JAK2変異の検出が診断に有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
JAK2遺伝子変異、特にV617F変異は、真性赤血球増加症(PV)の患者の95%以上で検出され、PVの主要な診断マーカーです。また、原発性骨髄線維症や本態性血小板血症でも検出されますが、本選択肢の中では真性赤血球増加症が最も直接的にJAK2変異と関連が深い疾患です。
選択肢ごとの解説
- 1. 骨髄異形成症候群の診断では、染色体異常(例: 5q-症候群)、細胞異形成の有無、芽球の割合などが重要であり、JAK2変異は主要な診断マーカーではありません。正しくは:骨髄異形成症候群は、造血幹細胞の異常によって血球が効果的に作られなくなる疾患であり、骨髄における異形成所見や芽球の増加、特定の染色体異常が診断に用いられます。選びやすい理由:骨髄系の疾患であるため、血液がんの遺伝子変異として関連付けてしまう可能性があります。混同注意:他の骨髄増殖性腫瘍と混同し、一括りでJAK2変異が関連すると考えてしまうことがあります。
- 2. 正解。真性赤血球増加症(PV)は、JAK2遺伝子のV617F変異(約95%)やエクソン12変異(約5%)が特徴的に検出される骨髄増殖性腫瘍であり、診断基準の重要な項目です。この変異により、エリスロポエチン非依存性に赤血球が過剰に産生されます。
- 3. 慢性骨髄性白血病(CML)の診断には、BCR-ABL融合遺伝子の検出が必須です。この融合遺伝子はフィラデルフィア染色体として知られ、チロシンキナーゼの活性化を介して白血病細胞の増殖を促します。JAK2変異はCMLの診断には用いられません。正しくは:慢性骨髄性白血病の診断には、BCR-ABL融合遺伝子の検出が不可欠です。選びやすい理由:他の骨髄増殖性腫瘍であるため、共通の遺伝子変異があると考えてしまうかもしれません。混同注意:骨髄増殖性腫瘍(MPN)群の一種であるため、他のMPNで検出されるJAK2変異と混同しやすいです。
- 4. 慢性リンパ性白血病(CLL)は、成熟Bリンパ球の悪性増殖によって特徴づけられるリンパ系腫瘍です。診断にはフローサイトメトリーによる細胞表面抗原の解析(CD5, CD19, CD20, CD23など)や特定の遺伝子異常(例: 13q欠失、TP53変異)が用いられますが、JAK2変異はCLLの診断には関連しません。正しくは:慢性リンパ性白血病の診断には、異常なBリンパ球の増加と特徴的な免疫表現型(CD5, CD19, CD20, CD23陽性など)の確認が重要です。選びやすい理由:白血病の一種であるため、遺伝子変異が診断に重要という点で選択肢として有力に見えるかもしれません。混同注意:骨髄系疾患で検出されるJAK2変異と、リンパ系疾患で検出される他の遺伝子変異を混同しやすいです。
- 5. 原発性マクログロブリン血症は、IgMを産生する形質細胞の腫瘍性増殖により高IgM血症を呈するリンパ増殖性疾患です。この疾患の主要な遺伝子変異はMYD88 L265P変異であり、JAK2変異は診断には使用されません。正しくは:原発性マクログロブリン血症の診断には、MYD88 L265P変異の検出が有用です。選びやすい理由:珍しい血液疾患のため、知識が曖昧な場合に選択肢として考えてしまう可能性があります。混同注意:リンパ系腫瘍の診断に用いられる遺伝子変異(MYD88など)と骨髄系腫瘍の遺伝子変異(JAK2など)を混同しやすいです。
国試ポイント
骨髄増殖性腫瘍(MPN)における主要な遺伝子変異とその対応疾患を理解しているかが問われています。特にJAK2変異は真性赤血球増加症、BCR-ABL融合遺伝子は慢性骨髄性白血病というように、疾患と遺伝子変異の組み合わせを正確に覚えることが重要です。
混同注意
骨髄増殖性腫瘍の各疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病)と、それぞれに特徴的な遺伝子変異(JAK2変異、CALR変異、MPL変異、BCR-ABL融合遺伝子)の組み合わせ。
次に同じ論点が出たら
JAK2変異以外の骨髄増殖性腫瘍に関連する遺伝子変異(例: CALR、MPL、BCR-ABL)と、それが診断に有用な疾患を正確に区別できるか。
関連知識
JAK2V617F変異は、JAK-STAT経路の活性化を介して造血細胞の増殖を促進します。この経路はサイトカイン受容体の下流に位置し、造血に重要な役割を果たしています。真性赤血球増加症の診断基準(WHO分類など)においても、JAK2V617F変異の有無は主要な診断項目の一つです。