神経線維における活動電位とその伝導について誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
活動電位は「全か無かの法則」に従います。これは、閾値以上の刺激が与えられれば常に一定の大きさで活動電位が発生し、刺激の強さがさらに増しても個々の活動電位の大きさ(振幅)は変わらないという原則です。刺激の強さに応じて変化するのは、活動電位の『頻度』や、より多くの神経線維が興奮すること(リクルートメント)です。したがって、刺激の強さに比例して活動電位が大きくなるという記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 温度が低いと、イオンチャネルの開閉速度や酵素反応速度が低下するため、活動電位の発生や伝導速度が遅くなります。これは正しい記述です。
- 2. 軸索の直径が太いと、細胞質内の抵抗が小さくなり、活動電位がより速く伝導します。これは正しい記述です。
- 3. 活動電位は「全か無かの法則」に従い、一度発生するとその大きさは一定であり、伝導中も減衰せずに次の部位で新たに発生を繰り返すため、伝達距離によらず一定の振幅を保ちます。これは正しい記述です。
- 4. 神経線維の興奮可能な中間部分に人工的に活動電位を発生させると、未興奮の領域が両側に存在するため、理論的には両方向へ伝導します。生体内ではシナプスからの刺激により一方向伝導が主ですが、この設問は純粋な神経線維の性質を問うているため、この記述は正しいと解釈できます。
- 5. 正解。活動電位は「全か無かの法則」に従い、閾値以上の刺激であれば常に一定の大きさ(振幅)で発生します。刺激の強さが閾値を超えてさらに増強されても、個々の活動電位の大きさは変化しません。刺激が強くなると、活動電位の「頻度」や「発生する活動電位の数(リクルートメント)」が増加することはありますが、個々の活動電位の大きさ自体は一定です。正しくは:刺激の強さが増しても、発生する活動電位の大きさは一定である。または、刺激の強さが増すほど、発生する活動電位の『頻度』が増加する。選びやすい理由:刺激が強いとより『強い反応』が出るという直感から、活動電位の大きさも大きくなると思い込みやすい。刺激の強さと活動電位の『頻度』や『伝導される神経線維の数(多発性)』が関係している点を混同している可能性があります。混同注意:活動電位の『大きさ』と『頻度』、または活動電位と刺激強度に依存して振幅が変化する『受容器電位』や『シナプス後電位(EPSP/IPSP)』との混同。
国試ポイント
神経活動電位の『全か無かの法則』と、その伝導特性(速度、減衰の有無、方向性)に関する基本的な理解を問う問題です。特に、活動電位の『大きさ』が刺激強度に依存しない点と、『頻度』が依存する点の違いを正確に把握しているかどうかが重要です。
混同注意
活動電位の『大きさ』と『頻度』。また、活動電位と、刺激強度に依存して振幅が変化する受容器電位やシナプス後電位(EPSP, IPSP)との違い。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、活動電位の発生機序におけるイオンチャネルの役割、不応期の生理的意義、有髄神経における跳躍伝導の仕組みと速度増加の要因(髄鞘、ランヴィエ絞輪)、および刺激強度と活動電位の頻度の関係について理解しているかを確認すると良いでしょう。
関連知識
活動電位の発生メカニズム(脱分極、再分極、過分極、Na+/K+チャネルの開閉)、不応期(絶対不応期、相対不応期)、有髄神経と無髄神経の伝導(跳躍伝導)、全か無かの法則、閾値。