酵素反応で過酸化水素を発生しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
過酸化水素を生成するオキシダーゼの多くはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするフラビン酵素であり、酸素を最終電子受容体として水ではなく過酸化水素を生成します。選択肢1〜4の酵素(グルコースオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、アシルCoAオキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ)はすべてフラビン含有オキシダーゼであり、過酸化水素を生成します。一方、アスコルビン酸オキシダーゼはマルチ銅含有酵素であり、酸素を直接水に還元するため、過酸化水素を生成しません。
選択肢ごとの解説
- 1. グルコースオキシダーゼは、グルコースを酸化してグルコノラクトンを生成する際に、酸素を消費して過酸化水素を産生するフラビン酵素です。正しくは:グルコースオキシダーゼは過酸化水素を発生します。選びやすい理由:「オキシダーゼ」という名称から、すべてのオキシダーゼが同様の副産物を生成すると誤解しやすいです。混同注意:H2O2を生成するフラビン含有オキシダーゼと、そうでないオキシダーゼ(例えばマルチ銅含有オキシダーゼ)の区別が曖昧な場合、選択肢として選びやすいです。
- 2. サルコシンオキシダーゼは、サルコシンを酸化してグリシンとホルムアルデヒドを生成する際に、酸素を消費して過酸化水素を産生するフラビン酵素です。正しくは:サルコシンオキシダーゼは過酸化水素を発生します。選びやすい理由:他のオキシダーゼと同様に、H2O2生成酵素だと錯覚しやすいです。混同注意:アミノ酸代謝に関連するオキシダーゼ全般がH2O2を生成すると誤認する可能性があります。
- 3. アシルCoAオキシダーゼは、脂肪酸のβ酸化初期段階においてアシルCoAを酸化し、不飽和アシルCoAを生成する際に、酸素を消費して過酸化水素を産生するフラビン酵素です。正しくは:アシルCoAオキシダーゼは過酸化水素を発生します。選びやすい理由:脂肪酸代謝に関わる重要な酵素であるため、その機能を見落としやすいです。混同注意:過酸化物(ペルオキシソーム)でのβ酸化とミトコンドリアでのβ酸化における電子受容体や生成物の違いと混同する可能性があります。
- 4. グリセロールオキシダーゼは、グリセロールを酸化してジヒドロキシアセトンを生成する際に、酸素を消費して過酸化水素を産生するフラビン酵素です。正しくは:グリセロールオキシダーゼは過酸化水素を発生します。選びやすい理由:比較的なじみの薄い酵素である場合、その反応特性を誤解しやすいです。混同注意:他のアルコールデヒドロゲナーゼのようなNAD+/NADH系酵素と混同し、H2O2を生成しないと誤認する可能性があります。
- 5. 正解。アスコルビン酸オキシダーゼは、アスコルビン酸を酸化してデヒドロアスコルビン酸を生成する際に、酸素を直接水(H2O)に還元するマルチ銅含有酵素であり、過酸化水素(H2O2)を生成しません。
国試ポイント
様々なオキシダーゼの酵素反応における生成物を正確に理解しているかを問う問題です。特に、酸素を消費するオキシダーゼがすべて過酸化水素を生成するわけではない、という例外的な知識(マルチ銅含有オキシダーゼなど)が問われています。
混同注意
「オキシダーゼ」という酵素名を持つものはすべて過酸化水素を生成するという誤解。補酵素(FAD、銅など)の違いによる反応様式の違いが不明確な点。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、H2O2を生成するフラビン酵素の代表例だけでなく、H2O2を生成しないオキシダーゼの例や、H2O2の生成・分解に関わる他の酵素(カタラーゼ、ペルオキシダーゼ)の機能も確認する必要があるでしょう。また、各オキシダーゼが関わる代謝経路や、それらの酵素が臨床検査でどのように利用されるかについても問われる可能性があります。
関連知識
フラビン酵素(FAD含有酵素)による過酸化水素生成のメカニズム、マルチ銅含有酵素(例えばチロシナーゼ、ラッカーゼ、シトクロムcオキシダーゼなど)による酸素還元メカニズム、臨床検査における過酸化水素を利用した測定法(例:血糖測定におけるグルコースオキシダーゼ法とペルオキシダーゼの組み合わせ)、活性酸素種とその消去酵素(カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼなど)。