連知識
ナイキスト限界、パルス繰り返し周波数(PRF)、CWドプラ法、パワードプラ法、ゲイン、サンプルボリューム、ドプラ角補正など、ドプラ超音波の基本原理と設定項目。