ペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体〈MPO-ANCA〉が陽性となるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
顕微鏡的多発血管炎(MPA)は、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体であるMPO-ANCAが陽性となるANCA関連血管炎の主要な疾患です。MPO-ANCAは主に核周囲型ANCA(p-ANCA)のパターンを示し、腎臓や肺など複数の臓器に血管炎を引き起こします。他の選択肢の疾患はMPO-ANCAとは関連が薄いか、ANCA陰性であることが知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. Behçet病は、主にHLA-B51との関連が示唆される自己炎症性疾患であり、MPO-ANCAの陽性率は低く、本疾患の診断にANCAは用いられません。正しくは:Behçet病は口腔内アフタ、外陰部潰瘍、眼病変、皮膚病変などを主症状とします。選びやすい理由:炎症性疾患であるため、免疫学的検査項目を問われる際に混乱しやすい可能性があります。混同注意:他の自己炎症性疾患や血管炎と混同されることがあります。
- 2. 全身性強皮症は、皮膚硬化や内臓病変を特徴とする膠原病で、抗Scl-70抗体(抗トポイソメラーゼI抗体)や抗セントロメア抗体などが特異的に検出されますが、MPO-ANCAは通常陰性です。正しくは:全身性強皮症では抗Scl-70抗体や抗セントロメア抗体が陽性となります。選びやすい理由:まれに強皮症腎クリーゼなどでANCAが陽性となるケースも報告されますが、一般的な関連としては誤りです。混同注意:他の膠原病や、それぞれの疾患で検出される特異的な自己抗体と混同されることがあります。
- 3. 結節性多発動脈炎(PAN)は中・小動脈の壊死性血管炎を特徴としますが、ANCA関連血管炎には分類されず、MPO-ANCAは通常陰性です。正しくは:結節性多発動脈炎はANCA陰性の血管炎であり、診断にANCAは用いられません。選びやすい理由:同じ血管炎の範疇であるため、ANCA関連血管炎と誤解する可能性があります。混同注意:顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症など、ANCAが陽性となる他の血管炎と混同されやすいです。
- 4. 正解。顕微鏡的多発血管炎(MPA)は、MPO-ANCAが陽性となる代表的なANCA関連血管炎の一つです。急速進行性糸球体腎炎や肺胞出血などの症状を引き起こします。
- 5. 多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋肉や皮膚の炎症を主症状とする膠原病で、抗Jo-1抗体などの筋炎特異的自己抗体が検出されますが、MPO-ANCAは通常陰性です。正しくは:多発性筋炎・皮膚筋炎では抗Jo-1抗体や抗MDA5抗体などの筋炎特異的自己抗体が陽性となります。選びやすい理由:自己免疫疾患であり、他の自己抗体との関連を問われる問題と混同する可能性があります。混同注意:他の膠原病や、それぞれの疾患で検出される特異的な自己抗体と混同されることがあります。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、ANCA関連血管炎の各病型(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)と、それぞれに強く関連するANCA(MPO-ANCAまたはPR3-ANCA)の種類を正確に結びつけて理解しているかが頻繁に問われます。また、それぞれのANCAが免疫蛍光法で示すパターン(p-ANCAまたはc-ANCA)も重要です。
混同注意
MPO-ANCAとPR3-ANCAの鑑別、およびそれぞれが関連する疾患(MPO-ANCA: 顕微鏡的多発血管炎、PR3-ANCA: 多発血管炎性肉芽腫症)の混同がよく見られます。また、ANCA陰性の血管炎(例:結節性多発動脈炎)とANCA関連血管炎の区別も重要です。他の膠原病で検出される様々な自己抗体との混同にも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される際は、MPO-ANCAとPR3-ANCAそれぞれの関連疾患、主要な臨床症状、そしてそれらのANCAが免疫蛍光法で示すパターン(p-ANCAとc-ANCA)を比較して問われる可能性が高いです。また、ANCAの測定方法(免疫蛍光法とELISA)の原理や意義についても理解を深めておくと良いでしょう。
関連知識
ANCAは、好中球の細胞質成分に対する自己抗体で、免疫蛍光法で核周囲型(p-ANCA)と細胞質型(c-ANCA)に大別されます。MPO-ANCAは主にp-ANCAパターンを、プロテイナーゼ3(PR3)に対するPR3-ANCAは主にc-ANCAパターンを示します。ANCA関連血管炎は、小さな血管に炎症を起こす重篤な全身性疾患であり、腎不全や肺出血など生命に関わる症状を引き起こすことがあります。