肝硬変に伴う門脈圧の亢進と関連がないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肝硬変による門脈圧亢進症は、門脈血流の肝臓内抵抗増加と側副血行路の発達によって引き起こされます。この側副血行路は、主に門脈系と体循環系をつなぐ部位で形成され、食道静脈瘤、胃静脈瘤、痔核、腹壁静脈怒張(メデューサの頭)などとして現れます。また、脾臓への血流増加により脾腫をきたします。これに対し、下肢静脈瘤は、主に下肢の表在静脈の弁不全や拡張が原因で、門脈圧亢進とは直接的な病態関連はありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 痔核は、門脈圧亢進により門脈系と体循環系のシャントを形成する部位の一つである直腸静脈叢のうっ血・拡張によって生じます。正しくは:痔核は門脈圧亢進の主要な合併症の一つです。選びやすい理由:門脈圧亢進症の症状として一般的であるため、誤って関連がないと判断しにくい選択肢です。
- 2. 脾腫は、門脈圧亢進により脾臓への血流が増加し、脾静脈から門脈への血流が停滞することで引き起こされます。これにより脾機能が亢進し、汎血球減少症を呈することもあります。正しくは:脾腫は門脈圧亢進の典型的な徴候です。選びやすい理由:門脈圧亢進症の非常に一般的な合併症であるため、関連がないと考えることは難しいです。
- 3. 食道静脈瘤は、門脈圧亢進によって門脈血が体循環系へ迂回する際に、食道静脈が拡張・蛇行して形成されます。破裂すると大量出血のリスクがあります。正しくは:食道静脈瘤は門脈圧亢進の最も重要な合併症の一つです。選びやすい理由:門脈圧亢進症の代表的な重篤合併症であるため、関連がないと誤認する可能性は低いです。
- 4. 正解。下肢静脈瘤は主に下肢の表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈など)の弁不全やうっ血によって生じるもので、門脈圧亢進とは直接的な関連がありません。門脈系と体循環系のシャント形成とは異なる病態です。正しくは:下肢静脈瘤は、門脈圧亢進ではなく、主に下肢静脈の弁不全によって生じます。選びやすい理由:「静脈瘤」という言葉の類似性から、他の静脈瘤(食道静脈瘤など)と同様に門脈圧亢進と関連があるのではないかと誤解しやすいです。混同注意:食道静脈瘤、胃静脈瘤、腹壁静脈怒張(メデューサの頭)といった、門脈圧亢進によって生じる静脈瘤性病変と混同しやすいです。
- 5. 腹壁静脈怒張(メデューサの頭)は、門脈圧亢進により門脈血が臍周囲の傍臍静脈を経て体循環系(上腹壁静脈、下腹壁静脈)へ迂回する際に、腹壁の静脈が拡張・怒張することで出現します。正しくは:腹壁静脈怒張は門脈圧亢進の主要な臨床徴候の一つです。選びやすい理由:特徴的な臨床所見であるため、関連がないと考える可能性は低いです。
国試ポイント
門脈圧亢進症の主要な症状や合併症を正確に理解し、それらと関連のない一般的な静脈疾患とを区別できるかどうかが問われています。特に「静脈瘤」という名称の類似性による誤解を狙った問題形式です。
混同注意
門脈圧亢進による静脈瘤(食道静脈瘤、胃静脈瘤、痔核、腹壁静脈怒張)と、下肢静脈瘤(静脈弁不全による)の病態生理学的機序の違いが混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、門脈圧亢進の具体的な原因疾患(例:バッド・キアリ症候群)や、各合併症(例:肝性脳症、腹水)の病態生理、診断、治療に関する知識が問われる可能性があります。また、画像診断(超音波、CT)での所見についても確認が必要です。
関連知識
門脈圧亢進の診断基準、重症度分類(Child-Pugh分類、MELDスコア)、治療法(内視鏡的硬化療法・結紮術、シャント手術、薬物療法)についても学習しておくことが重要です。