メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉の判定に用いられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
MRSAの判定には、ペニシリナーゼ抵抗性ペニシリンであるオキサシリンが伝統的に用いられてきました。近年では、mecA遺伝子発現をより鋭敏に検出できる第二世代セファマイシンであるセフォキシチンが、ディスク拡散法や自動感受性測定装置におけるMRSAスクリーニング薬として、オキサシリンよりも優れた指標として広く推奨され、使用されています。
選択肢ごとの解説
- 1. イミペネムはカルバペネム系の広範囲スペクトル抗菌薬であり、様々な耐性菌に有効ですが、MRSAの判定における特異的なスクリーニング指標薬としては用いられません。正しくは:MRSA判定には使用されませんが、多剤耐性菌の治療薬として重要な薬剤です。選びやすい理由:広範囲スペクトルであり、多剤耐性菌の治療に用いられるイメージがあるため、MRSAのような耐性菌の判定にも関連すると思われやすいです。混同注意:他のβ-ラクタム系抗菌薬、特に広範囲スペクトルのものと混同しやすいです。
- 2. アンピシリンはペニシリン系抗菌薬ですが、多くの黄色ブドウ球菌はβ-ラクタマーゼを産生するため、この薬剤に耐性を示します。MRSAの同定指標としては不適切です。正しくは:β-ラクタマーゼ非産生性のブドウ球菌(MSSAの一部)には有効ですが、MRSA判定には用いられません。選びやすい理由:ペニシリン系という名称から、ブドウ球菌感染症治療の初期選択肢の一つと誤解されることがありますが、β-ラクタマーゼにより容易に分解されます。混同注意:ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)とMRSAの概念が混同されることがあります。アンピシリン耐性はMRSAの定義ではありません。
- 3. 正解。オキサシリンはペニシリナーゼ抵抗性ペニシリンであり、MRSAの同定において中心的な指標薬です。MRSAはmecA遺伝子によってオキサシリンに対する耐性を示します。
- 4. セファゾリンは第一世代セファロスポリン系抗菌薬であり、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)には有効ですが、MRSAの判定における主要な指標薬としては推奨されていません。正しくは:MSSAに対する治療薬の一つですが、MRSAのスクリーニング検査には通常用いられません。選びやすい理由:黄色ブドウ球菌に有効なセファロスポリン系抗菌薬であるため、MRSAの耐性機構を考慮すると関連があるように思えますが、特異的な指標薬ではありません。混同注意:他のセファロスポリン系抗菌薬、特にMRSAスクリーニングに用いられるセフォキシチンと混同されやすいです。
- 5. 正解。セフォキシチンは第二世代セファマイシン系抗菌薬であり、MRSAのmecA遺伝子発現をより効果的に誘導するため、オキサシリンよりも高感度かつ特異的なMRSAスクリーニング薬として広く用いられています。
国試ポイント
抗菌薬感受性試験において、特定の耐性菌(特にMRSA)を検出・判定するための指標薬とその役割について問う問題です。各抗菌薬の分類、作用機序、および特定の耐性菌に対する有効性や試験法における位置づけを理解しているかが重要です。
混同注意
各β-ラクタム系抗菌薬の分類(ペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系など)と、その抗菌スペクトル、特にブドウ球菌に対する活性や耐性機構(β-ラクタマーゼ産生、mecA遺伝子など)が混同されやすいです。特にオキサシリンとセフォキシチン以外の類似した薬剤(例:メチシリン、ナフシリン、セファロチン)がMRSA判定薬として誤って選択されることがあります。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、MRSAの検出に用いられる遺伝子検査(例:mecA遺伝子検出)や、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)の検出に用いられる指標薬についても確認が必要です。また、各抗菌薬の化学構造と作用機序の関連性も重要になります。
関連知識
MRSAは、黄色ブドウ球菌がメチシリン(および他のβ-ラクタム系抗菌薬)に対して耐性を示した菌株です。その耐性機構は、β-ラクタム系抗菌薬の標的であるペニシリン結合タンパク(PBP)とは異なるPBP2'(PBP2a)を産生することに起因し、これはmecA遺伝子によってコードされています。臨床検査では、このmecA遺伝子の検出や、オキサシリンやセフォキシチンに対する感受性試験によってMRSAを判定します。