PAS反応標本(別冊No. 9)を別に示す。この臓器はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
PAS染色は多糖類や糖タンパク質、糖脂質などを赤紫色に染める特殊染色である。腎臓では、糸球体の基底膜、メサンギウム基質、そして尿細管上皮細胞の刷子縁に豊富に存在するグリコプロテインがPAS陽性を示す。提示された画像は、特徴的な球状の糸球体と周囲の尿細管がPAS染色で明瞭に染まっている組織像であり、これは典型的な腎臓の組織像である。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝臓のPAS染色ではグリコーゲンが染まるが、画像の所見のような特徴的な糸球体構造は観察されない。正しくは:肝臓であれば肝細胞にグリコーゲンの顆粒が認められるが、糸球体のような構造は呈さない。選びやすい理由:グリコーゲンが豊富な臓器という点で考えられるかもしれないが、形態が異なる。混同注意:他のPAS陽性物質を多く含む臓器の組織像と混同しやすい。
- 2. 食道のPAS染色では粘液腺などが染まるが、画像に見られる糸球体や尿細管に類似した構造とは異なる。正しくは:食道の上皮や粘液腺はPAS陽性だが、このような球状の構造は見られない。選びやすい理由:粘膜組織として候補に挙がるかもしれないが、組織像が一致しない。混同注意:消化管の他の部位の組織像と混同しやすい。
- 3. 正解。PAS染色は、腎臓の糸球体基底膜やメサンギウム基質、尿細管の刷子縁にあるグリコプロテインを鮮やかに染め出す。提示された画像には、この染色パターンを示す糸球体(球状構造)と尿細管(管状構造)が明瞭に確認できるため、腎臓組織と判断できる。
- 4. 大脳のPAS染色ではアストロサイトのグリコーゲン顆粒やリポフスチンなどが染まることがあるが、画像の組織構造(糸球体や尿細管)とは全く異なる。正しくは:大脳であれば神経細胞やグリア細胞が観察されるが、糸球体や尿細管のような構造は見られない。選びやすい理由:臓器として選択肢にあるが、組織学的な所見が全く異なる。混同注意:神経組織の他の病理像と混同しやすい。
- 5. 脾臓のPAS染色では主に赤脾髄の細網線維や、マクロファージ内の糖原などが染まるが、画像のような糸球体や尿細管の構造は存在しない。正しくは:脾臓ではリンパ濾胞や赤脾髄が観察されるが、糸球体や尿細管の構造は認められない。選びやすい理由:リンパ系臓器として考えられるかもしれないが、組織像が一致しない。混同注意:他のリンパ系臓器の組織像と混同しやすい。
国試ポイント
特殊染色とその染色性、および各臓器の組織学的特徴を関連付けて理解しているかを問う問題。特にPAS染色が腎臓の糸球体や尿細管の構造を明瞭に染め出すことを知っているか、またその組織像を判別できるかが重要となる。
混同注意
PAS染色で陽性を示す他の臓器(例:肝臓のグリコーゲン、胃の粘液、真菌の細胞壁など)の組織像と混同しやすい。しかし、それぞれの臓器特有の形態構造を識別することで区別が可能。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず染色法を確認し、その染色で特に特徴的に染まる組織や細胞成分を想起する。次に、提示された画像における組織構造(臓器特有の形態)を詳細に観察し、染色性の特徴と組織形態の両方から臓器を特定する。
関連知識
PAS染色(Periodic Acid-Schiff staining)の原理、染色される主要な物質(グリコーゲン、糖タンパク質、中性ムチン、基底膜など)、PAS染色が診断に用いられる疾患(例:糸球体疾患、真菌感染症、グリコーゲン貯蔵病など)。