胸部誘導心電図別冊No.32を別に示す。所見として正しいのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心電図上、P波とQRS波が全く無関係に出現しており、P波とQRS波の間に規則的な関連性が認められない。これは心房の興奮が房室結節を介して心室に全く伝わらず、心房と心室がそれぞれ独立したリズムで収縮している状態を示しており、完全房室ブロック、すなわちⅢ度房室ブロックの典型的な所見である。
選択肢ごとの解説
- 1. 洞房ブロックは、P波そのものが欠落したり、P-P間隔が延長するが、本心電図ではP波は規則的に出現しているため誤り。正しくは:洞房ブロックでは、P波の脱落やP-P間隔の延長が見られる。選びやすい理由:ブロックという言葉から、何らかの伝導障害を疑いやすいが、具体的な心電図所見を把握していないと選択してしまう可能性がある。混同注意:房室ブロック(P波とQRS波の関係性)と洞房ブロック(P波の出現自体)の鑑別。
- 2. Ⅰ度房室ブロックはPR間隔が0.20秒以上に延長するが、全てのP波がQRS波に伝導する。本心電図ではP波とQRS波がバラバラに出現しており、P波の一部がQRS波に伝導していないため誤り。正しくは:Ⅰ度房室ブロックではPR間隔が一定に延長し、全てのP波にQRS波が続く。選びやすい理由:ブロックの初期段階と誤解して選択する可能性があり、PR間隔の延長のみに注目してしまうと間違える。混同注意:他の房室ブロック(P波とQRS波の伝導関係)との鑑別。
- 3. Wenckebach型房室ブロック(Ⅱ度房室ブロックTypeⅠ)は、PR間隔が徐々に延長した後にQRS波が脱落する特徴がある。本心電図ではPR間隔の延長は認められず、P波とQRS波が完全に無関係に出現しているため誤り。正しくは:Wenckebach型房室ブロックでは、PR間隔が徐々に延長し、その後にQRS波が脱落する現象を繰り返す。選びやすい理由:不規則なP波とQRS波の関係性から、何らかのⅡ度房室ブロックと誤解しやすい。しかし、PR間隔の漸増という特徴を見落とすと誤答となる。混同注意:MobitzⅡ型房室ブロックやⅢ度房室ブロック(P波とQRS波の伝導関係)。
- 4. MobitzⅡ型房室ブロック(Ⅱ度房室ブロックTypeⅡ)は、PR間隔は一定であるが、P波の一部が突然QRS波に伝導しない特徴がある。本心電図ではP波とQRS波が完全に解離しており、P波の一部が脱落するというよりは、全く独立して出現しているため誤り。正しくは:MobitzⅡ型房室ブロックでは、一定のPR間隔を持つP波が突然QRS波を伴わずに脱落する。選びやすい理由:QRS波の脱落があることから、Ⅱ度房室ブロックの一種と誤解しやすい。しかし、P波とQRS波の完全な解離を見落とすと誤答となる。混同注意:Wenckebach型房室ブロックやⅢ度房室ブロック(P波とQRS波の伝導関係)。
- 5. 正解。本心電図では、P波が規則正しい間隔で出現しているが、QRS波はP波とは無関係に、より遅い独自の調律で出現している。心房の興奮が心室に全く伝導しておらず、心房と心室が完全に解離して別々のリズムを刻んでいる状態である。これはⅢ度房室ブロック(完全房室ブロック)の典型的な所見である。選びやすい理由:P波とQRS波が全く関係ないように見えても、他のブロック型との細かい鑑別が難しいため、自信がないと選びにくい可能性がある。混同注意:他の房室ブロックの重症度との鑑別、特にMobitzⅡ型との区別が重要。
国試ポイント
Ⅲ度房室ブロックの心電図所見を正確に識別できること。
混同注意
各房室ブロックの病態生理と心電図所見を混同しやすい。特に、P波とQRS波の関係性を正確に把握することが重要である。
次に同じ論点が出たら
次回同様の問題が出た際は、まずP波とQRS波が個々にどのくらいの頻度で出現しているか、次にP波とQRS波の間に一定の関連性があるか否かを確認する。
関連知識
Ⅰ度房室ブロックはPR間隔延長、Ⅱ度房室ブロックはP波がQRS波に伝導しないもの(Wenckebach型はPR間隔漸増後に脱落、MobitzⅡ型はPR間隔一定で突然脱落)と覚える。