膿性痰のGram染色標本(別冊No. 13)を別に示す。推定される菌の鑑別性状で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示すグラム染色像は、通常、尖ったグラム陽性双球菌として観察される肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)を示唆しています。肺炎球菌の重要な鑑別性状の一つに胆汁溶解テスト陽性があります。これは、胆汁酸塩によって菌体が溶解する現象で、肺炎球菌と他のα溶血性連鎖球菌(例えば緑色連鎖球菌)とを区別するために用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. CAMPテスト陽性は、B群溶血連鎖球菌(S. agalactiae)の鑑別性状です。下図のグラム染色像から推定される肺炎球菌はCAMPテスト陰性です。正しくは:CAMPテスト陰性選びやすい理由:溶血連鎖球菌の鑑別テストの一つであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:肺炎球菌とB群溶血連鎖球菌の鑑別性状
- 2. 正解。グラム陽性双球菌で肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)が疑われる場合、肺炎球菌は胆汁溶解テストに陽性を示します。これは肺炎球菌の重要な鑑別性状です。
- 3. LancefieldのC群は、Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilisやStreptococcus equiなどに該当します。肺炎球菌はLancefield分類には属しません(非連鎖球菌)。正しくは:肺炎球菌はLancefield分類に属さない選びやすい理由:連鎖球菌の分類法として知られているため、一般的な連鎖球菌の知識として誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:肺炎球菌と他の連鎖球菌の分類
- 4. 馬尿酸加水分解テスト陽性は、B群溶血連鎖球菌(S. agalactiae)の鑑別性状です。下図のグラム染色像から推定される肺炎球菌は馬尿酸加水分解テスト陰性です。正しくは:馬尿酸加水分解テスト陰性選びやすい理由:B群溶血連鎖球菌の重要な鑑別性状であり、混同しやすいです。混同注意:肺炎球菌とB群溶血連鎖球菌の鑑別性状
- 5. バシトラシン感受性テスト感性は、A群溶血連鎖球菌(S. pyogenes)の鑑別性状です。下図のグラム染色像から推定される肺炎球菌はバシトラシンに耐性または低感受性を示します。正しくは:バシトラシン感受性テスト耐性選びやすい理由:連鎖球菌の鑑別によく用いられるテストであり、一般的な微生物学の知識として選択肢に入りやすいです。混同注意:肺炎球菌とA群溶血連鎖球菌の鑑別性状
国試ポイント
この問題は、グラム染色所見から推定される菌種(肺炎球菌)の主要な鑑別性状に関する知識を問うものです。特に、肺炎球菌と他の連鎖球菌との鑑別に使用される生化学的性状や感受性テストを正確に理解しているかが重要となります。画像診断と細菌鑑別テストの知識を組み合わせた応用問題です。
混同注意
肺炎球菌の鑑別においては、CAMPテスト(B群連鎖球菌)、馬尿酸加水分解テスト(B群連鎖球菌)、バシトラシン感受性テスト(A群連鎖球菌)など、他の連鎖球菌の鑑別テストと混同しやすい。また、Lancefield分類が連鎖球菌に広く用いられるため、肺炎球菌がこの分類に属さない点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、グラム染色所見(形態、配列、グラム染色性)から有力な菌種を絞り込み、その菌種に特異的な鑑別テストや生化学的性状、薬剤感受性パターンを思い出せるかがポイントとなります。特に、似たグラム染色所見を示す異なる菌種間の鑑別性状に注目しましょう。
関連知識
肺炎球菌はグラム陽性双球菌で、莢膜を持つことが特徴であり、肺炎、中耳炎、髄膜炎などの主要な原因菌です。α溶血を示し、オプトキン感受性(感性)であることも鑑別性状として重要です。胆汁溶解テストはデオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩が肺炎球菌の自己融解酵素を活性化することで菌体が溶解する原理を利用しています。