囊虫症をきたすのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
有鉤条虫(Taenia solium)はヒトが成虫に寄生される腸管条虫症と、幼虫(嚢虫)が筋肉や脳、眼などに寄生する囊虫症(cysticercosis)という2つの病態を引き起こします。囊虫症は有鉤条虫の卵を摂取することで感染し、幼虫が体内で発育し嚢胞を形成するため、神経囊虫症は重篤な症状を呈する可能性があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 小形条虫(Hymenolepis nana)はヒトに最もよく見られる条虫の一つですが、幼虫がヒトの組織に移動して囊虫症を起こすことはありません。ヒトの小腸で直接成虫となります。正しくは:小形条虫はヒトが成虫の終宿主であり、幼虫が囊虫症を引き起こすことはありません。選びやすい理由:一般的な条虫症の原因として知られているため、混同しやすい可能性があります。混同注意:有鉤条虫の囊虫症の概念
- 2. 無鉤条虫(Taenia saginata)はヒトの腸に成虫として寄生しますが、幼虫(Cysticercus bovis)はウシの筋肉に寄生し、ヒトには囊虫症を起こしません。ヒトが感染するのは、囊虫を保有する生あるいは加熱不十分な牛肉を摂取した場合です。正しくは:無鉤条虫の幼虫はウシに寄生し、ヒトには囊虫症を起こしません。選びやすい理由:有鉤条虫と同様にヒトに寄生する条虫であり、形態も似ているため、誤って選択しやすいです。混同注意:有鉤条虫による囊虫症
- 3. 正解。有鉤条虫(Taenia solium)は、成虫がヒトの腸に寄生する腸管条虫症と、幼虫である嚢虫(Cysticercus cellulosae)がヒトの脳、筋肉、眼などの組織に寄生する囊虫症を引き起こします。特に神経囊虫症は重篤な症状を呈することがあります。選びやすい理由:他の条虫と混同しやすいですが、囊虫症の発生は有鉤条虫の明確な特徴です。混同注意:無鉤条虫
- 4. 日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium nihonkaiense)はサケ・マスなどの淡水魚介類を生食することで感染する条虫で、ヒトの腸に成虫として寄生します。囊虫症のような幼虫による組織内寄生は起こしません。プルレロセルコイド(プレロセルコイド)と呼ばれる幼虫が魚に寄生します。正しくは:日本海裂頭条虫はヒトに成虫として寄生し、囊虫症を引き起こしません。選びやすい理由:魚介類からの感染という点で、他の条虫との区別が曖昧だと誤りやすいです。混同注意:有鉤条虫の寄生様式
- 5. クジラ複殖門条虫〈大複殖門条虫〉(Diplogonoporus grandis)は海獣類を最終宿主とする条虫ですが、ヒトにも感染例があり、腸管に成虫として寄生します。幼虫による囊虫症は引き起こしません。正しくは:クジラ複殖門条虫はヒトの腸管に成虫として寄生し、囊虫症は引き起こしません。選びやすい理由:比較的稀な条虫であり、知識が不足していると判断が難しい可能性があります。混同注意:有鉤条虫の病態
国試ポイント
条虫類とその寄生様式(成虫、幼虫)およびそれによって引き起こされる疾患(特に囊虫症)を正確に理解し、各条虫の種別の特徴を覚えることが重要です。
混同注意
有鉤条虫と無鉤条虫はどちらもヒトに寄生する条虫ですが、幼虫がヒトに寄生して囊虫症を引き起こすのは有鉤条虫のみである点が重要です。無鉤条虫は幼虫が牛に寄生し、ヒトは成虫にのみ寄生します。
次に同じ論点が出たら
条虫による感染症の問題が出た場合、「幼虫がヒトに寄生して病態を引き起こすかどうか」という点に注目し、特に「囊虫症」というキーワードがあれば有鉤条虫を第一に疑って判断します。
関連知識
条虫症の分類(有鉤条虫、無鉤条虫、日本海裂頭条虫、小形条虫など)、それぞれの感染経路、中間宿主、主な症状、診断方法(虫卵検査、画像診断)、治療法(プラジカンテルなど)。特に、有鉤条虫による神経囊虫症はてんかん発作などの神経症状を呈することが多く、臨床的に重要です。