腹水の原因で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
腹水は、血漿膠質浸透圧の低下、毛細血管静水圧の上昇、毛細血管透過性の亢進、リンパ流の閉塞などの機序で発生します。高タンパク血症は血漿膠質浸透圧を上昇させるため、腹水の発生とは逆の作用を持ち、直接的な原因とはなりません。むしろ低タンパク血症が腹水の原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 腹膜の炎症(腹膜炎)が起こると、腹膜の血管透過性が亢進し、液体成分やタンパク質が腹腔内に滲み出しやすくなるため、腹水(滲出液)の発生原因となります。
- 2. 正解。高タンパク血症は、血漿中のタンパク質濃度が高い状態を指します。これにより血漿膠質浸透圧が上昇し、血管内の水分を保持する力が強まるため、血管外への水分漏出が抑制され、腹水の発生とは逆の作用を示します。腹水の主要な原因の一つは「低タンパク血症」であり、血漿膠質浸透圧の低下によるものです。正しくは:「低タンパク血症」であれば、血漿膠質浸透圧が低下し血管内の水分が血管外に漏出しやすくなるため、腹水の原因となります。選びやすい理由:体液バランスにおけるタンパク質の重要性から、高タンパク血症も何らかの形で腹水に関係すると考えるかもしれませんが、その作用は低タンパク血症とは逆方向です。混同注意:血漿膠質浸透圧と、それが体液分布に与える影響の方向性(高タンパク血症は水分を血管内に引きつけ、低タンパク血症は血管外に漏出させる)を混同しやすいです。
- 3. 肝硬変などにより門脈の血圧が異常に高まると、門脈系の血管からの静水圧が上昇し、水分が腹腔内に押し出されるため、腹水(漏出液)の主要な原因となります。
- 4. 腹腔内のリンパ管が腫瘍などで閉塞すると、リンパ液の排出が妨げられ、腹腔内にリンパ液が貯留することで腹水(特に乳び腹水)の原因となります。
- 5. うっ血性心不全、特に右心不全では、全身の静脈系にうっ滞が生じ、静水圧が上昇します。これにより腹腔内の血管からも水分が漏出しやすくなるため、腹水(漏出液)の原因となります。
国試ポイント
腹水の主要な発生機序と、それに関わる病態生理学的な因子(浸透圧、静水圧、血管透過性、リンパ流)の理解度を問う問題です。特に、高タンパク血症と低タンパク血症が体液バランスに与える影響の違いを正確に把握しているかが重要です。
混同注意
「タンパク質が関与する」という点で、高タンパク血症と低タンパク血症を混同したり、その作用機序を逆に理解したりすることがあります。また、滲出液と漏出液それぞれの腹水発生メカニズムも混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出題された場合は、各病態が「血管内から血管外への水分移動」を促進するか、あるいは「リンパ液の排出障害」を引き起こすかという視点で判断し、特に浸透圧と静水圧の増減が体液バランスにどう影響するかを再確認すると良いでしょう。
関連知識
低タンパク血症(肝硬変、ネフローゼ症候群など)、門脈圧亢進症(肝硬変)、右心不全、腹膜炎、腹腔内悪性腫瘍によるリンパ管閉塞など、腹水を生じる具体的な疾患とその病態生理を関連付けて学習することが重要です。滲出液性腹水と漏出液性腹水の鑑別ポイント(タンパク濃度など)も重要です。