患者の間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングの反応結果の写真(別冊No. 12A)とパネル血球のアンチグラム(別冊No. 12B)を別に示す。考えられる不規則抗体はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下に示す画像Aの不規則抗体スクリーニング結果において陽性反応を示しているウェルについて、下に示す画像Bのパネル血球アンチグラムで該当する血球の抗原表を確認します。画像Aと画像Bを照合すると、陽性反応を示す血球には共通してE抗原が存在し、E抗原を持たない血球には陽性反応が見られないことがわかります。この一致から、検出された不規則抗体は抗Eであると判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. アンチグラムBとスクリーニング結果Aを照合すると、抗Cの可能性は低い。特に、C抗原陽性血球に対する反応が陰性であるか、他の選択肢に比べて反応パターンが一致しない。正しくは:アンチグラムと反応結果が一致しないため、この抗体である可能性は低い。選びやすい理由:複数のパネル血球が反応しているように見える場合、他の抗原の可能性も考慮する必要がある。混同注意:C抗原の有無だけでなく、他の関連するRh抗原(c, D, E, e)との複合的な情報から判断を誤る可能性がある。
- 2. アンチグラムBを見ると、D抗原陽性のパネル血球に対する反応がスクリーニング結果Aでは陰性となっている、あるいは他の選択肢と比較して反応パターンが一致しないため、抗Dの可能性は低い。正しくは:D抗原陽性血球に対する反応が陽性ではないため、抗Dとは考えられない。選びやすい理由:Rh血液型抗体は臨床的に重要であるため、まず疑う候補の一つになりやすい。混同注意:D抗原の存在はRh血液型決定の最も重要な因子であり、その関連抗体も頻繁に出題されるため、安易に選択してしまうことがある。
- 3. 正解。画像Aのスクリーニング結果と画像Bのアンチグラムを照合すると、抗Eが最も考えられます。アンチグラムBでE抗原が陽性のパネル血球に対してのみ、画像Aで陽性反応が示されているため、この抗体が強く示唆されます。正しくは:E抗原陽性パネル血球にのみ陽性反応が見られるため、抗Eが推測される。選びやすい理由:複数の抗体が同時に存在する場合や、抗体価が低い場合に判断が難しくなる。混同注意:Rhシステム内の他の抗体(抗C、抗c、抗D、抗e)との混同。E抗原の有無と反応パターンが正確に一致しているかを確認する必要がある。
- 4. 画像Aのスクリーニング反応と画像Bのアンチグラムを突き合わせると、Jka抗原陽性血球に対する反応パターンが一致しません。Jka抗原が陽性でも陰性を示す、またはその逆の反応が見られるため、抗Jkaの可能性は低いと考えられます。正しくは:Jka抗原陽性血球に対する反応が陽性ではないため、抗Jkaとは考えられない。選びやすい理由:Jka抗体は溶血性輸血反応や新生児溶血性疾患の原因となることがあるため、重要な抗体として選択肢に入りやすい。混同注意:Kiddシステム抗体は遅延型輸血反応の原因となることが多く、臨床的に重要であるため、見落としやすい抗体として注意が必要。
- 5. 画像Aのスクリーニング反応結果と画像Bのアンチグラムを比較すると、M抗原が陽性であるパネル血球に対する反応が必ずしも陽性ではありません。M抗原の有無と反応パターンに一致が見られないため、抗Mの可能性は低いと判断されます。正しくは:M抗原陽性血球に対する反応が陽性ではないため、抗Mとは考えられない。選びやすい理由:MNSシステム抗体も不規則抗体として検出されることがあるため、候補として検討されやすい。混同注意:M抗体は通常、室温反応性で、間接抗グロブリン試験では反応しないことが多いという特徴を忘れてしまうと誤解する可能性がある。
国試ポイント
不規則抗体同定において、スクリーニング反応の結果とパネル血球のアンチグラム(抗原プロファイル)を正確に照合し、反応パターンに一致する抗原を特定する能力が問われています。特に、複数の抗原が陽性であるパネル血球と、その反応結果を注意深く比較することが重要です。
混同注意
Rhシステム内の他の抗体(抗C、抗Dなど)や、他のシステム(Kidd、MNSなど)の抗体との鑑別が難しい場合があります。特に、複数の抗体が検出されたり、抗体価が低い場合、あるいは特殊な亜型抗原が存在する場合に混同しやすいです。重要なのは、どのパネル血球で反応が陽性になっているか、そしてその血球が持つ抗原の中で、陽性反応を示すすべての血球に共通して存在し、かつ陰性反応を示すすべての血球には存在しない抗原を見つけ出すことです。
次に同じ論点が出たら
抗Eが同定された後、この患者への輸血を行う際には、E抗原陰性の輸血用血液を選択する必要があります。また、過去の輸血歴や妊娠歴などを確認し、抗体産生の原因や経時的な抗体価の変化をモニタリングすることも考慮されます。
関連知識
不規則抗体スクリーニングは、輸血前の検査として非常に重要です。Rh血液型システムはD、C、c、E、eの5種類の主要抗原から成り、これらの抗体は臨床的に重要な意義を持ちます。特に抗Dは新生児溶血性疾患の予防のために必須であり、抗C、抗Eも遅延型溶血性輸血反応の原因となり得ます。間接抗グロブリン試験は、不規則抗体の検出に広く用いられる方法です。