フローボリューム曲線(別冊No. 5)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
フローボリューム曲線において、肺線維症のような拘束性換気障害では、肺の伸展性が低下し肺容量全体が減少するため、曲線全体が小さく右にシフトしたパターンを示します。つまり、ピークフローは比較的に保たれるものの、全肺気量(TLC)や肺活量(VC)が著しく減少するのが特徴です。提示された図は、まさにこの拘束性換気障害の典型的なパターンを示しており、このことから肺線維症が最も考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。フローボリューム曲線において、肺線維症のような拘束性換気障害では、肺の容量が減少するため、呼気・吸気ともにピークフロー値は維持されるものの、曲線全体の容積(VC)が小さくなる特徴的な形を示します。特に、フローの高さが保たれつつ、ボリュームが著しく減少している場合、肺線維症が強く示唆されます。
- 2. 気管支腫瘍による気道閉塞は、腫瘍の位置によってフローボリューム曲線に影響を与えますが、上気道閉塞パターン(吸気・呼気の両方または一方のフローが平坦化)を示すことが多いです。本問題の図のような拘束性換気障害のパターンとは異なります。正しくは:気管支腫瘍による閉塞部位や程度によっては、吸気・呼気フローの平坦化(固定性または変動性上気道閉塞パターン)がみられます。選びやすい理由:気道が狭まることで呼吸機能に影響が出るという点で、他の閉塞性疾患と混同する可能性があります。混同注意:閉塞性換気障害(気管支喘息、COPDなど)や上気道閉塞と混同することがあります。
- 3. 気管支喘息は閉塞性換気障害であり、フローボリューム曲線では、ピークフローが低下し、呼気終末に向かってフローが急峻に低下する特徴的な「スプーンアウト」と呼ばれるパターンを示します。これは、気道狭窄により空気を吐き出す速度が低下するためです。本問題の図のような拘束性換気障害のパターンとは異なります。正しくは:気管支喘息では、呼気フローが低下し、特に低肺容量域で呼気フローの著しい低下(スプーンアウト)が認められます。選びやすい理由:喘息も呼吸器疾患であるため、広範な知識がなければ誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:閉塞性換気障害の典型的なパターンと、拘束性換気障害のパターンを混同することがあります。
- 4. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)も閉塞性換気障害であり、気管支喘息と同様にフローボリューム曲線では呼気フローの著しい低下、特に「スプーンアウト」パターンを示します。加えて、残気量の増加により全肺気量が保たれるか増加することもあります。本問題の図のような拘束性換気障害のパターンとは異なります。正しくは:慢性閉塞性肺疾患では、呼気フローの低下(スプーンアウト)が顕著であり、肺の過膨張を伴うこともあります。選びやすい理由:肺疾患全般の知識があいまいだと、閉塞性換気障害と拘束性換気障害の区別がつきにくいかもしれません。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害のフローボリューム曲線の特徴を混同することがあります。
- 5. びまん性汎細気管支炎は、末梢気道の閉塞性病変が特徴であり、フローボリューム曲線では閉塞性換気障害のパターンを示します。すなわち、呼気フローの低下や「スプーンアウト」パターンが見られます。本問題の図のような拘束性換気障害のパターンとは異なります。正しくは:びまん性汎細気管支炎では、末梢気道病変により呼気フローの低下、特にスプーンアウトパターンが見られます。選びやすい理由:比較的稀な疾患名であり、その病態やフローボリューム曲線の特徴を正確に把握していないと、誤答しやすいです。混同注意:閉塞性換気障害の一種であることと、他の呼吸器疾患との区別がつきにくいことがあります。
国試ポイント
フローボリューム曲線を見て、典型的な拘束性換気障害と閉塞性換気障害のパターンを識別できるかどうかが問われる。特に、各疾患がどちらの換気障害に分類されるかの知識が重要である。
混同注意
拘束性換気障害と閉塞性換気障害のフローボリューム曲線の特徴(ピークフロー、カーブの形、容量の変化)。
次に同じ論点が出たら
フローボリューム曲線の図が示された場合、まず曲線全体の形(特にピークフローの高さ、ボリュームの範囲、スプーンアウトの有無)と、吸気・呼気のどちらに異常があるかを確認する。次に、選択肢の疾患が拘束性か閉塞性かを判断し、図のパターンと照合する。
関連知識
フローボリューム曲線の読み取り方、拘束性換気障害(肺線維症、間質性肺炎、胸膜炎など)と閉塞性換気障害(気管支喘息、COPD、びまん性汎細気管支炎など)それぞれの病態と代表疾患。