脳波(別冊No. 6)を別に示す。所見はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示す脳波は、高振幅で不規則な棘波、多棘波、徐波が全般性に混在し、左右差や周期性がほとんどない、混沌としたパターンを示しています。これはWest症候群に特徴的なヒプスアリスミアの典型的な所見です。他の選択肢は、それぞれ異なる脳波異常を示しており、下図の所見とは一致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 三相波は、肝性脳症などで見られる特徴的な波形で、陽性・陰性・陽性(またはその逆)の3つの相を持つ比較的ゆっくりとした波です。下図の脳波とは異なります。正しくは:下図の脳波は、三相波とは異なる特徴を示しています。選びやすい理由:脳波の異常波形として、三相波も重要な鑑別ですが、図の所見とは一致しません。混同注意:三相波は周期的な波形ですが、ヒプスアリスミアのような不規則な高振幅波形とは異なります。
- 2. 徐波群発は、特定の部位から周期的に現れる徐波のまとまりを指します。てんかん焦点などで見られることがありますが、下図のような全体的な不規則性と高振幅は伴いません。正しくは:下図の脳波は、徐波の群発というよりも、さらに広範囲で不規則な異常を示しています。選びやすい理由:「徐波」という言葉は、ヒプスアリスミアにも含まれる要素ですが、「群発」という表現では不十分です。混同注意:徐波群発は、ある程度の規則性を持って出現する徐波のまとまりですが、ヒプスアリスミアは極めて不規則で無秩序です。
- 3. 棘徐波複合は、棘波(スパイク)の直後に徐波が続く波形で、特に小児欠神てんかんで特徴的に見られる3Hzの律動的なものが有名です。下図の脳波は、このような規則的な複合波形ではありません。正しくは:下図の脳波は、棘波と徐波が規則的に複合したパターンではありません。選びやすい理由:棘波や徐波はてんかん性脳波の要素ですが、それらが複合していても図のような無秩序な波形とは異なります。混同注意:棘徐波複合は比較的規則的なパターンを形成しますが、ヒプスアリスミアは混沌とした波形を示します。
- 4. 正解。ヒプスアリスミアは、West症候群(点頭てんかん)の乳児期に特徴的に見られる脳波所見です。高振幅で非常に不規則な棘波、多棘波、徐波が混在し、左右差や同期性がなく、睡眠・覚醒を通じて持続する無秩序なパターンを示します。下図の脳波は、これらの特徴を明確に示しています。正しくは:図の脳波は、高振幅で不規則な棘波、多棘波、徐波が混沌としており、ヒプスアリスミアの典型的パターンです。選びやすい理由:他の選択肢も脳波の異常を示しますが、図のような極めて無秩序な高振幅波形を指すのはヒプスアリスミアのみです。混同注意:他のてんかん性脳波は比較的規則性や局在性を持つことが多いですが、ヒプスアリスミアは全般性で極めて無秩序な波形が特徴です。
- 5. トラセアルテルナン(trace alternant)は、新生児期にみられる脳波パターンで、活動期と静止期が交互に現れる特徴があります。下図の脳波は、このような活動と静止の交代ではなく、持続的な高振幅の不規則な波形を示しています。正しくは:下図の脳波は、トラセアルテルナンに見られるような活動と静止の交互のパターンではありません。選びやすい理由:新生児・乳児期の脳波異常は多岐にわたりますが、トラセアルテルナンは図の所見とは全く異なるパターンです。混同注意:トラセアルテルナンは新生児の睡眠中の脳波パターンですが、ヒプスアリスミアはてんかん性脳症に特徴的な覚醒・睡眠を問わない極めて異常な波形です。
国試ポイント
本問題は、脳波の代表的な異常所見を画像から正確に判別できるかを問うています。特に、小児てんかんで重要なWest症候群に特徴的なヒプスアリスミアの診断的意義を理解していることが重要です。それぞれの異常波形がどのような疾患と関連しているか、具体的な波形の特徴を把握しておく必要があります。
混同注意
脳波の異常波形は多岐にわたるため、個々の波形の特徴を混同しやすいです。特に、棘波や徐波といった個々の要素は様々なてんかん性脳波に含まれるため、それらの組み合わせや全体的なパターンを正確に理解することが鑑別の鍵となります。三相波、棘徐波複合、徐波群発はてんかんや代謝性脳症でみられる異常波形ですが、ヒプスアリスミアのような無秩序な高振幅波形とは異なります。トラセアルテルナンは新生児期の生理的あるいは病的な脳波パターンであり、ヒプスアリスミアとは全く異なる概念です。
次に同じ論点が出たら
West症候群と診断された患者に対して、どのような治療法が選択されるか、またその治療による脳波の変化はどうかを問う問題が考えられます。ACTH療法やビガバトリンなどの薬物療法による脳波の改善(ヒプスアリスミアの消失)も重要な評価点となります。さらに、他の小児てんかん症候群(例:Lennox-Gastaut症候群)の脳波所見との鑑別も重要です。
関連知識
West症候群は、点頭てんかん、精神運動発達遅滞、ヒプスアリスミアの三徴を特徴とする乳児期の重症てんかん症候群です。ヒプスアリスミアはWest症候群の診断に不可欠な脳波所見であり、そのパターンを認識することは臨床検査技師にとって非常に重要です。脳波検査では、このような特徴的なパターンを見つけることで、疾患の早期診断と治療に貢献できます。他の選択肢の異常波形についても、それぞれ関連する疾患(例:三相波と肝性脳症、棘徐波複合と小児欠神てんかん)を理解しておくことが求められます。