誘発電位(別冊No. 5)を別に示す。この記録はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された画像は、短い潜時(数ミリ秒)で出現する複数の陽性・陰性波から構成されており、特にI波からV波といった特徴的な波形が確認できます。これらは、聴覚刺激(通常はクリック音)に対する脳幹レベルでの神経活動を反映する聴性脳幹反応(ABRまたはBAEP)の典型的な記録です。
選択肢ごとの解説
- 1. この誘発電位記録は、視覚刺激に対するものではなく、潜時や波形の特徴が視覚誘発電位(VEP)とは異なります。正しくは:視覚誘発電位は、多くの場合、P100と呼ばれる陽性波が特徴で、後頭部から記録されます。選びやすい理由:誘発電位の一種であるため、他の誘発電位と混同する可能性があります。混同注意:VEP (Visual Evoked Potential)
- 2. 事象関連電位は、認知課題や刺激の弁別など、より高次の脳機能に関連する電位であり、潜時が長く、P300などが代表的です。示された記録の潜時や波形とは一致しません。正しくは:事象関連電位(ERP)は、特定の認知事象に同期して現れる電位で、通常は200ms以上の長い潜時を持ちます。選びやすい理由:これも誘発電位の一種であるため、混同されることがあります。混同注意:ERP (Event-Related Potential)
- 3. 聴性定常反応(ASSR)は、特定の周波数の音刺激に対する脳波の定常的な反応であり、脳幹聴性反応とは異なる評価方法と波形を示します。通常、周波数分析によって評価されます。正しくは:聴性定常反応は、変調音など特定の周波数刺激に対して脳波が定常的に同期する現象を指し、ASSRという略称で知られています。選びやすい理由:聴覚系に関する誘発電位であるため、関連が深いように感じられるかもしれません。混同注意:ASSR (Auditory Steady-State Response)
- 4. 正解。下に示す画像は、クリック音などの聴覚刺激に対する脳幹からの電気活動を反映したものであり、特徴的なI波からV波までの短い潜時の波形が確認できます。これは聴性脳幹反応(ABR/BAEP)の典型的な記録パターンです。正しくは:この記録は、聴性脳幹反応 (ABR/BAEP) の典型的な波形と潜時を示しています。選びやすい理由:選択肢に他の聴覚関連の誘発電位があるため、鑑別が必要です。混同注意:BAEP (Brainstem Auditory Evoked Potential) または ABR (Auditory Brainstem Response)
- 5. 体性感覚誘発電位(SEP)は、末梢神経刺激(例: 正中神経、脛骨神経)に対する感覚経路の活動を反映するもので、通常、潜時が長く、脳幹聴性反応とは異なる部位から記録され、波形も異なります。正しくは:体性感覚誘発電位は、末梢神経刺激による感覚経路の活動を評価するもので、ABRとは異なる潜時と波形を示します。選びやすい理由:これも誘発電位の一種であり、名称が似ているため混同しやすいです。混同注意:SEP (Somatosensory Evoked Potential)
国試ポイント
誘発電位の種類とそれぞれの代表的な波形、潜時、記録部位、臨床的意義を正確に理解しているかが問われます。特に聴性脳幹反応(ABR)は、乳幼児の聴力スクリーニングや脳幹機能評価に用いられるため、その特徴的な波形を視覚的に識別できることが重要です。
混同注意
聴性脳幹反応と聴性定常反応、あるいは他の誘発電位(視覚誘発電位、体性感覚誘発電位)の波形、潜時、臨床的応用を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、波形の潜時(刺激後何msで出現するか)、波形の数と特徴(I〜V波など)、刺激の種類(音、光、電気など)、記録部位(頭皮上のどこか)をまず確認することで、どの誘発電位であるかを判断します。
関連知識
聴性脳幹反応(ABR/BAEP)の発生源(蝸牛神経、脳幹各部位)、各波の同定方法、正常値範囲、乳幼児聴力スクリーニングにおける応用、脳死判定補助診断としての意義。誘発電位全般の測定原理(加算平均法、刺激の種類、記録電極配置)。