77歳の男性。西日本在住。農作業で虫に刺されたため診療所を受診し、マダニ咬症と診断された。3日後に39℃の発熱があり再診した。考えられる疾患はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニを媒介として感染するウイルス性の疾患です。設問にある「西日本在住」、「農作業で虫に刺された」、「マダニ咬症と診断された」、「3日後の発熱」という情報は、SFTSの疫学的特徴、感染経路、潜伏期間と一致しており、最も適切な疾患と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 日本脳炎の主な媒介動物は蚊(コガタアカイエカ)であり、設問で示されたマダニではありません。正しくは:日本脳炎は蚊によって媒介される感染症です。選びやすい理由:日本でも発生する可能性があり、発熱を伴うため、感染症であることは共通しています。混同注意:他の蚊媒介感染症や、発熱と神経症状を呈する様々な疾患と混同されることがあります。
- 2. 発疹チフスは主にヒトジラミ(体虱)を介して伝播するリケッチア感染症であり、マダニは媒介しません。正しくは:発疹チフスの主要な媒介動物はヒトジラミです。マダニ媒介のリケッチア症としては日本紅斑熱などがあります。選びやすい理由:発熱を伴うリケッチア感染症の一種であり、ダニ媒介性の感染症と混同しやすいかもしれません。混同注意:ツツガムシ病や日本紅斑熱などのダニ媒介性リケッチア感染症と混同されやすいです。
- 3. ツツガムシ病はツツガムシ(ダニの幼虫)によって媒介される感染症です。設問では「マダニ咬症」と診断されており、媒介動物が異なります。正しくは:ツツガムシ病の媒介動物はマダニではなく、ツツガムシ(ダニの幼虫)です。選びやすい理由:ダニ媒介感染症であり、農作業という状況や発熱があることから、SFTSと同様に疑われやすい疾患です。日本でも広く発生します。混同注意:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱など、他のダニ媒介性感染症と混同されやすいです。
- 4. デング出血熱は蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)によって媒介されるウイルス感染症であり、マダニは媒介しません。正しくは:デング出血熱は蚊によって媒介される感染症です。選びやすい理由:発熱を伴うウイルス感染症であり、近年日本国内での感染事例も報告されているため、選択肢として考慮されやすいかもしれません。混同注意:他の蚊媒介感染症や、発熱と出血傾向を伴う疾患と混同されることがあります。
- 5. 正解。SFTSはマダニによって媒介されるウイルス感染症であり、特に西日本での発生が多い特徴があります。農作業中にマダニに咬まれた後に発熱を呈するという患者の状況は、SFTSの発症経過と非常に合致しています。
国試ポイント
本問題は、ダニ媒介性感染症、特にマダニが媒介する疾患に関する知識が問われています。患者の居住地(西日本)、職業(農作業)、虫刺されの種類(マダニ咬症)、および症状(発熱)から、最も可能性の高い疾患を特定できるかが重要です。それぞれの感染症の主要な媒介動物や、地域的な疫学情報と合わせて覚える必要があります。
混同注意
他のダニ媒介性感染症(日本紅斑熱、ライム病、ツツガムシ病など)や、発熱を伴う他の感染症と混同されやすいです。特にツツガムシ病はダニ媒介ですが、媒介するのはツツガムシ(幼虫)であり、マダニではありません。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『媒介動物の種類』と『地理的要因(地域、海外渡航歴など)』、そして『特徴的な症状』に注目して疾患を絞り込むと良いでしょう。特にマダニ媒介感染症は複数あるため、それぞれの特徴を比較して理解しておくことが重要です。
関連知識
SFTSウイルスはブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類され、感染すると発熱、消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛など)が主症状として現れます。特徴的な検査所見として白血球減少と血小板減少が見られ、重症化すると多臓器不全に至ることもあります。国内では2013年に初めて報告され、西日本を中心に発生が確認されています。