骨髄塗抹標本の染色法と対象細胞の組合せで陽性とならないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
PAS染色は多糖類であるグリコーゲンを染め出します。正常な赤芽球にはグリコーゲンがほとんど含まれないため、PAS染色では陽性を示しません。したがって、「PAS染色:正常赤芽球」の組み合わせは、陽性とならないため正しい選択肢となります。赤白血病などの異常赤芽球はPAS陽性を示すことがありますが、これは病的な状態であり正常ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 鉄染色はヘモジデリンなどの鉄を青色に染め出す染色法であり、環状鉄芽球ではミトコンドリア周囲に鉄顆粒が異常沈着するため、鉄染色で陽性像として検出されます。したがって、この組み合わせは適切です。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:一見すると特定の病態と結びついているため、誤りではないかと思うかもしれませんが、環状鉄芽球は鉄染色の重要な対象です。混同注意:単に「鉄芽球」と「環状鉄芽球」の違い。環状鉄芽球は異常な鉄代謝を示すため、鉄染色で特徴的な所見を呈します。
- 2. 正解。PAS(過ヨウ素酸シッフ)染色は、グリコーゲンなどの多糖類を赤紫色に染め出します。正常な赤芽球はグリコーゲン含有量が少ないため、PAS染色では通常陰性か、ごく微弱な陽性にとどまります。しかし、赤白血病(M6)などの異常な赤芽球ではPAS陽性像を呈することがあります。問題文は『正常赤芽球』となっているため、陽性とならない組み合わせとしてこれが正解です。正しくは:正常赤芽球はPAS染色で陽性とはなりません。赤白血病の赤芽球はPAS染色で陽性となることがあります。選びやすい理由:血液疾患の異常細胞がPAS陽性になる場合があるため、正常細胞でも陽性になると思い込む可能性があります。混同注意:正常赤芽球と赤白血病の赤芽球のPAS染色所見の違い。また、他の血球系細胞(リンパ球や顆粒球)がPAS陽性となることと混同しやすいです。
- 3. ペルオキシダーゼ染色(ミエロペルオキシダーゼ染色)は、顆粒球や単球系の細胞に存在する酵素活性を検出します。好酸球の顆粒にはペルオキシダーゼ活性が高いため、この染色法で強く陽性を示します。したがって、この組み合わせは適切です。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:好中球が強く陽性となるため、好酸球の反応がどうか迷う可能性があります。混同注意:好中球と好酸球のペルオキシダーゼ活性の差。両者ともに陽性ですが、特に好酸球の顆粒は強いペルオキシダーゼ活性を持ちます。
- 4. 特異的エステラーゼ染色(ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ染色)は、主に好中球系の細胞(前骨髄球から成熟好中球まで)に特異的に陽性反応を示します。したがって、この組み合わせは適切です。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:非特異的エステラーゼ染色と混同し、単球系に特異的だと思い込む可能性があります。混同注意:特異的エステラーゼ染色と非特異的エステラーゼ染色の対象細胞の違い。
- 5. 非特異的エステラーゼ染色(α-ナフチルアセテートエステラーゼ染色など)は、単球系の細胞に強く陽性を示すだけでなく、巨核球にも陽性反応を示します。したがって、この組み合わせは適切です。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:非特異的エステラーゼ染色が「単球系」の指標として有名であるため、巨核球にも陽性であるという知識が抜けていると誤りだと思ってしまう可能性があります。混同注意:非特異的エステラーゼ染色が単球系細胞の代表的な指標であることと、巨核球系細胞も陽性となる事実。
国試ポイント
骨髄検査における各種細胞化学染色の目的、陽性を示す細胞の種類、そして特徴的な染色パターンを正確に理解しているかを問う問題です。特に、正常細胞と異常細胞における染色の違いを理解しておくことが重要です。
混同注意
各染色の特異性や、特定の疾患での異常な染色所見と、正常細胞での染色所見との区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、各細胞化学染色の『陽性を示す代表的な細胞』と『特定の疾患で陽性を示す細胞』、そして『通常陰性となる細胞』の3点を軸に知識を整理し、正確に判断できるかを確認します。
関連知識
鉄染色の原理と、鉄芽球性貧血(環状鉄芽球)の診断的意義。PAS染色の原理、陽性を示す細胞(顆粒球、リンパ球の一部、赤白血病の赤芽球)と陰性を示す細胞(正常赤芽球)。ペルオキシダーゼ染色の原理と顆粒球系・単球系の鑑別。エステラーゼ染色の特異的・非特異的の区別とその意義(好中球系と単球系、巨核球系の鑑別)。