血清遊離脂肪酸が低下するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
インスリンは、脂肪細胞におけるホルモン感受性リパーゼの活性を抑制することにより、中性脂肪の分解(脂肪分解)を阻害します。その結果、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出が減少し、血清遊離脂肪酸濃度は低下します。
選択肢ごとの解説
- 1. 夜間や睡眠中は、エネルギー供給のために脂肪分解が促進されやすく、血清遊離脂肪酸は上昇傾向を示します。正しくは:夜間は、糖質摂取が少ないため、肝臓での糖新生と脂肪組織からの遊離脂肪酸放出が亢進し、遊離脂肪酸値は上昇する傾向にあります。選びやすい理由:一日のうちで代謝が落ち着く時間帯と誤解するかもしれませんが、エネルギー消費は継続しているため、貯蔵脂肪が利用されます。混同注意:安静時や睡眠時と低代謝状態を混同する可能性があります。インスリン分泌が比較的低いため、脂肪分解が抑制されないと考えられます。
- 2. 空腹時には、エネルギー源として脂肪組織からの脂肪分解が活発になり、血清遊離脂肪酸は増加します。正しくは:空腹時は、血糖値の低下に伴いインスリン分泌が抑制され、グルカゴンやカテコールアミンなどの脂肪分解促進ホルモンが優位になるため、遊離脂肪酸は上昇します。選びやすい理由:食後と空腹時の差を認識していても、インスリンの有無による影響を正確に理解していない場合、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:糖質摂取がない状態を代謝が停止していると誤解したり、インスリンの主要な役割(血糖降下)のみに注目し、脂肪代謝への影響を見落とす可能性があります。
- 3. ヘパリンを静脈内に投与すると、血管内皮細胞からリポタンパクリパーゼが遊離し、カイロミクロンやVLDLの中性脂肪が分解され、血清遊離脂肪酸は一時的に増加します。正しくは:ヘパリン静脈内投与は、リポタンパクリパーゼの活性を高め、中性脂肪を分解して遊離脂肪酸を増加させます。選びやすい理由:ヘパリンの他の作用(抗凝固作用など)に意識が向き、脂肪代謝への影響を正確に覚えていない場合に選びやすいかもしれません。混同注意:ヘパリンの抗凝固作用と、脂肪代謝への影響を混同する可能性があります。また、リポタンパクリパーゼの役割と遊離脂肪酸への影響を混同する可能性があります。
- 4. 正解。インスリンは、脂肪細胞内のホルモン感受性リパーゼの活性を抑制し、脂肪分解を阻害するため、血清中の遊離脂肪酸濃度を低下させます。また、糖の取り込みを促進し、遊離脂肪酸の利用を抑制します。選びやすい理由:血糖値を下げる作用に注目しがちですが、脂肪代謝への影響も重要なポイントです。混同注意:インスリンの主な役割が血糖降下であるため、直接的な脂肪分解抑制作用を見落とすことがあります。他のホルモン(グルカゴンなど)との作用の対比を理解していると正答しやすいです。
- 5. ステロイド(糖質コルチコイド)は、脂肪分解を促進する作用があり、血清遊離脂肪酸を増加させることが知られています。正しくは:ステロイド治療は、脂肪分解を促進し、脂肪細胞からの遊離脂肪酸放出を増加させるため、血清遊離脂肪酸は上昇します。選びやすい理由:ステロイドの多様な作用の中で、脂肪代謝への影響を正確に理解していない場合、迷うかもしれません。混同注意:ステロイドによる中心性肥満など、長期的な脂肪蓄積のイメージと、急性期の脂肪分解促進作用を混同する可能性があります。これはステロイドの異化作用の一部です。
国試ポイント
遊離脂肪酸の変動に影響を与える生理的・病態生理学的要因、特にホルモンの作用を問う問題です。インスリンの血糖降下作用だけでなく、脂肪代謝への影響を理解しているかが重要となります。
混同注意
インスリンの作用と、グルカゴンやカテコールアミン、ステロイドなどの拮抗ホルモンの作用を混同しやすいです。また、ヘパリンによるリポタンパクリパーゼ活性化と、それに伴う遊離脂肪酸の一時的な増加も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、主要な代謝関連ホルモン(インスリン、グルカゴン、カテコールアミン、コルチゾールなど)が、糖質、脂質、タンパク質の各代謝にどのように影響するかを包括的に理解しているかを問われます。
関連知識
遊離脂肪酸は、アルブミンと結合して血中を輸送され、エネルギー源として利用されます。インスリン抵抗性があると、遊離脂肪酸の放出が抑制されにくくなり、インスリン抵抗性を悪化させる要因の一つともなります。ホルモン感受性リパーゼの活性制御は、脂肪代謝において非常に重要です。