アガロースゲルを用いたリポ蛋白電気泳動で、β位とpreβ位に強い染色像が認められた。WHO脂質異常症タイプ分類で考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
TypeⅡbは、LDL(βリポ蛋白)とVLDL(preβリポ蛋白)の両方が増加する高脂血症であり、アガロースゲル電気泳動ではこれらのリポ蛋白に対応するβ分画とpreβ分画に強いバンドが出現します。
選択肢ごとの解説
- 1. TypeⅠはカイロミクロンの著しい増加を特徴とします。アガロースゲル電気泳動では、原点付近(泳動開始点)にカイロミクロンバンドが検出されますが、β位やpreβ位の増加とは異なります。正しくは:TypeⅠでは、電気泳動の原点にカイロミクロンが検出されます。選びやすい理由:稀なタイプであるため、他のタイプと混同しやすい可能性があります。混同注意:カイロミクロンとVLDL、LDLの電気泳動上の位置。
- 2. TypeⅡaはLDL(βリポ蛋白)の増加が特徴です。電気泳動ではβ分画にのみ強い染色像を認め、preβ分画の増加はありません。正しくは:TypeⅡaでは、β分画にのみ強い染色像が認められます。選びやすい理由:TypeⅡbと名称が似ており、LDLの増加が共通するため混同しやすい。混同注意:β分画単独の増加と、β分画・preβ分画両方の増加の区別。
- 3. 正解。TypeⅡbは、LDL(βリポ蛋白)とVLDL(preβリポ蛋白)の両方が増加する高脂血症です。アガロースゲル電気泳動では、β分画とpreβ分画の両方に強い染色像が認められるのが典型的な所見です。
- 4. TypeⅣはVLDL(preβリポ蛋白)の増加が特徴です。電気泳動ではpreβ分画にのみ強い染色像を認め、β分画の増加はありません。正しくは:TypeⅣでは、preβ分画にのみ強い染色像が認められます。選びやすい理由:preβ分画の増加が含まれるため、混同しやすい。混同注意:preβ分画単独の増加と、β分画・preβ分画両方の増加の区別。
- 5. TypeⅤはカイロミクロンとVLDL(preβリポ蛋白)の両方が増加するタイプです。電気泳動では原点(カイロミクロン)とpreβ分画に強い染色像を認めますが、β分画の増加は通常ありません。正しくは:TypeⅤでは、原点(カイロミクロン)とpreβ分画に強い染色像が認められます。選びやすい理由:VLDLの増加が含まれ、カイロミクロンも関係するため、複数のリポ蛋白が増加する点でTypeⅡbやTypeⅠと混同しやすい。混同注意:カイロミクロン、VLDL、LDLのそれぞれの増加パターンと、それに対応するWHO分類。
国試ポイント
WHO脂質異常症分類と、それぞれのタイプに特徴的なリポ蛋白(カイロミクロン、VLDL、LDL)の増減、およびアガロースゲル電気泳動での泳動パターン(原点、β、preβ、α分画のどこにバンドが観察されるか)を正確に理解しているかが問われます。特に、TypeⅡa、TypeⅡb、TypeⅣの区別は重要です。
混同注意
TypeⅡa (LDL↑のみ) と TypeⅡb (LDL↑VLDL↑)、TypeⅣ (VLDL↑のみ) と TypeⅡb (LDL↑VLDL↑)、TypeⅠ (カイロミクロン↑のみ) と TypeⅤ (カイロミクロン↑VLDL↑)、各リポ蛋白(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDL)の電気泳動上の位置。
次に同じ論点が出たら
次回出題される際には、血清外観の所見が追加されたり、特定の酵素(例: リポ蛋白リパーゼ、肝性リパーゼ)の異常と結びつけて問われたり、あるいは各リポ蛋白の比重や粒子径といった物理的特性を交えて問われる可能性があります。また、より詳細なリポ蛋白のサブクラスに関する知識が必要となるかもしれません。
関連知識
WHO脂質異常症分類の全タイプ(I〜V型)の特徴。各リポ蛋白(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDL)の構成成分、生理機能。アガロースゲル電気泳動におけるリポ蛋白の泳動位置(カイロミクロン:原点、VLDL:preβ位、LDL:β位、HDL:α位)。血清外観(乳び、混濁など)との関連性。