リン脂質依存性凝固反応に関与するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
第VIII因子は、活性型(第VIIIa因子)として第IXa因子の補因子となり、リン脂質表面(主に活性化血小板膜)上でカルシウムイオンとともにテナーゼ複合体(第IXa-第VIIIa-リン脂質-Ca2+)を形成します。この複合体は、第X因子の効率的な活性化に必須であり、血液凝固カスケードにおけるリン脂質依存性反応の代表的な例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。第VIII因子は、活性化されると第IXa因子の補因子として機能し、リン脂質表面上でカルシウムイオンと共にテナーゼ複合体(第IXa-第VIIIa-リン脂質-Ca2+)を形成します。この複合体は、第X因子の活性化に不可欠であり、リン脂質依存性凝固反応の中心的な役割を担います。
- 2. 第XI因子は、活性化されると第IX因子を活性化します。これは内因系凝固経路の一部ですが、第XI因子自体の活性化やその直接的な作用が「リン脂質依存性」として強調されるよりも、その下流の第IXa因子が第VIIIa因子とリン脂質表面で複合体を形成する点がリン脂質依存性の核となります。正しくは:第XI因子は、第XIIa因子によって活性化され、第IX因子を活性化するセリンプロテアーゼです。リン脂質表面に直接結合して酵素複合体を形成する役割は、第VIII因子とは異なります。選びやすい理由:内因系凝固経路の初期段階に位置するため、リン脂質依存性の反応と関連が深いと思われがちです。混同注意:リン脂質表面で形成される複合体の補因子である第VIII因子や第V因子と混同されることがあります。
- 3. 第XII因子(ハーゲマン因子)は、内因系凝固経路の接触活性化の開始因子です。負に帯電した表面(例えばコラーゲンや異物)に接触することで活性化されますが、それ自体がリン脂質表面上で酵素複合体を形成する直接的な「リン脂質依存性凝固反応」の主役ではありません。第XI因子を活性化するのが主な役割です。正しくは:第XII因子は、接触活性化により活性化され、プレカリクレインと第XI因子を活性化する役割を担います。選びやすい理由:凝固カスケードの最も初期段階に関与するため、重要な因子であると誤解されやすいです。混同注意:凝固経路全体における重要性と、リン脂質依存性複合体形成における直接的な役割を混同することがあります。
- 4. フィブリノゲンは、トロンビンによってフィブリンモノマーに変換され、重合して安定したフィブリン塊を形成する最終的な基質です。凝固反応の最終産物ではありますが、リン脂質表面上で活性化される酵素複合体(例えばテナーゼ複合体やプロトロンビナーゼ複合体)の形成に直接関与する因子ではありません。正しくは:フィブリノゲンは、トロンビンの作用により不溶性のフィブリンへと変換され、血栓の主要な構成成分となります。選びやすい理由:血液凝固の最も目に見える結果(血栓)の主成分であるため、凝固反応全体に関与すると考えられやすいです。混同注意:凝固カスケードの個々の活性化ステップではなく、最終的な血栓形成プロセス全体と混同されることがあります。
- 5. プレカリクレインは、高分子キニノーゲン(HMWK)と共に第XII因子の接触活性化に関与する因子です。カリクレインに変換され、第XII因子を活性化する役割がありますが、リン脂質表面上で活性化される酵素複合体(第VIII因子や第V因子が関与する複合体)に直接的に関与する因子ではありません。正しくは:プレカリクレインは、接触活性化経路において、カリクレインとして第XII因子の活性化を促進します。選びやすい理由:内因系凝固経路の初期段階、特に接触活性化に関与するため、リン脂質依存性反応と間接的に関連すると捉えられやすいです。混同注意:第XII因子、第XI因子といった初期の接触因子や、リン脂質依存性複合体の補因子である第VIII因子と混同されることがあります。
国試ポイント
凝固カスケードにおいて、特定の因子がリン脂質表面やカルシウムイオンを必要とする「リン脂質依存性凝固反応」に直接関与する役割を理解しているかが問われています。特に補因子(第V因子、第VIII因子)の機能が重要です。
混同注意
内因系凝固経路の初期因子(第XI因子、第XII因子、プレカリクレイン)と、リン脂質表面上で直接複合体を形成する補因子(第VIII因子、第V因子)の役割が混同されやすい点です。質問が「リン脂質依存性凝固反応」に特化している点を見落とすと、広範な凝固経路の知識から誤った選択をしてしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず問題文が「リン脂質依存性」「表面上」「補因子」といったキーワードを含んでいるかを確認します。これらのキーワードがあれば、リン脂質表面上で複合体を形成し、他の酵素因子の活性を大幅に増強する補因子(第VIII因子、第V因子)に注目して選択肢を検討することが重要です。
関連知識
血液凝固の三段階(一次止血、二次止血、線溶系)、内因系・外因系・共通経路の各因子と経路、補因子の役割(第V因子、第VIII因子)、カルシウムイオンやリン脂質の重要性、テナーゼ複合体(第IXa-第VIIIa-PL-Ca2+)とプロトロンビナーゼ複合体(第Xa-第Va-PL-Ca2+)の構成と機能、およびそれらに関連する疾患(血友病A・Bなど)について。