血液培養から分離された場合、汚染菌の可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
血液培養では、患者の血流感染症の有無を診断するために、病原菌が検出されることが期待されます。しかし、採血時の皮膚の常在菌や、採血器具、環境からの微生物が培養ボトルに混入してしまうことがあります。これらを汚染菌(コンタミネーション)と呼びます。選択肢の中で、枯草菌(Bacillus subtilis)とアクネ菌(Cutibacterium acnes, 旧名 Propionibacterium acnes)は、ともに皮膚や環境に常在する菌であり、その病原性が他の選択肢の菌種に比べて低いことから、血液培養からの分離では汚染菌である可能性が高いと判断されます。特にアクネ菌は代表的な皮膚常在菌として、血液培養の汚染菌の筆頭に挙げられます。大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌はいずれも病原性の高い菌であり、血液培養から検出された場合は、臨床的に意味のある血流感染症の起因菌として扱われることがほとんどです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。枯草菌は土壌や空気中に広く分布する常在菌で、皮膚にも存在することがあるため、採血時の皮膚消毒が不十分な場合などに血液培養に混入しやすい汚染菌として知られています。
- 2. 大腸菌は腸管の常在菌であり、尿路感染症や腹腔内感染症など様々な感染症の起因菌として血液培養から分離されることが多く、通常は臨床的に意味のある菌と判断されます。正しくは:大腸菌が血液培養から検出された場合、敗血症などの重篤な感染症を示唆する可能性が高い。選びやすい理由:腸管常在菌のため、直感的に汚染を連想する可能性もゼロではないが、通常は病原性が強い菌として認識される。混同注意:腸管の常在菌である点は正しいが、血液培養での検出は汚染よりも感染を示すことが多い点で注意が必要。
- 3. 黄色ブドウ球菌は皮膚や鼻腔の常在菌ですが、極めて病原性が高く、血液培養から検出された場合は感染性心内膜炎、敗血症、カテーテル関連血流感染症など、重篤な疾患の原因菌であることがほとんどです。汚染菌として扱うことは稀です。正しくは:黄色ブドウ球菌が血液培養から検出された場合、臨床的に重要な感染症の起因菌であることが多い。選びやすい理由:皮膚常在菌であるため、汚染菌と間違えやすいが、その高い病原性から通常は感染と判断される。混同注意:表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)などのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌は汚染菌となることが多いが、黄色ブドウ球菌とは病原性が大きく異なる。
- 4. 正解。アクネ菌は皮膚や毛包に常在する嫌気性菌で、皮膚の常在菌として最も一般的なものの一つです。採血時の皮膚消毒が不十分な場合などに、血液培養に容易に混入するため、代表的な汚染菌とされています。正しくは:アクネ菌は皮膚の常在菌であるため、血液培養の汚染菌として頻繁に検出される。選びやすい理由:嫌気性菌であるため、培養に時間がかかり、検出されたときの判断が難しい場合もあるが、基本的に汚染と考える。混同注意:他の皮膚常在菌、特にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌との区別が重要。
- 5. 緑膿菌は弱毒菌とされることもありますが、免疫不全患者や広範囲熱傷患者などで重篤な日和見感染症を引き起こすことが知られています。血液培養から検出された場合、肺炎や尿路感染症などの感染源を持つ重篤な血流感染症の可能性が高く、汚染菌と判断されることは稀です。正しくは:緑膿菌が血液培養から検出された場合、重篤な感染症の起因菌として扱われる。選びやすい理由:病院環境に広く存在し、耐性菌として知られるため、汚染菌のようなイメージを持つ人もいるかもしれないが、臨床的には病原菌として認識される。混同注意:他のグラム陰性桿菌(Enterobacteriaceaeなど)と同様に、通常は病原菌として判断される。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、血液培養における汚染菌と病原菌の鑑別が頻繁に問われます。特に、皮膚常在菌のうち、病原性が低いものが汚染菌として認識されやすいという知識が重要です。具体的には、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)、アクネ菌、ジフテロイド、バチルス属などが代表的な汚染菌として出題されます。
混同注意
病原性の高い皮膚常在菌(例:黄色ブドウ球菌)と病原性の低い皮膚常在菌(例:表皮ブドウ球菌、アクネ菌)の区別。また、腸管常在菌(例:大腸菌)であっても、血液培養から検出された場合は病原菌として扱われることが多い点。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、選択肢の菌種が、①皮膚常在菌であるか、②病原性が高いか低いか、③通常どのような感染症の起因菌となるかを検討し、総合的に汚染菌か病原菌かを判断します。
関連知識
血液培養の採血手技(皮膚消毒の重要性)、血液培養の培養時間と結果の解釈、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が複数ボトルから検出された場合の解釈、血液培養陽性時のグラム染色結果と臨床的意義。