末梢血のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 13)を別に示す。認められるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
提示されたMay-Giemsa染色標本の赤血球は、その一端が細長く伸び、涙のしずくのような形をしているのが特徴です。この形態異常は「涙滴赤血球」と呼ばれ、骨髄線維症などの骨髄疾患でよく見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 鎌状赤血球は、貧血の一種である鎌状赤血球症でみられる、鎌の形をした異常な赤血球です。図の赤血球は鎌状ではありません。正しくは:鎌状赤血球症の場合、赤血球が鎌のような形に変形します。選びやすい理由:赤血球の形態異常として比較的よく知られているため、混同しやすいかもしれません。混同注意:他の特徴的な赤血球形態、例えば楕円赤血球などと混同されることがあります。
- 2. 菲薄赤血球は、細胞中央のヘモグロビンがない領域(中心淡明部)が異常に広い赤血球で、鉄欠乏性貧血などで見られます。図の赤血球はこのような特徴を示していません。正しくは:鉄欠乏性貧血では、赤血球の中心淡明部が拡大し菲薄化します。選びやすい理由:中心淡明部がやや目立つ赤血球と誤認する可能性があります。混同注意:小球性低色素性赤血球と関連する形態ですが、菲薄赤血球はその中でも特に中心淡明部の拡大が著しいものを指します。
- 3. 標的赤血球は、赤血球の中央部にヘモグロビンが濃縮され、まるで射撃の標的のように見えるものです。サラセミアや肝疾患などで認められますが、図の赤血球はこの形態ではありません。正しくは:標的赤血球は、中心部と辺縁部にヘモグロビンが分布し、その間に淡明部がある二重構造を示します。選びやすい理由:特徴的な形態異常として知識が先行し、安易に選択してしまう可能性があります。混同注意:他の赤血球形態異常、特に網状赤血球や球状赤血球と混同されることがあります。
- 4. 有核赤血球は、成熟した赤血球では通常失われている核を保持している未熟な赤血球です。溶血性貧血や骨髄線維症などで末梢血に出現することがありますが、図の赤血球には核が見られません。正しくは:核を持った赤血球前駆細胞が末梢血に出現する場合、有核赤血球と診断されます。選びやすい理由:様々な血液疾患で出現するため、選択肢として魅力的ですが、画像で核を確認できないため誤りです。混同注意:リンパ球や単球などの単核細胞と混同する可能性がありますが、赤血球系細胞の核は通常より円形で細胞質が好酸性です。
- 5. 正解。下図の赤血球は、その名の通り涙のしずくのような、または洋ナシのような特徴的な形態を示しています。これは骨髄線維症や骨髄異形成症候群などで見られる代表的な赤血球形態異常です。正しくは:涙滴赤血球は、骨髄線維症などで骨髄での赤血球産生に異常が生じた際に出現します。選びやすい理由:画像から直感的に判断しやすく、他の選択肢と比べて特徴が明確です。混同注意:形態の似ているものとして、楕円赤血球が挙げられますが、涙滴赤血球は一端が細く伸びた特有の形をしています。
国試ポイント
本問は、末梢血塗抹標本の典型的な赤血球形態異常を識別する能力を問うものです。特に、骨髄線維症などの疾患で特徴的に出現する涙滴赤血球の視覚的認識が求められます。形態学的な特徴を正確に捉え、疾患との関連性を理解しているかが重要です。
混同注意
楕円赤血球(卵円形~楕円形の赤血球)、赤血球のアーチファクト(塗抹時に引き伸ばされたり変形したりしたもの)
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出題された場合、まず各赤血球の形態的特徴(大きさ、形、中心淡明部、核の有無など)を詳細に観察し、各選択肢の定義と照らし合わせます。特に、珍しい形態を示す赤血球は特定の疾患と強く関連するため、注意深く識別することが重要です。
関連知識
涙滴赤血球が認められる主な疾患:骨髄線維症(骨髄線維化による造血障害)、骨髄異形成症候群、重症な巨赤芽球性貧血、転移性骨髄癌など。これらの疾患では、造血が困難になり、赤血球が無理に骨髄を通過する際に変形すると考えられています。