髄液のGram染色標本(別冊No. 16)を別に示す。分離菌はヒツジ血液寒天培地に発育し、グルコース及びマルトースを分解した。推定されるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
髄液のグラム染色でグラム陰性双球菌が認められ、ヒツジ血液寒天培地に発育し、グルコースとマルトースを分解するという生化学的性状から、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)が最も適切に推定されます。他の選択肢は、グラム染色所見や糖分解性状が一致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. インフルエンザ菌はグルコースを分解しますが、マルトースは分解しません。正しくは:インフルエンザ菌はX因子とV因子を要求し、グルコースのみを分解する性質があります。選びやすい理由:髄膜炎の原因菌として有名であるため。混同注意:他の髄膜炎起因菌の糖分解性。
- 2. モラクセラ・カタラーリスは糖を分解しません(非糖分解性)。正しくは:モラクセラ・カタラーリスはOXIDASE試験陽性で、糖を分解しないという特徴があります。選びやすい理由:ナイセリア属と形態的に似ている場合があるため。混同注意:ナイセリア属との生化学的性状の違い。
- 3. 正解。髄膜炎菌はグラム陰性双球菌で、グルコースとマルトースの両方を分解する特徴があります。これは髄液のグラム染色所見(グラム陰性双球菌)と、ヒツジ血液寒天培地での発育、および糖分解性(グルコース・マルトース陽性)と一致します。
- 4. 淋菌はグラム陰性双球菌ですが、グルコースのみを分解し、マルトースは分解しません。正しくは:淋菌はグルコースを分解しますが、マルトース、ラクトース、スクロースは分解しません。選びやすい理由:同じナイセリア属で、グラム陰性双球菌であるため。混同注意:髄膜炎菌と淋菌の糖分解性の違い。
- 5. 緑膿菌はグラム陰性桿菌であり、グラム染色で双球菌としては観察されません。また、糖分解性も異なります。正しくは:緑膿菌はグラム陰性桿菌で、ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌に分類され、グルコースは酸化的に分解しますが、マルトース分解能は通常認められません。選びやすい理由:難治性の感染症の原因菌として知られているため。混同注意:グラム陰性菌全般と、特に形態的な違い。
国試ポイント
髄液検体からのグラム染色所見と、主要な髄膜炎起因菌の一般的な培養性状、特に糖分解性(グルコース、マルトースなどの分解能)を正確に結びつけられるかが問われています。ナイセリア属菌の鑑別において糖分解試験は非常に重要です。
混同注意
髄膜炎菌と淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はどちらもグラム陰性双球菌ですが、糖分解性(髄膜炎菌はグルコース・マルトース陽性、淋菌はグルコースのみ陽性)で鑑別されます。また、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)もグラム陰性桿菌(短桿菌)で髄膜炎の原因となりますが、糖分解性や形態が異なります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まずグラム染色所見(形態、グラム染色性)を確認し、次に与えられた培養性状や生化学的性状(特に糖分解性)と照合して、複数の情報から菌種を特定できるかを確認する。
関連知識
主要な髄膜炎起因菌として、Streptococcus pneumoniae(グラム陽性双球菌)、Neisseria meningitidis(グラム陰性双球菌)、Haemophilus influenzae(グラム陰性短桿菌)、新生児ではGroup B StreptococcusやEscherichia coliなどが挙げられます。それぞれの菌のグラム染色像、培養性状、生化学的性状を理解しておくことが重要です。