55歳の男性。リンパ節腫大と肝腫大のほか、高カルシウム血症と血清LD高値を認める。末梢血のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 14)を別に示す。この疾患に関係があるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
設問の臨床症状(リンパ節腫大、肝腫大、高カルシウム血症、LD高値)と、画像で示される特徴的な異型リンパ球(花弁状核)は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の典型的な所見です。ATLの病因はHTLV-1ウイルスであることが知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. BCR-ABL1融合遺伝子は、慢性骨髄性白血病(CML)に特異的です。本症例の患者の症状(リンパ節腫大、肝腫大、高カルシウム血症、HTLV-1関連の異型リンパ球)とは異なります。正しくは:この患者の疾患に関連する病原体はHTLV-1ウイルスである。選びやすい理由:白血病関連の遺伝子異常として頻繁に登場するため、選択肢として考慮されやすい。しかし、臨床像と画像所見が異なる。混同注意:他の白血病やリンパ腫でみられる遺伝子異常と混同しやすい。
- 2. PML-RARA融合遺伝子は、急性前骨髄球性白血病(APL)に特異的です。本症例の患者の症状や末梢血の異型リンパ球の形態とは一致しません。正しくは:この患者の疾患に関連する病原体はHTLV-1ウイルスである。選びやすい理由:急性白血病関連の遺伝子異常として有名であるため、知識の引き出しから選ばれやすい。しかし、臨床像と画像所見が異なる。混同注意:他の白血病でみられる遺伝子異常と混同しやすい。
- 3. EBウイルスは、伝染性単核球症やバーキットリンパ腫、NK/T細胞リンパ腫など多くのリンパ増殖性疾患に関連しますが、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の直接的な原因ではありません。ATLの原因はHTLV-1ウイルスです。高カルシウム血症はATLに特徴的です。正しくは:この患者の疾患に関連する病原体はHTLV-1ウイルスである。選びやすい理由:リンパ球の異常と関連するウイルスとして有名であり、リンパ節腫大や肝腫大の症状から連想されやすい。しかし、ATLに特徴的な高カルシウム血症の合併や、画像で示される異型リンパ球の形態はEBウイルス関連疾患とは異なる。混同注意:EBウイルスが関連する他のリンパ増殖性疾患と、ATLの鑑別ができていない可能性がある。
- 4. 正解。臨床症状(リンパ節腫大、肝腫大、高カルシウム血症)と、下図のMay-Giemsa染色標本で示される特徴的な異型リンパ球(花弁状核を持つ)は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)に強く示唆されます。ATLの原因ウイルスはHTLV-1ウイルスです。選びやすい理由:特にありません。臨床症状と画像所見がHTLV-1によるATLを強く示唆しているため、これらを正確に結びつけられれば正答は容易です。
- 5. Reed-Sternberg細胞はホジキンリンパ腫に特徴的にみられる細胞で、大型で多核または分葉した核を持ち、核小体が目立ちます。下図に示される異型リンパ球は、ATLに特徴的な花弁状核を持つ異型リンパ球であり、Reed-Sternberg細胞とは形態が異なります。正しくは:この患者の疾患に関連する病原体はHTLV-1ウイルスであり、示された細胞はATLの異型リンパ球である。選びやすい理由:リンパ節腫大があるため、リンパ腫に関連する細胞として知識が連想されやすい。しかし、下図の細胞の形態はReed-Sternberg細胞とは明らかに異なる。混同注意:各種リンパ腫に特徴的な細胞所見の鑑別が不十分な可能性がある。特に、ホジキンリンパ腫のReed-Sternberg細胞とATLの異型リンパ球の形態的特徴を混同しやすい。
国試ポイント
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の典型的な臨床症状、末梢血塗抹標本における特徴的な異型リンパ球の形態、および原因ウイルス(HTLV-1)を結びつけて理解しているかが問われる。特に高カルシウム血症がATLに特徴的であること、また、花弁状核を持つ異型リンパ球の形態が重要。
混同注意
他のリンパ増殖性疾患(慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、各種リンパ腫など)の原因や細胞形態と混同しやすい。特に、EBウイルスが関連するリンパ系疾患との鑑別。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず臨床症状と画像所見を照らし合わせ、特徴的な所見(高カルシウム血症、花弁状核リンパ球)からATLを想起できるか、そしてその原因ウイルスが何かを判断する。他のリンパ系疾患の鑑別点も確認する。
関連知識
HTLV-1はレトロウイルスの一種であること。HTLV-1 endemic area(特に九州地方など)の知識。ATLの病型分類(急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型)。