分子の大きさを分離分画の原理とするのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
ゲル濾過クロマトグラフィは、多孔性ゲル中の細孔を分子が通過する際の排除体積の違い(大きい分子ほど細孔に入りにくく、早く溶出する)を利用して、分子のサイズ(分子量)によって分離します。SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)は、タンパク質をSDSにより均一に負に帯電させ、変性させた後、ポリアクリルアミドゲル中を電気泳動させます。この際、タンパク質の移動度は分子量(サイズ)に反比例するため、分子のサイズに基づいて分離が行われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 逆相クロマトグラフィは、固定相と移動相の極性の違い(疎水性相互作用)を利用して分離します。分子のサイズは主な分離原理ではありません。正しくは:逆相クロマトグラフィは、試料中の成分の疎水性の違いに基づいて分離を行います。選びやすい理由:クロマトグラフィの一種であるため、分離法であることは理解しやすいですが、原理が異なるため誤答です。混同注意:他のクロマトグラフィ法の原理(例:イオン交換クロマトグラフィの電荷、アフィニティクロマトグラフィの特異的結合)と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。ゲル濾過クロマトグラフィ(サイズ排除クロマトグラフィとも呼ばれます)は、多孔質のゲル粒子を固定相とし、分子がその細孔を通り抜ける時間の差(大きい分子ほど細孔に入りにくく早く溶出する)を利用して、分子の大きさ順に分離します。
- 3. アフィニティクロマトグラフィは、特定の生体分子(抗体と抗原、酵素と基質など)が特異的に結合する性質を利用して分離します。分子のサイズは直接の分離原理ではありません。正しくは:アフィニティクロマトグラフィは、生体分子の特異的な結合親和性を利用して分離を行います。選びやすい理由:特異的な結合を利用した非常に強力な分離法であるため、分離法としては正しいですが、原理がサイズではないため誤答です。混同注意:特定の物質を分離する点は他のクロマトグラフィと共通しますが、その『基準』が特異的結合親和性である点で他のクロマトグラフィと異なります。
- 4. 正解。SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)は、タンパク質をSDSで均一に負に帯電させ、変性させて一本鎖にした後、ポリアクリルアミドゲル中を電気的に移動させます。移動度は分子の大きさに反比例するため、分子量(サイズ)に基づいてタンパク質を分離します。
- 5. セルロースアセテート膜電気泳動は、主に血清タンパク質などの分離に用いられ、分子の電荷と一部分子のサイズ・形状が複合的に作用しますが、『分子の大きさのみ』を主要な分離原理とするものではありません。特に、等電点や電荷量の影響が大きいです。正しくは:セルロースアセテート膜電気泳動は、分子の電荷量や形状に基づいて分離を行います。選びやすい理由:電気泳動法であるため、何らかの基準で分離する点では正しいですが、『分子の大きさのみ』が原理ではない点で誤答です。混同注意:SDS-PAGEとの違いを明確に理解していないと混同しやすいです。SDS-PAGEはSDSによって電荷を均一にし、ほぼサイズのみで分離するのに対し、一般的な電気泳動は電荷とサイズの両方が影響します。
国試ポイント
生体分子の分離分析において、各手法がどのような物理化学的原理(例:サイズ、電荷、疎水性、特異的結合)に基づいているかを正確に理解しているかが問われています。特に、分子サイズを直接の分離原理とする代表的な方法を識別できる能力が必要です。
混同注意
電気泳動法でも、SDS-PAGEと通常の電気泳動(セルロースアセテート膜電気泳動など)では、分子サイズの影響度合いが大きく異なります。また、各種クロマトグラフィ法の原理も混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、選択肢に示された各分析法の分離原理(サイズ、電荷、疎水性、特異的結合、密度など)をまず明確に区別できるかを確認します。
関連知識
サイズ排除クロマトグラフィ(ゲル濾過クロマトグラフィ)の原理、SDS-PAGEの原理、タンパク質の等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィなどの各分離分析法の基礎知識。