僧帽弁が閉じてから大動脈弁が開くまでの心時相はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心臓のポンプ作用は複数の心時相に分けられます。僧帽弁が閉鎖すると、左心室は収縮を開始しますが、大動脈弁はまだ閉じています。この状態では、心室内の血液容積は変化せず、心室圧のみが上昇します。この弁が全て閉じた状態で心室圧が上昇する時期を「等容収縮期」と呼びます。心室圧が大動脈圧を上回ると大動脈弁が開口し、駆出期へと移行します。
選択肢ごとの解説
- 1. 左心房から左心室へ血液が急速に流れ込む時期であり、僧帽弁が開いている心拡張期に該当します。設問で問われている「僧帽弁閉鎖後」の期間ではありません。正しくは:僧帽弁が開いている心拡張期の初期段階で、心室に血液が急速に流入する時期です。選びやすい理由:弁の開閉に関連する用語なので、心臓のポンプ機能と結びつけてしまいやすいですが、タイミングが異なります。混同注意:等容弛緩期や心房収縮期といった心拡張期の他の段階と混同しやすいです。
- 2. 大動脈弁が開口し、左心室から大動脈へ血液が排出される時期です。この期間は大動脈弁開口後であり、設問で問われている「大動脈弁が開くまでの」期間とは異なります。正しくは:大動脈弁が開いてから、心室が収縮して血液を大動脈に送り出す時期です。選びやすい理由:心臓の主要な収縮期の一部であるため、心室収縮の開始時期と誤解されやすいです。混同注意:等容収縮期と駆出期は連続する心室収縮期ですが、弁の開閉によって区別されるため、その境界を混同しやすいです。
- 3. 心房が収縮して心室への血液充満を補助する時期であり、僧帽弁はまだ開いています。設問の「僧帽弁が閉じてから」という条件を満たしません。これは心拡張期の最終段階です。正しくは:心房が収縮し、心室へ残りの血液を送り込む心拡張期の最終段階です。選びやすい理由:「収縮」という言葉に引きずられ、心室の収縮期と誤って関連付けてしまう可能性があります。混同注意:心房の収縮と心室の収縮、およびそれらのタイミングを混同しやすいです。
- 4. 大動脈弁と僧帽弁が共に閉鎖した状態で、心室内の圧力が低下する心拡張期の初期段階です。心室が収縮を開始する時期ではなく、心臓が弛緩している時期にあたります。正しくは:大動脈弁が閉鎖してから僧帽弁が開くまでの間、心室が弛緩し圧力が低下する時期です。選びやすい理由:「等容」という言葉は共通していますが、「弛緩」という点が設問の意図する収縮期と逆の段階を示しています。混同注意:等容収縮期と対になる概念であり、両者の弁の開閉タイミングと心室の動きが逆であるため、混同しやすいです。
- 5. 正解。僧帽弁が閉鎖した時点から心室収縮が始まり、心室圧が上昇しますが、大動脈弁はまだ開いていません。この間、心室内の血液容積は変化しないため「等容」と呼ばれ、心室は収縮を開始しているため「収縮期」とされます。これはまさに、僧帽弁閉鎖後から大動脈弁開口までの期間に該当します。
国試ポイント
心臓の各弁(僧帽弁、大動脈弁など)の開閉時期と、それに対応する心時相(等容収縮期、駆出期、等容弛緩期、急速流入期など)の関係を正確に理解しているかを問う基本的な問題です。特に「等容」という用語が何を意味するのか、心室容積の変化の有無を理解しているかが重要となります。
混同注意
等容弛緩期、駆出期、急速流入期など、他の心時相と、それぞれの期間における弁の開閉状態や心室容積の変化を混同しやすいです。また、心室収縮期と心房収縮期の違いも明確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回出題される場合、同様に他の心時相(例:大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの心時相はどれか?)を問われたり、心電図、心音、心室容積変化のグラフと対応させて、各心時相の名称や特徴を選択させる形式で問われる可能性があります。
関連知識
心電図の各波(P波、QRS波、T波)と心時相の関係、心音の発生時期(I音、II音)と弁の開閉、心圧曲線(特に左心室圧と大動脈圧)と心室容積曲線の連動をグラフで理解すると、より深く概念を把握できます。心拍出量や拍出係数などの循環生理学の基礎知識も関連します。