血液細胞の形態検査で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
正常な赤芽球は、成熟に伴いヘモグロビン合成に特化するため、グリコーゲンの含有量が非常に少なく、PAS染色では陰性を示します。これは、赤芽球系細胞と骨髄系細胞やリンパ系細胞との鑑別点の一つであり、赤芽球が増殖する疾患(例:赤白血病)ではPAS染色陽性を示す場合があるため、正常との比較で理解することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。正常赤芽球はグリコーゲンをほとんど含まないため、PAS染色では陰性を示します。これは赤血球系細胞の鑑別ポイントの一つです。
- 2. 健常成人骨髄像には、通常10〜30%の鉄芽球が認められます。鉄芽球はヘモグロビン合成に使われる鉄を細胞質内に貯蔵している前駆細胞です。正しくは:健常成人骨髄像には、鉄芽球が認められます(通常10〜30%)。選びやすい理由:鉄芽球が「異常な」状態を示唆することがあるため、健康な状態では存在しないと誤解しやすい。混同注意:病的な状態で見られる環状鉄芽球と、正常な鉄芽球の存在を混同しやすい。
- 3. 健常成人骨髄像のM-E比(骨髄球系細胞:赤芽球系細胞比)は通常2〜4:1程度です。10以上は、骨髄球系細胞の増多や赤芽球系細胞の減少など、異常な状態を示唆します。正しくは:健常成人骨髄像ではM-E比は2〜4:1程度です。選びやすい理由:M-E比の具体的な数値が曖昧な場合に、なんとなく高い比率が正しいと錯覚しやすい。混同注意:M-E比の正常値と、具体的な疾患(例:CMLなど骨髄球系が増える疾患)における比率を混同しやすい。
- 4. 前骨髄球は、初発生顆粒(アズール顆粒)にペルオキシダーゼ酵素を豊富に含むため、ペルオキシダーゼ染色では陽性を示します。これは急性骨髄性白血病(AML)のM3型などの診断に重要です。正しくは:前骨髄球はペルオキシダーゼ染色で陽性反応を示します。選びやすい理由:未熟な細胞なので酵素活性が低い、または特定の種類の顆粒を持たないと誤解しやすい。混同注意:リンパ系細胞や赤芽球系細胞がペルオキシダーゼ陰性であることと混同しやすい。
- 5. 好中球が持つエステラーゼ(特異的エステラーゼ)は、フッ化ナトリウムによって阻害されません。フッ化ナトリウムで阻害されるのは、単球やマクロファージが持つ非特異的エステラーゼ(α-ナフチル酢酸エステラーゼなど)です。正しくは:好中球のエステラーゼはフッ化ナトリウムによって阻害されません。単球・マクロファージのエステラーゼはフッ化ナトリウムで阻害されます。選びやすい理由:エステラーゼ染色とその阻害試験が白血病の鑑別に重要であるため、阻害される細胞を混同しやすい。混同注意:単球系細胞の非特異的エステラーゼ活性がフッ化ナトリウムで阻害されることと混同しやすい。好中球のエステラーゼはクロロ酢酸エステル分解酵素(特異的エステラーゼ)である。
国試ポイント
本問題は、血液細胞の形態学的検査における主要な特殊染色(PAS染色、ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色とその阻害試験)の原理と、健常状態における細胞の特性や骨髄像の正常値について問われています。各細胞系の特徴的な染色性や、健常骨髄像の構成比率を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
各特殊染色が陽性を示す細胞の種類、陰性を示す細胞の種類、そして阻害試験の対象となる酵素活性と細胞種を混同しやすいです。特にPAS染色における正常赤芽球の陰性、異常赤芽球(赤白血病など)の陽性といった例外や、エステラーゼのフッ化ナトリウムによる阻害が単球系か好中球系かを間違えやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、特殊染色陽性細胞と陰性細胞の組み合わせ、阻害試験の結果と該当細胞種、M-E比の疾患別の変動パターン、正常骨髄像における各細胞の存在比率について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
血液細胞の成熟段階ごとの形態的特徴、骨髄穿刺液の塗抹標本における細胞同定、M-E比の算出方法と臨床的意義、各種白血病診断における特殊染色の応用(例:AML M6型における赤芽球のPAS陽性、AML M3型における前骨髄球のペルオキシダーゼ強陽性、AML M4/M5型におけるエステラーゼとNaF阻害)。