急性期の過換気症候群で低下するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
過換気症候群は、過剰な呼吸によって二酸化炭素が体外へ排出されすぎることが原因で起こります。これにより、血液中の二酸化炭素濃度、すなわち動脈血炭酸ガス分圧(Pa)が直接的に低下します。
選択肢ごとの解説
- 1. 過換気症候群では、呼吸性アルカローシスを代償しようとして、腎臓からの重炭酸イオン排泄が増加する可能性がありますが、急性期においてはまだ顕著な代償反応は起こっていません。むしろ、COが減少することでHCOとの平衡が左に移動し、HCOは維持されるか、わずかに減少する程度です。正しくは:急性期では、重炭酸イオンは呼吸性アルカローシスの直接的な原因ではないため、著しい低下は見られません。慢性期では腎性代償により減少することがあります。選びやすい理由:呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスの違いや、急性期と慢性期の代償機構を混同しやすいです。混同注意:慢性期の腎性代償による重炭酸イオンの排泄増加と混同しやすい。
- 2. 正解。過換気症候群では、呼吸回数や深さが増加し、肺から過剰に二酸化炭素が排出されます。これにより、動脈血中の炭酸ガス分圧(Pa)が低下します。
- 3. 過換気症候群では、Paの低下により体内の水素イオン濃度が減少し、動脈血はアルカリ性に傾きます。したがって、pHは上昇します。正しくは:動脈血pHは上昇します。選びやすい理由:低下する項目を問われているため、Paの低下と混同し、その結果pHも低下すると誤解しやすい。混同注意:Paの低下によるアルカローシスとアシドーシスを混同しやすい。
- 4. 過換気による呼吸性アルカローシスは、細胞外から細胞内へのカリウムイオンの移動を促進するため、血清カリウム値は低下傾向を示します。正しくは:血清カリウムは低下します。選びやすい理由:問題が「低下するのはどれか」と問われているため、カリウムの低下を正解と誤認しやすいが、設問は「血中の**どの成分が**減少するか」であり、生理的反応としての「低下傾向」と、選択肢が問う「減少する主な原因物質」を区別する必要がある。本問の文脈では、過換気の直接的な結果として劇的に減少する主要な因子を指している。混同注意:アルカローシス時のカリウムシフトによる血清カリウム値の変化と、過換気の直接的な原因物質の低下を混同しやすい。
- 5. 過換気症候群と血清ナトリウム値の間には直接的な関連は少なく、一般的に血清ナトリウムは変動しません。正しくは:血清ナトリウムは通常、変動しません。選びやすい理由:電解質異常全般の知識の中で、特定の疾患と直接関連しない項目を混同しやすい。混同注意:電解質異常が関連する他の病態と混同しやすい。
国試ポイント
呼吸性アルカローシスの基本的な病態生理、特に過換気によるCOの過剰排出がPaの低下を引き起こすという点を理解しているかが問われます。急性期におけるpHや重炭酸イオン、電解質の変動についても正しく把握している必要があります。
混同注意
Paの低下がpHの上昇を引き起こすため、「pHが低下する」と誤解したり、アルカローシスに伴うカリウムの細胞内移動による血清カリウム値の低下と混同したりしやすいです。急性期と慢性期での代償機構の違いも混同の要因となります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、過換気症候群の病態生理における一次的な変化(Paの低下)と、それに続く代償反応や電解質変動(pHの上昇、血清カリウムの低下など)を区別できるかどうかが重要になります。
関連知識
酸塩基平衡(Henderson-Hasselbalchの式)、呼吸性アシドーシス・アルカローシス、代謝性アシドーシス・アルカローシスの病態生理、電解質(K, Na, Cl)の役割、呼吸中枢の調節。