病理組織学的検査で推奨される固定液はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
10%中性緩衝ホルマリン液は、ホルマリンの組織固定作用(タンパク質のアミノ基をメチレン架橋により結合させる)を効率的に行いつつ、組織のpH変化による自己融解や色素沈着(ホルマリン色素)の生成を抑制するため、病理組織学的検査において最も広く推奨されます。緩衝液がpHを中性に保ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 10%中性ホルマリン液は、緩衝作用がないため、ホルマリンが酸化して生じるギ酸によりpHが酸性に傾く可能性があり、組織の自己融解やホルマリン色素の沈着が生じやすい。そのため、一般的には緩衝されたものが推奨される。正しくは:10%中性緩衝ホルマリン液選びやすい理由:「中性」という言葉が含まれるため、良い固定液だと誤解しやすい。また、かつては汎用されていた時期もあるため。混同注意:10%中性緩衝ホルマリン液
- 2. 10%等張ホルマリン液は、浸透圧を等張に保つことに着目しているが、pH緩衝能がないため、pHが酸性に傾くリスクがあり、ホルマリン色素の沈着や組織の変性が起こりやすい。組織固定において最も重要なのはpHの維持である。正しくは:10%中性緩衝ホルマリン液選びやすい理由:「等張」という言葉から、組織への影響が少ないと感じてしまいやすい。しかし、pH緩衝能が欠けている点が問題。混同注意:10%中性緩衝ホルマリン液
- 3. 正解。10%中性緩衝ホルマリン液は、ホルマリンの固定力を保持しつつ、リン酸緩衝液などによってpHを中性(6.8-7.2程度)に維持することで、組織の自己融解やホルマリン色素の生成を防ぎ、良好な組織形態を保つことができるため、一般的な病理組織学的検査に最も推奨される。選びやすい理由:正解の選択肢であるため、医学的知識があれば適切に選択できる。
- 4. この記述は誤りです(公式正答の選択肢を参照)。正しくは:10%中性緩衝ホルマリン液(一般的な病理組織検査の場合)選びやすい理由:「固定液」という点では正しいが、特殊な目的(電子顕微鏡)の固定液として用いられることを知らずに選んでしまう可能性がある。混同注意:電子顕微鏡用固定液と光学顕微鏡用固定液
- 5. 4%パラホルムアルデヒド液は、パラホルムアルデヒドを溶解して作製するホルマリン液であり、ホルムアルデヒドの純度が高く、ホルマリン色素の生成が少ない。しかし、これは主に免疫組織化学や特殊な研究目的、例えば神経科学分野での固定に用いられることが多く、調製が煩雑なため、一般的な病理組織学的検査のルーチンでは10%中性緩衝ホルマリン液がより広く推奨される。正しくは:10%中性緩衝ホルマリン液(一般的な病理組織検査の場合)選びやすい理由:ホルマリンの一種であり、固定液としては正しいが、汎用性や調製の手間を考慮すると最適解ではない。研究目的で利用されることが多いことを知らないと選択してしまう。混同注意:研究用固定液とルーチン検査用固定液
国試ポイント
病理組織学的検査における一般的な固定液の選択とその理由、特にホルマリンの種類と緩衝液の重要性を理解する。
混同注意
ホルマリン液の種類(中性、等張など)と濃度、およびグルタルアルデヒドやパラホルムアルデヒドの用途(電子顕微鏡用など)を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
病理組織学的検査の「一般的に推奨される固定液」と問われたら、中性緩衝ホルマリン液の選択が基本である。他の選択肢は特殊な目的で使用される固定液であることを確認する。
関連知識
固定は組織の自己融解を防ぎ、タンパク質を変性・凝固させることで、組織の形態を保つことを目的とする。固定が不十分だと、組織の変性や自己融解が生じ、正確な診断が困難になる。固定液の種類は、その後の検査(免疫染色、FISHなど)の成否にも影響を与えるため重要である。