肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO2〉が増加しない低酸素血症を呈する病態はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
A-aDO2は、肺胞でのガス交換効率を評価する指標です。これが「増加しない」低酸素血症とは、肺胞から血液への酸素の移動自体は正常であり、問題が肺の外、または肺胞全体の酸素分圧の低下にある場合を指します。肺胞低換気では、呼吸中枢の異常などで呼吸回数や深さが減少するため、肺胞全体の酸素が薄くなり、PAO2とPaO2が共に低下し、その差は保たれます。同様に、大気圧の低下は吸入空気中の酸素分圧そのものが低下するため、肺胞に入る酸素の絶対量が減り、PAO2とPaO2が共に低下しますが、その差は増加しません。一方、拡散障害、シャント、換気血流不均等分布は、いずれも肺胞内の酸素が十分に血液へ移行できない状態であり、PAO2が比較的高く保たれるにもかかわらずPaO2が低下するため、A-aDO2は増加します。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺胞から血液への酸素の移動が阻害されるため、動脈血酸素分圧(PaO2)は低下しますが、肺胞気酸素分圧(PAO2)は維持されるか比較的保たれるため、A-aDO2は増加します。正しくは:拡散障害がある場合、A-aDO2は増加します。選びやすい理由:低酸素血症の原因として一般的であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:シャントや換気血流不均等分布など、他のA-aDO2が増加する低酸素血症の原因と混同しやすいです。
- 2. シャントとは、肺の換気されていない部分に血流が流れる状態であり、換気されていない血液が動脈血に混ざるため、PaO2は著しく低下しますが、肺胞は正常に換気されているためPAO2は保たれ、結果としてA-aDO2は大きく増加します。正しくは:シャントがある場合、A-aDO2は増加します。選びやすい理由:重度の低酸素血症を引き起こすため、問題の意図と逆に捉えてしまう可能性があります。混同注意:他のA-aDO2が増加する低酸素血症の原因、特に換気血流不均等分布と混同しやすいです。
- 3. 正解。肺胞低換気では、肺胞全体の酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)がともに低下します。低換気が原因であれば、肺胞から血液への酸素の移動は正常に行われているため、PAO2とPaO2の差(A-aDO2)は増加しません(正常範囲内)。選びやすい理由:低酸素血症はA-aDO2の増加を伴うことが多いという一般論から、これも増加すると誤解しやすいかもしれません。
- 4. 正解。大気圧が低下すると、吸入気酸素分圧が低下するため、肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)がともに比例して低下します。肺胞でのガス交換自体は正常であるため、A-aDO2は増加しません(正常範囲内)。選びやすい理由:低酸素血症はA-aDO2の増加を伴うことが多いという一般論から、これも増加すると誤解しやすいかもしれません。
- 5. 換気血流不均等分布では、肺の一部で換気が十分に行われず、または血流が偏ることで、肺胞気と血液間の酸素交換効率が悪化します。これにより、換気の悪い肺胞の血液が動脈血に混ざり、PaO2は低下しますが、一部の肺胞ではPAO2が保たれるため、A-aDO2は増加します。正しくは:換気血流不均等分布が増悪する場合、A-aDO2は増加します。選びやすい理由:低酸素血症の最も一般的な原因であり、A-aDO2の変化を問う問題で必ず選択肢に含まれるため、安易に選んでしまいがちです。混同注意:シャントや拡散障害と並んで、A-aDO2が増加する低酸素血症の主要な原因であるため、特に混同しやすいです。
国試ポイント
A-aDO2の概念と、低酸素血症を引き起こす様々な病態がA-aDO2に与える影響を理解しているか。特に、A-aDO2が増加する病態と増加しない病態を区別できるかが問われる。
混同注意
低酸素血症の原因が複数ある中で、どの原因がA-aDO2を増加させるか、させないかを明確に理解しておく必要がある。特に、肺胞低換気と換気血流不均等分布は名前が似ており混同しやすいが、A-aDO2への影響は異なるため注意が必要。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず「A-aDO2が変化するかどうか」で低酸素血症の原因を大きく分類し、さらに各病態の具体的な機序を検討する。
関連知識
低酸素血症の分類(低酸素性、貧血性、循環性、組織性)、PaO2、SaO2、PCO2、pHなどのガス交換関連指標、肺機能検査の意義。