動脈血ガス分析の所見を示す。 pH 7.36 PaO₂ 58 Torr PaCO₂ 56 Torr HCO₃⁻ 31 mEq/L 誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
提示された動脈血ガス分析では、pHが7.36であり、正常範囲(7.35~7.45)内である。アシデミアはpHが7.35未満の状態を指すため、「アシデミアである」という記述は誤りである。PaO2低下とPaCO2上昇から呼吸不全と肺胞低換気が示唆され、HCO3-上昇は呼吸性アシドーシスに対する腎性代償を示す。したがって、選択肢1、2、4、5はすべて正しい所見であるため、誤っている記述は選択肢3である。
選択肢ごとの解説
- 1. PaO2が58 Torrと基準値(一般的に80 Torr以上)より低い低酸素血症を示しており、呼吸不全の診断基準を満たすため、この記述は正しい。
- 2. PaCO2の上昇による呼吸性アシドーシスに対し、HCO3-が31 mEq/Lと基準値(22~26 mEq/L)より上昇しており、腎臓による代謝性アルカローシス性の代償反応が進行していることを示すため、この記述は正しい。
- 3. 正解。pHが7.36であり、これは正常範囲(7.35~7.45)内である。アシデミアとはpHが7.35未満の状態を指すため、この記述は誤っている。正しくは:pHは正常範囲内であり、アシデミアではない。選びやすい理由:PaCO2の上昇とHCO3-の上昇が見られるため、体内の酸塩基平衡に異常があることは明らかであり、アシデミアと勘違いしやすい。また、pHが正常範囲内ではあるが、酸性側に傾いているため、アシデミアの一歩手前と解釈してしまう可能性がある。混同注意:アシデミア(pHが基準値より低い状態)とアシドーシス(酸が増加している病態)を混同しやすい。この患者は呼吸性アシドーシス(PaCO2↑)の状態にあるが、腎性代償によりpHは正常範囲に保たれているため、アシデミアではない。
- 4. PaCO2が56 Torrと基準値(35~45 Torr)より高値であり、これは肺胞における換気が不足している状態(肺胞低換気)を直接的に示すため、この記述は正しい。
- 5. PaCO2が56 Torrと上昇しているため、血液中の二酸化炭素が蓄積し、pHを低下させる方向にあることから、呼吸性アシドーシスが主たる病態であると判断できるため、この記述は正しい。
国試ポイント
動脈血ガス分析の基本事項(pH、PaO2、PaCO2、HCO3-の基準値と変動の意味)を正確に理解しているか。特に、pHが正常範囲内に収まっている場合に、アシデミア/アルカレミアと判断しないこと、またアシドーシス/アルカローシスといった原疾患と代償の概念を区別できるかどうかが問われている。
混同注意
アシデミア(pHが基準値より低い状態)とアシドーシス(酸が増加している病態)、アルカレミア(pHが基準値より高い状態)とアルカローシス(塩基が増加している病態)の区別。pHが正常範囲内にあるにもかかわらず、他の指標の異常から安易にアシデミア/アルカレミアと判断してしまう誤り。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まずpHの値を確認し、アシデミア、アルカレミア、または正常範囲内かを判断する。次にPaCO2とHCO3-の値をそれぞれ確認し、呼吸性または代謝性の原疾患と、それに対する代償の状態を評価する。PaO2も確認し、低酸素血症や呼吸不全の有無も判断材料とする。特にpHが正常範囲内の場合は、代償が適切に働いている状態であり、アシデミア/アルカレミアではないことに注意する。
関連知識
動脈血ガス分析の基準値、一次的な酸塩基平衡異常(呼吸性アシドーシス/アルカローシス、代謝性アシドーシス/アルカローシス)、代償機構(呼吸性代償、腎性代償)、呼吸不全の定義と分類(I型・II型)、低酸素血症の評価。