膿のGram染色標本(別冊No. 12)を別に示す。分離菌はヒツジ血液寒天培地およびBTB乳糖寒天培地に発育し、カタラーゼ試験は陽性でマンニトールを分解した。 推定される菌種はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
グラム染色でブドウの房状のグラム陽性球菌、カタラーゼ陽性、マンニトール分解陽性という所見は、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)に特徴的です。黄色ブドウ球菌は膿瘍形成の主要な原因菌であり、これらの性状を総合的に判断すると、最も可能性が高い菌種であると断定できます。
選択肢ごとの解説
- 1. Enterococcus faecalis(腸球菌)はグラム陽性球菌ですが、連鎖状または短連鎖状に認められ、カタラーゼ試験は陰性です。また、マンニトール分解は通常陰性です。正しくは:グラム染色で連鎖状、カタラーゼ陰性、マンニトール分解陰性。選びやすい理由:グラム陽性球菌である点で共通しますが、凝集様式とカタラーゼ試験の結果が異なります。混同注意:Streptococcus属、特に溶血性レンサ球菌。
- 2. 正解。グラム染色でブドウの房状に凝集するグラム陽性球菌、カタラーゼ陽性、マンニトール分解陽性という所見は、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)の典型的な特徴です。選びやすい理由:提示されたすべての所見と一致するため、迷うことなく選択できます。
- 3. Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)はグラム陽性球菌でブドウの房状に凝集し、カタラーゼ陽性ですが、マンニトール分解は通常陰性です。正しくは:マンニトール分解陰性。選びやすい理由:グラム染色所見とカタラーゼ試験の結果がStaphylococcus aureusと類似しているため、混同しやすいです。混同注意:Staphylococcus aureus。
- 4. Streptococcus agalactiae(B群レンサ球菌)はグラム陽性球菌ですが、連鎖状に認められ、カタラーゼ試験は陰性です。また、マンニトール分解は通常陰性です。正しくは:グラム染色で連鎖状、カタラーゼ陰性、マンニトール分解陰性。選びやすい理由:グラム陽性球菌である点で共通しますが、凝集様式とカタラーゼ試験の結果が異なります。混同注意:Enterococcus faecalis、Streptococcus pyogenes。
- 5. Streptococcus pyogenes(A群レンサ球菌)はグラム陽性球菌ですが、連鎖状に認められ、カタラーゼ試験は陰性です。また、マンニトール分解は通常陰性です。正しくは:グラム染色で連鎖状、カタラーゼ陰性、マンニトール分解陰性。選びやすい理由:グラム陽性球菌である点で共通しますが、凝集様式とカタラーゼ試験の結果が異なります。混同注意:Enterococcus faecalis、Streptococcus agalactiae。
国試ポイント
細菌のグラム染色所見、カタラーゼ試験、凝固酵素試験、マンニトール分解能などの生化学的性状を組み合わせて菌種を同定する能力が問われる。
混同注意
Staphylococcus属とStreptococcus属の鑑別、またStaphylococcus属内の鑑別(特にStaphylococcus epidermidisとの鑑別)。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、まずグラム染色所見で球菌か桿菌か、グラム陽性か陰性か、そして凝集の仕方(ブドウの房状か連鎖状か)を確認する。次にカタラーゼ試験の結果を確認し、Staphylococcus属かStreptococcus属かを鑑別する。最後にマンニトール分解能やコアグラーゼ試験などの追加情報で、Staphylococcus属内の菌種を特定する。
関連知識
グラム陽性球菌にはブドウの房状に凝集するブドウ球菌と、連鎖状に凝集するレンサ球菌がある。ブドウ球菌とレンサ球菌の鑑別にはカタラーゼ試験が有効である(ブドウ球菌は陽性、レンサ球菌は陰性)。黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の鑑別にはコアグラーゼ試験やマンニトール分解能が用いられる(黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ陽性、マンニトール分解陽性)。