カルシウムについて正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
カルシウムは生体内で多様な機能を持つ重要なミネラルであり、その生理活性は主にイオン型によって発揮されます。また、血液のpH変化はタンパク質とカルシウムの結合に影響を与え、アシドーシスではイオン型カルシウムの割合が増加します。血漿中でのカルシウム輸送タンパク質、抗凝固剤の影響、細胞内外のイオン分布も重要な知識です。
選択肢ごとの解説
- 1. EDTA(エチレンジアミン四酢酸)は、カルシウムイオンと強力に結合する(キレート作用を持つ)抗凝固剤であるため、EDTA加血漿では遊離のカルシウムイオン濃度が低下し、測定値は実際よりも低値を示すか、測定が阻害されます。正しくは:EDTA加血漿ではカルシウムがキレートされるため、測定値は低値となるか、測定が阻害される。選びやすい理由:EDTAが一般的に抗凝固剤として用いられ、血液成分に影響を与えることは知られていますが、具体的な作用機序(キレート作用による結合)を誤解していると高値になると錯覚する可能性があります。混同注意:EDTAが他の成分(例:カリウム)に与える影響や、採血管のキャップの色と測定項目の関連性などと混同するかもしれません。
- 2. 正解。生体内におけるカルシウムの多様な生理機能(筋収縮、神経伝達、ホルモン分泌、血液凝固など)は、タンパク質と結合していない遊離のカルシウムイオン(Ca2+)によって果たされます。タンパク質結合型や複合体形成型は生理活性を持ちません。
- 3. 正解。アシドーシス(血液のpHが低下し、水素イオン濃度が上昇する状態)では、アルブミンなどの血漿タンパク質に結合していたカルシウムが、水素イオンによって置換されます。その結果、遊離するイオン型カルシウムの量が増加します。
- 4. 血清中のカルシウムは、主にアルブミン(約40-50%)やグロブリンなどの血漿タンパク質と結合しています。トランスフェリンは主に鉄(Fe3+)を運搬するタンパク質であり、カルシウムとの結合はほとんどありません。正しくは:血清中では主にアルブミンと結合している。選びやすい理由:血漿中の金属イオン輸送タンパク質としてトランスフェリンという名前が知られているため、他の金属イオン(カルシウム)も輸送すると誤解しやすいです。混同注意:鉄代謝におけるトランスフェリンの役割と、カルシウムの血中輸送タンパク質(アルブミン)とを混同している可能性があります。
- 5. 細胞内液に最も多く存在する陽イオンはカリウムイオン(K+)です。カルシウムイオン(Ca2+)は細胞質内では非常に低い濃度に厳密に保たれており、主に細胞外液に多く存在します。正しくは:細胞内液に最も多く含まれる陽イオンはカリウムである。選びやすい理由:カルシウムが骨や歯の主要な構成成分であり、生体内で非常に重要なミネラルであるため、どこか特定の場所で最も多いと錯覚しやすいですが、細胞内外のイオン分布に関する基本的な知識が曖昧だと誤解を招きます。混同注意:細胞外液に多く含まれる陽イオン(ナトリウム)や、細胞全体で最も多いミネラル(カルシウム)などと混同している可能性があります。
国試ポイント
カルシウムの血中存在形態(結合型とイオン型)、生理活性の本体、酸塩基平衡との関連性、細胞内外の分布、および検体採取時の注意点(EDTAの影響)は、臨床検査技師国家試験で頻出の論点です。基本的な生理学と臨床化学の知識を問う問題形式。
混同注意
カルシウムの血中輸送タンパク質(アルブミンとトランスフェリン)、細胞内外の主要な陽イオン(K+, Na+, Ca2+)、EDTAが測定値に与える影響(高値と低値)、酸性度とタンパク質結合の変化など。
次に同じ論点が出たら
次にカルシウムの類似問題が出た場合、総カルシウムとイオン化カルシウムの基準値と臨床的意義、ビタミンDやPTH、カルシトニンなどのホルモンによるカルシウム代謝の調節機構、低カルシウム血症・高カルシウム血症の主な原因疾患とその症状、または採血条件(クエン酸ナトリウムやヘパリンの影響)に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
血清カルシウム濃度測定の臨床的意義(副甲状腺機能亢進症/低下症、骨疾患、腎不全など)、アルブミン補正カルシウム、総カルシウムとイオン化カルシウムの違い、テタニー発作、ビタミンDとPTHによるカルシウム代謝調節。