正常な神経細胞の静止膜電位[mV]はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
正常な神経細胞の静止膜電位は、細胞外に対して細胞内が約-70 mVの負の電位を示します。これは主に、細胞膜がカリウムイオン(K+)に対して高い透過性を持つため、細胞内の高濃度のK+が細胞外へ流出し、膜内に負の電位が形成されることによります。さらに、ナトリウム-カリウムポンプ(Na+/K+-ATPase)が3つのNa+を細胞外へ排出し、2つのK+を細胞内へ取り込むことで、膜電位の維持とイオン濃度の勾配形成に寄与しています。この電位差は、神経細胞が刺激を受け、活動電位を発生させるための準備状態として非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. これは神経細胞の活動電位のピーク値に近い値であり、静止膜電位とは異なります。活動電位は脱分極が最大になった状態を示します。正しくは:静止膜電位は約-70mVです。選びやすい理由:活動電位の概念と混同しやすいです。混同注意:活動電位のピーク値(約+30mVから+50mV)と静止膜電位。
- 2. 0 mVは膜電位が存在しない、つまり細胞内外で電位差がない状態を指します。神経細胞は常に細胞内外で電位差を保っており、静止状態でも負の電位を示します。正しくは:静止膜電位は約-70mVです。選びやすい理由:漠然と「中立」な状態をイメージして選ぶかもしれませんが、細胞は常に電位差を保っています。混同注意:電位差がない状態。
- 3. -50 mVは、神経細胞が静止膜電位(約-70mV)から脱分極して興奮に至る「閾値」に近い値であり、静止膜電位そのものではありません。正しくは:静止膜電位は約-70mVです。選びやすい理由:閾値(約-55mV)と混同しやすいです。興奮寸前の電位として誤解される可能性があります。混同注意:活動電位発生の閾値(約-55mV)。
- 4. 正解。正常な神経細胞の静止膜電位は、細胞膜を介したカリウムイオン(K+)の流出とナトリウム-カリウムポンプの働きにより、細胞内が細胞外に対して約-70 mVに維持されています。これは膜電位の基本的な基準値です。
- 5. -100 mVは、神経細胞の静止膜電位よりも過分極した状態を示す値です。例えば、特定のイオンチャネルが過剰に開くことで一時的に到達することがありますが、通常の静止状態ではこれほど大きな負の電位にはなりません。正しくは:静止膜電位は約-70mVです。選びやすい理由:過分極の概念と混同しやすいです。より負の電位が「静止」に近いと誤解するかもしれません。混同注意:過分極の状態、または特定のイオンの平衡電位(例:K+の平衡電位はこれに近い)。
国試ポイント
神経細胞の静止膜電位は、その値(約-70 mV)を直接問われることが多い基本的な知識です。また、静止膜電位が形成されるメカニズム(イオンチャネルの選択的透過性、特にK+の関与、Na+/K+ポンプの役割)や、活動電位との関連性(閾値、脱分極、再分極、過分極)についても理解が求められます。単に数値を覚えるだけでなく、その背景にある生理学的メカニズムを把握しているかが問われます。
混同注意
活動電位のピーク値(約+30 mV)、活動電位発生の閾値(約-55 mV)、K+の平衡電位(約-90 mV)、Na+の平衡電位(約+50 mV)など、神経細胞の興奮性に関わる様々な電位値と混同しやすいです。それぞれの電位がどのような状態を示し、どのイオンの動きによって主に決定されるかを明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される場合、静止膜電位の維持に最も貢献するイオンは何か(K+)、またはNa+/K+ポンプの機能(ATP消費、イオン輸送比)など、そのメカニズムのより詳細な側面が問われる可能性があります。また、特定の毒素や薬剤がイオンチャネルに与える影響と膜電位の変化について問われることも考えられます。
関連知識
神経細胞の興奮性、活動電位の発生と伝導、イオンチャネルの種類と機能(Na+チャネル、K+チャネル)、Na+/K+ポンプの働き、GHK方程式(ゴールドマン・ホジキン・カッツの式)、ニルンストの式、脱分極、再分極、過分極。