血栓形成を抑制するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
プロスタサイクリン(PGI2)は血管内皮細胞から産生されるエイコサノイドで、血小板のアデニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリックAMP(cAMP)濃度を上昇させることにより、血小板凝集を強力に抑制し、血管拡張作用も持ちます。これにより血栓形成が抑制されます。
選択肢ごとの解説
- 1. ADPは血小板凝集を強力に促進する物質であり、血栓形成を抑制する作用はありません。血小板のP2Y12受容体に結合し、血小板の活性化と凝集を誘導します。正しくは:ADPは血小板凝集を促進し、血栓形成を助長します。選びやすい理由:血液凝固に関連する物質として知られているため、何らかの役割を持つと考えるかもしれませんが、その役割が促進か抑制かを混同しやすいです。混同注意:血小板凝集抑制作用を持つプロスタサイクリンや一酸化窒素(NO)。
- 2. セロトニン(5-HT)は、血小板によって放出され、血管収縮作用を持ち、低濃度では血小板凝集を増強する作用があります。血栓形成を抑制する作用はありません。正しくは:セロトニンは血管収縮作用と血小板凝集促進作用を持ちます。選びやすい理由:セロトニンが体内で多くの生理作用を持つため、血栓形成抑制にも関与するのではないかと考える可能性があります。混同注意:血小板凝集抑制作用を持つプロスタサイクリンやADP受容体阻害薬の作用機序。
- 3. エピネフリン(アドレナリン)は、血小板のα2アドレナリン受容体を介して血小板凝集を促進する作用があります。血管収縮作用も持ちます。血栓形成を抑制する作用はありません。正しくは:エピネフリンは血小板凝集を促進します。選びやすい理由:ストレスホルモンとして知られ、血管系に影響を与えるため、血栓形成抑制にも関与すると誤解する可能性があります。混同注意:血圧降下作用や血管拡張作用を持つ他のホルモンや神経伝達物質。
- 4. トロンボキサンA2(TXA2)は血小板から産生され、強力な血小板凝集促進作用と血管収縮作用を持ちます。血栓形成を抑制するどころか、促進する主要な因子です。正しくは:トロンボキサンA2は血小板凝集を促進し、血栓形成を助長します。選びやすい理由:プロスタサイクリン(PGI2)と構造的に似ており、プロスタグランジン類の一種であるため、作用も類似すると考える可能性がありますが、作用は正反対です。混同注意:血小板凝集抑制作用を持つプロスタサイクリン(PGI2)。
- 5. 正解。プロスタサイクリン(PGI2)は血管内皮細胞から産生され、血小板凝集を強力に抑制し、血管拡張作用を持つことで血栓形成を妨げます。これは生体内の抗血栓機構において重要な役割を担います。選びやすい理由:「プロスタサイクリン」という名前が、プロスタグランジン類の一つであるため、他の類似物質との区別が曖昧になりやすいですが、その特異的な役割を理解することが重要です。混同注意:血小板凝集を促進する作用を持つトロンボキサンA2(TXA2)。
国試ポイント
血栓形成に関わる物質のうち、血小板凝集を促進する因子と抑制する因子を明確に区別して覚えることが重要です。特にプロスタサイクリンが抑制因子であることを理解する。
混同注意
プロスタサイクリン(PGI2)とトロンボキサンA2(TXA2)は、ともにアラキドン酸から合成されるエイコサノイドですが、作用が正反対です。PGI2は血小板凝集抑制・血管拡張作用、TXA2は血小板凝集促進・血管収縮作用を持ち、生体内でバランスをとっています。
次に同じ論点が出たら
血小板凝集に関連する物質が問われた場合、その物質が「血小板凝集促進作用」と「血小板凝集抑制作用」のどちらを持つかを確認し、特にプロスタサイクリンが抑制作用を持つことを想起して判断します。
関連知識
血小板凝集を抑制する薬剤として、アスピリンはトロンボキサンA2合成酵素を阻害することで血小板凝集を抑制します。また、クロピドグレルはADP受容体P2Y12を阻害することで血小板凝集を抑制します。ヘパリンやワルファリンは凝固因子に作用することで血栓形成を抑制します。