骨髄細胞の染色体核型(別冊No. 15)を別に示す。矢印の染色体異常に関与するのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
提示された画像は、15番染色体と17番染色体間での転座t(15;17)を示しています。この転座はPML遺伝子(15q24)とRARA遺伝子(17q21)の融合を引き起こし、PML-RARA融合遺伝子を形成します。PML-RARA融合遺伝子は急性前骨髄球性白血病(APL)に特異的な染色体異常であり、APLの診断と治療選択(ATRA療法)に極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. BCR-ABL1融合遺伝子はフィラデルフィア染色体t(9;22)に関連する異常であり、急性前骨髄球性白血病で見られるt(15;17)とは異なります。正しくは:この選択肢は、慢性骨髄性白血病(CML)や一部の急性リンパ性白血病(ALL)でみられるt(9;22)の転座産物です。選びやすい理由:白血病関連の主要な融合遺伝子であるため、一般的な知識として選択肢に挙げられやすいです。混同注意:他の白血病に関連する融合遺伝子、特にフィラデルフィア染色体との関連が強いBCR-ABL1と混同しやすいです。
- 2. IGH/BCL2融合遺伝子は主に濾胞性リンパ腫のt(14;18)転座に関連し、急性前骨髄球性白血病のt(15;17)とは異なる疾患で認められます。正しくは:この選択肢は、濾胞性リンパ腫(FL)でよくみられるt(14;18)の転座産物です。選びやすい理由:リンパ腫関連の代表的な融合遺伝子であり、血液疾患全般の問題で選択肢として提示されやすいです。混同注意:他のリンパ腫や白血病で見られる様々な融合遺伝子と混同しやすいです。
- 3. IGH/BCL6融合遺伝子は主にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のt(3;14)転座に関連し、急性前骨髄球性白血病のt(15;17)とは異なる疾患で認められます。正しくは:この選択肢は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)でみられるt(3;14)の転座産物です。選びやすい理由:リンパ腫関連の主要な融合遺伝子の一つであるため、知識がある学生は選択肢として検討するかもしれません。混同注意:他のリンパ腫や白血病で見られる様々な融合遺伝子と混同しやすいです。
- 4. IGH/MYC融合遺伝子は主にバーキットリンパ腫のt(8;14)転座に関連し、急性前骨髄球性白血病のt(15;17)とは異なる疾患で認められます。正しくは:この選択肢は、バーキットリンパ腫(BL)でみられるt(8;14)の転座産物です。選びやすい理由:リンパ腫関連の代表的な融合遺伝子であり、血液疾患全般の問題で選択肢として提示されやすいです。混同注意:他のリンパ腫や白血病で見られる様々な融合遺伝子と混同しやすいです。
- 5. 正解。下図の染色体核型は15番染色体と17番染色体間の転座t(15;17)を示しており、この転座によってPML遺伝子とRARA遺伝子が融合し、PML-RARA融合遺伝子が形成されます。これは急性前骨髄球性白血病(APL)の診断に特異的であり、APLはATRA(オールトランスレチノイン酸)療法が有効な疾患です。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:この組み合わせは、特定の白血病(APL)と強く関連しているため、正確な知識を持つ学生にとっては選びやすいです。混同注意:他の白血病やリンパ腫に関連する様々な遺伝子異常と混同しないように、疾患と遺伝子異常の特異的な関係を理解しておく必要があります。
国試ポイント
染色体核型画像から特定の転座を識別し、その転座によって形成される融合遺伝子を正確に結びつける知識が問われています。特に、急性前骨髄球性白血病(APL)のt(15;17)とPML-RARA融合遺伝子の関連性は、治療法(ATRA)と併せて非常に重要で頻出です。他の白血病やリンパ腫の主要な転座と融合遺伝子も区別できるようにしておく必要があります。
混同注意
様々な白血病やリンパ腫でみられる他の主要な融合遺伝子(例:BCR-ABL1、IGH/BCL2、IGH/MYC)と混同しやすい。それぞれの転座と疾患との対応を正確に覚えることが重要。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず画像の染色体核型を正確に読み取り、転座の種類(どの染色体間の転座か)を特定します。次に、その転座に特異的に関連する融合遺伝子や疾患を判断します。また、それぞれの融合遺伝子と対応する疾患・治療法まで関連付けて理解できているかを確認します。
関連知識
急性骨髄性白血病(AML)の分類、特にM3型(APL)の特徴。ATRA(オールトランスレチノイン酸)療法の作用機序。FISH法やRT-PCR法などの分子遺伝学的検査の応用。融合遺伝子以外の主要な染色体異常(例:モノソミー7、トリソミー8)との関連疾患。