尿素で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
尿素は、肝臓で生成され、腎臓から排泄される主要な老廃物です。血中の非蛋白性窒素(NPN)成分には尿素、クレアチニン、尿酸などが含まれますが、尿素はその中でも最も濃度が高く、NPNの約50%を占めます。消化管出血時には、血液中のタンパク質が消化・分解されてアンモニアが増加し、肝臓での尿素合成が促進されるため、血中尿素濃度は上昇します。尿素の加水分解にはウレアーゼが作用し、ウリカーゼではありません。また、尿素は尿素回路で生成され、アルドラーゼは関与しません。小児の血中尿素濃度は成人より低い傾向にあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 一般的に、小児は腎機能が未発達であるか、食生活や代謝の違いにより、成人と比較して血中尿素窒素(BUN)濃度が低い傾向にあります。成人の方が腎機能の低下や高蛋白食により高値になる可能性があります。正しくは:血中の尿素濃度は、通常、成人が小児よりも高値を示すことが多い。選びやすい理由:腎機能が未発達な小児は体内の老廃物処理能力が低いと誤解し、高値になると考えてしまう可能性がある。混同注意:クレアチニンクリアランスなどの腎機能指標と混同し、小児の未発達な腎機能が即座に老廃物の蓄積につながると考えてしまう。
- 2. 尿素はウレアーゼ(urease)という酵素によって加水分解され、アンモニアと二酸化炭素に分解されます。ウリカーゼ(uricase)は尿酸をアラントインに分解する酵素であり、尿素には作用しません。正しくは:尿素はウレアーゼによって加水分解される。選びやすい理由:「ウリカーゼ」と「ウレアーゼ」は名称が似ており、混同しやすい。混同注意:ウリカーゼとウレアーゼ、またそれぞれの基質である尿酸と尿素を混同する。
- 3. 消化管出血があると、出血した血液中のタンパク質が消化管内で分解され、アンモニアが生成されます。このアンモニアが肝臓で尿素合成の材料となるため、血中尿素窒素(BUN)濃度は上昇します。正しくは:消化管出血がある場合、血中尿素濃度は上昇する。選びやすい理由:出血により体内の物質が失われるというイメージから、濃度が低下すると誤解しやすい。混同注意:出血による単純な希釈効果と、消化管内でのタンパク質分解による尿素生成亢進という特殊な病態生理を混同する。
- 4. 正解。血漿中の非蛋白性窒素(NPN)とは、尿素、クレアチニン、尿酸、アミノ酸、アンモニアなど、タンパク質以外の窒素含有物質の総称です。この中で、尿素は生体内で生成される量が最も多く、また排泄も主に尿として行われるため、NPNの大部分(約半分)を占めています。正しくは:正答のため修正不要選びやすい理由:他のNPN成分も重要であるため、本当に尿素が最も多いのか疑問に思うかもしれない。混同注意:クレアチニンや尿酸など、他のNPN成分の重要性と混同し、相対的な量を見誤る。
- 5. 尿素は、生体内で肝臓の尿素回路(オルニチン回路)によって生成されます。この回路に関与する酵素はカルバモイルリン酸シンテターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンターゼ、アルギニノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼなどであり、アルドラーゼは関与しません。アルドラーゼは解糖系においてフルクトース-1,6-ビスリン酸を分解する酵素です。正しくは:生体内では肝臓の尿素回路によって生成される。選びやすい理由:様々な代謝経路と酵素の名前があり、混同しやすい。混同注意:尿素回路に関わる酵素群と、解糖系などの他の代謝経路に関わる酵素(アルドラーゼ)を混同する。
国試ポイント
この問題は、尿素の生理学的特徴、代謝、関連疾患における変動について、基本的な知識を網羅的に問うものです。特に、血中非蛋白性窒素における尿素の相対的な位置づけ、消化管出血時の尿素変動、そして尿素に関わる酵素の名称と作用を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
ウレアーゼとウリカーゼ、尿素と尿酸、小児と成人の血中濃度、消化管出血時の上昇と低下。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、尿素以外の非蛋白性窒素成分(クレアチニン、尿酸など)の生理的特徴や、それらの変動要因についても確認すると良いでしょう。また、尿素回路における先天性代謝異常症や、薬剤による影響なども関連知識として問われる可能性があります。
関連知識
尿素回路の各ステップと関与酵素、非蛋白性窒素(NPN)の構成成分とその正常値、腎機能指標としての尿素窒素(BUN)の意義、肝機能との関連。